【旅の先輩から学ぶこと】旧テネレ乗りのりゅうちゅん氏と話をして

こんにちは、世界放浪2輪旅を目指す管理人です。

現代の日本に生まれ、戦後より培われてきた“家畜民度の高い既成概念前ならえ”根性のしみついた社会で育ってなお、バイクで世界を旅しようと考え かつそれを実践している人は、当然あまり多くはありませんが、だからこそ自然と繋がっていくみたいです。
氏は、2014年から南米より出発し、その後大西洋を渡ってヨーロッパからユーラシアを横断、ウラジオストクから帰国するという、東周りで地球を周回してきたライダーです。
実は、実際お目にかかる前からYouTube は拝見しており、その後ぼくが氏のブログを引用する形で直にコンタクトをとるようになりました。

今回は、りゅうちゅん氏とキャンプを通して話すことで新たに出てきた課題をまとめておこうと思います。

青旧のてねれと新黒のてねれ

奥がりゅうちゅん氏の青いXT660Z。
やはり、世界の風にもまれたバイクは雰囲気違います。
ホムセン箱ダサ!

ちゃっかりヒルバーグ

到着したキャンプ場はすぐ霧に包まれ、9月というのになかなかの寒さでした。

ぼくにとって、5年以内くらいの実際の経験をもととした話を聞けるというのは非常に稀有なことです。
「今から出発するひと」にとっては、自慢話や昔話よりも、より具体的で実践的な内容のほうがすぐにでもフィードバックできるからです。
では、その具体的な内容をピックアップしていこうと思います。

燃料問題 新テネレの無補給航続距離の問題

新型テネレの燃料タンクは16ℓ。
カタログスペックでの燃費はWMTC値にて24.0km/ℓ ということは、単純計算で無補給航続距離は約380km強ということになります。
しかし、これはあくまでカタログ値であって、実際には何十キロという荷物を積み、走行条件が劣悪なこともあるでしょう。

現状ではストップ&ゴーが過剰な都内での通勤がメインとなっているため、燃費がカタログ値より少ないのは当然ですが、荷物のことを考えると実際には20km/ℓを切るくらいに考えておいた方がいいかもしれません。
となると、無補給航続距離はせいぜい300kmちょっとということになります。
多くの経験者曰く、ガソリンスタンドはいたるところにあるからビッグタンク化などの必要はないといいますが、300kmはさすがに心配ですよね・・・・ましてやマガダン方面の東ロシアを攻めるのであれば、かなり不安な数値といわざるを得ません。
旧型テネレはタンクが大きく、23ℓの容量です。
にも関わらず、りゅうちゅん氏はジェリ缶10ℓを携行したとのこと。また、無補給区間に関しても、ガソリンスタンドがあったとしてもガソリンがあるとは限らないし、砂漠を手前にガソリンを補給するために来た道を戻らなければならない なんてこともあるわけで、ガソリンは多くあった方がいいとのこと。
確かに、これはその通りだと思います。一度、ガソリン計の警告が出てから何キロもつか一人チキンレースをしましたが、80kmに届かず、完全なガス欠に陥り、最寄のガソリンスタンドまで2kmほど200kg越えの巨体を押す羽目になりました。
これを解決する手段としては、
1.ビッグタンク
2.予備ガソリンの携行
があります。

テネレのビッグタンク サードパーティからの発売あるかなぁ・・・
などと思案していると、Safari Tanks から来年には26ℓのビッグタンクが発売されるとの情報が!
26ℓあれば無補給航続距離は最低でも450km、場合によっては500kmに達するでしょう。
これに予備のガソリン携行を加えれば、世界中で(少なくとも原動機用の移動用道路がある区間では)無補給区間をクリアできると思います。

https://www.giantloopmoto.com/product/gas-bag-fuel-safe-bladder/より

予備の携行は必須として、ビッグタンク化は悩みどころです。
まず現在取り付けているクラッシュバーなどとの互換がなければ完全にアウトですし、費用的にもこれ以上バイクの改造にコストを割くのもあまり気が乗りません。また、車重が重くなるのもよろしくないため、いまのところは話半分 といった感じでしょうか。

マイクロロンの施工はおすすめだよ

バイクに対する改造のひとつとして、りゅうちゅん氏は出発前にマイクロロンの加工を施しています。

https://www.microlon.co.jp/product/p_m_main.phpより

マイクロロンは、言わずもがなマイクロロン被膜により各接触摩擦を低減するエンジン用の表面処理剤です。
処理といってもエンジンオイルに混ぜるだけなので施工も簡便ですし、一度の処理で長期間効果が持続するそうです。
ただ、新型テネレのように超高精度で設計・組み立てがされているエンジンの場合、非常に薄い被膜であっても設計上+に作用しないこともあるという声も。旧車であったり、走行距離の長いエンジンの場合は摩耗も激しいため、マイクロロン被膜が功を奏しますが、テネレのような新しい高精度のエンジンに必要かどうかは未だ?です。これはバイク屋さんを中心に意見を聞いていこうと思っています。

チェンガードは金属製が望ましいね

テネレの純正チェンガードは樹脂製です。
りゅうちゅん氏曰く、「絶対折れる」との事。これは同じく旧テネレライダーのメタボン氏も言っていたため、そうなんでしょう。
ということで、これは素直に金属製のものに交換することとします。
➡【Rugged Road メタルチェンガード】

USB typeA 端子の向きはどうかな

これも細かい話ではありますが、実際に問題がおきたら結構困る部分であります。
5V の typeA 端子はハンドルバーに引いていますが、これはやっぱり雨の侵入リスクを考えると下向きにした方がいいとの事。
が、けっこう配線の長さがぎりぎりで、もし移設するとしたらハンドルではなくマルチファンクションメーター脇とかになるか・・・
もう少し余裕をもって切っておくべきだった・・・・
しかしハンドルカバーで覆ってる分には問題なさそうだし、どうしようかなぁ・・・
↓↓↓
>>後日、位置を変えました

クラッチワイヤー予備の設置はしといたほうがいいね

これは多くの方が行っている方法で、切れる可能性の高いクラッチワイヤーは、予め車体に予備を通しておくというもの。
そうすれば、クラッチワイヤーが切れても、レバー側とクラッチ側の接続作業だけですぐに走行復帰できるわけです。

これに関しては1年点検の時にでも一緒にやっておいてもらうか、構造の勉強がてらパーツリストから注文して自分でやるか・・・

プラグも持っていったら?

予備のパーツに関しては
・クラッチワイヤー
・ハンドル クラッチレバー
・ヒューズ
・チューブ
・プラグ
・ウィンカーバルブ
くらいを考えていましたが、極力あまり使わないであろうものは持っていきたくないことから、ハンドルバークラッシュバーで保護されているレバー類は除外し、プラグも除外していました。
が、りゅうちゅん氏曰く、プラグは軽いし、場所も取らないから、交換手順をふまえて1,2本持っていて悪いことはないだろう、とのこと。
そもそも現場にて「よし、プラグ交換しよう!」ってのはどのようなシチュエーションなのか・・・?
ぼくが子供の頃は、高速降りて峠にはいる前に車のプラグを交換してるおっさんとかいましたが。

いまいち分からないのですが、万一点火トラブルと思しき状況に出くわしたとしたら、独力できることといえば確かにプラグのチェックくらいですし、テネレの超小さいシート下の収納にも収まるくらいなので、持っていくことにしようと思います。
その前に、交換の仕方を勉強せねば・・・

シートメッシュおすすめだよ

バイクカスタムの一環ですが、シートにメッシュやゲルざぶ加工をするのもいいとのアドバイスをもらいました。
足付きの問題もありますし、500kmほど走ってもそこまでケツが痛すぎてッ という状況にはならないので、ゲルざぶはあまり考えていません。
いや、自転車競技のせいでケツが痛くなるという状況に慣れてるだけか・・・・?

ただ、真夏の炎天下におけるシートから太ももにかける蒸れと暑さは、このようなメッシュカバーで改善するならあってもいいかなと考えてます。
来年の夏、暑くなってきたら廉価なものをひとつ買ってみて、どれくらい変わるか試してみようと思います。

フォーク間メッシュ?or ブレーキホース補強する?

りゅうちゅん氏がぼくの新型テネレをまじまじと観察していろいろとアドバイスをしてくれたのですが、その上での指摘のひとつがフロントフォークの間部分に露出しているブレーキホース類でした。
もしも大きな飛び石などがここを通過してブレーキホースを直撃したら?
確かに、それってどうなんだろう・・・・ と思いましたが、各メーカーからもここを保護するようなパーツは供給されていません。
ひとつは、汎用のメタル製メッシュなどをホースの外側に巻き付け補強する。
もうひとつは、2本のフロントフォーク間に金属製のメッシュのようなものをプレート状に設置するというもの。
バーナー用の焼き網の様なものか、あるいはプレートをフロントフォーク間に設置してしまうのは確かにありだなと思っていますが、
いずれにせよ加工が必要になるでしょうから、また折りをみてやってみようと思います。

プロテクタあったほうがいいよ

ウェアに関しては非常に悩ましい点が多いのですが、
自分的な結論として
「ゴリゴリのライディングウェアはやめよう」
ということになっています。
理由はいろいろありますが、デザイン的にも機能的にも走行時以外にそぐわないのと、現地に馴染みづらいということ。
また、パニアバッグなどへの収納面でも非常にかさ張るためです。
基本はアウトドアブランドの小さくパッキングできるものをレイヤリングして様々なシチュエーションに対応させようと考えていました。
が、そうするとプロテクターは完全になしということになります。
オフのライディング技術もそこまでない自分が、未舗装の悪路でテネレで転倒することを考えると、完全にプロテクターを除外して考えるのはどうなのか、、、
https://www.komine.ac/product/item.php?prid=388より
ひとつの選択肢が、りゅうちゅん氏のようにインナーに取り付け可能な上半身をカバーするプロテクターを別で用意するということ。
これなら、他にどのようなウェアを着ていようが関係なくプロテクターを装着できます。
が、これはこれでなかなかにかさ張るし、真夏のクソ暑い時にこれをちゃんと装着できる自信が全くない・・・
リスクを承知でプロテクタを完全に切り捨てるか、あるいは別体の胸部用だけにしてみるか、
もうちょっと考えます。
とりあえず、、、【クシタニのジーンズにプロテクタを入れる】ところからはじめました・・・

マネパ、トラベリックス、ブッキングドットキム のカードをつくっておこう

海外でのお金のやりくりに関しては、マネパカードというシステムを教えてもらいました。
これは、あって悪いことはないので、早速作成しています。ブッキングドットコムカードも同様です。
トラベリックスカードは直接店舗にいかないといけないのですが、休みの日に行こうとすると決まって営業外か臨時休業・・・
縁がないのか・・・
まぁRevolut という手段も得て、シンプルにする意味でもこれ以上なくてもいいかなとも思っているので、たまたま店の前を通りかかったりしたら、入って話を聞いてみようと思います。
➡【海外でのお金の管理あれこれ】

寝袋のスペックはまじだいじ

寝袋のスペックがまじで大事なのは勿論承知なのですが、ぼくの場合コットと組み合わせることで寝袋のスペック自体はそこまで高くなくてもなんとかなるだろうと思う反面、【イスカのAir450X】程度ではさすがにだめか・・・とも思っていました。
これに関しては、やはり「モンベルのダウンハガー800程度」のスペックは最低限あったほうがいいとのこと。
確かに、暑いのであれば寝袋なしか、シュラフカバーで寝ればいいのですが、寒いのだけは眠れませんからね・・・
というわけで、これは某知人からWesternMountaineering のシュラフを譲ってもらえそうなので、そちらに選手交代で解決です。

住民票を海外転出するタイミングは年末がいい

ぼくの出発予定は、現状で2022年の春~初夏に設定しています。
仕事は直前まで続けたいと思っていましたが、ん、待てよ、そうすると2022年1月~辞めるまでの所得に対して新規で住民税が発生するな・・・
と、まぁそんなことは考えてみれば当たり前なのですが、この点りゅうちゅん氏も、「住民票の海外転出は12月31日にするのがベスト」とのこと。
そうすれば、2021年1月~2021年12月分の住民税は2022年6月から2023年の5月までの徴収で終了!です。なのでこの分を家族にあずけておけばOKです。
が、仕事を2021年12月で完全に辞めたとしたら少なくとも5~6か月は無職のまま日本で過ごさなければなりません。
これは、どうする?ん~ 不法労働?笑

飛行機に乗る事も考えた方がいいよ

出発をウラジオストクに固執するのは、航路にバイクと共に乗り込むほうが受け取りや発送などの煩雑さが無い上に費用的にも安く、そして旅感が強いからです。
が、もしもウラジオストクから出発できたとしても大西洋は?あるいは他のエリアでも、場合によっては航空手段に頼った方がいいシチュエーションはいくらでもあり得ます。確かに、そうだよなぁ・・・
というわけで、もし旅の途中でバイクを輸送し 自分は飛行機で移動するというシチュエーションがあったとしたら ということを考えて、バックパックは必須という事を再確認しました。
バックパックに関しては 【ミステリーランチ gallatin peak 40】をバイクを離れた時の移動用件大事で繊細なものの収納用として考えていましたが、バイクへの積載性や防水性の観点から装備から外そうかと悩んでいました。
が、これにてその必要がない踏ん切りがつきました。

ダウンジャケットはかなりしっかりしたのがあってもいいと思うよ

しつこいようですが、ウェアに対する基本的な考え方としては、
あまりスペックの高いものを単体でもつのではなく、汎用性が高く、小さくパックできるものをいくつも組み合わせて気候に対応するというスタンスです。
これに対し、やはり防寒というのは命を守るという意味でも大事になってくるので、けっこうしっかりしたダウンジャケットをもっていってもいいのではということです。
あまりにも嵩張るものは、それだけでパニアバッグがひとつ一杯になってしまうので、
インナーダウンとして、【バイクの防寒対策】で紹介したマイクロパフ以外になにかもうひとつ用意しようか、、、悩み中です。

シェンゲン協定内は、よくルートを考えた方がいいよ、あとETIASにも注意だね

シェンゲン協定加盟国では、出入国の審査なしで国境を越えられるため、
ヨーロッパの国境越えは楽ちんだぁ~
くらいにしか考えていませんでしたが、よくよく考えてみれば、
「シェンゲン協定加盟国を3ヶ月以内で周遊しなければならない」
と言い換えることもできます。
ヨーロッパはただでさえ見どころ満載なのに・・・たった90日で全てをまわれと・・・?
行き当たりばったりの旅を美徳と考える節がありましたが、少なくともシェンゲン協定加盟国に関しては計画的に移動しないと、非常にもったいないことになってしまいかねません。これに関しては白地図つかってルートを考え中です。
しかし、シェンゲン協定の90日縛りをリセットするには「過去180日間でのシェンゲン加盟国への入国がない」をクリアすればいいってことだよな?
つまり

シェンゲン加盟国に入国し、90日縛りがスタート
    ↓
90日ぎりぎりで一度シェンゲン非加盟国へ入国
    ↓
その国で180日を消費
    ↓
改めてシェンゲン加盟国へ入国し、前の90日がリセット!→新たな90日カウントスタート
なんてことは可能なのだろうか???
シェンゲン非加盟国の中で、現実的に陸路で国境を越えて180日間を消費できそうなのは、例えばブルガリアとルーマニアなどです。
少なくとも西欧に入ったら、180日を消費できる非加盟地域はないのですが、もしブルガリアとルーマニアでシェンゲンをリセットできれば、ノルウェー~フィンランド~バルト3国といった北欧地域と、ポルトガル~イタリア~ドイツといった西欧地域にそれぞれ90日を費やすことができます。
さて、どうなんでしょう・・・てかブルガリアとルーマニアで半年過ごすって、想像するだけで楽しすぎるだろ。
また、2022年から導入されるというETIASにも注意が必要です。
以前カナダに行く際に、空港でETA取得してますか?と聞かれてポカーンとなったのを思い出しますが、テロが脅威となった昨今ではアメリカのESTA、カナダのETAなどと同様、シェンゲン協定国入国前にETIASの申請が必要になるようです。
ただし、「シェンゲン査証をもっている場合は不要」との記載があり、もしもそれが変わらないのであれば、特にETIASの事は考えなくてもいいのか・・・ う~ん、この辺はどこに問い合わせるのが一番確実なんだろうか・・・ いずれにせよ、もう少し調べる必要がありそうです。

まとめ

というわけで、りゅうちゅん氏との話の中からいくつかをピックアップして再確認してみました。

まさに、先人のアドバイスです。
そもそもバイク旅なんてのはやろうと思ったやつが独力でなんとかするのが正解なのかもしれませんが、
更に自分の後に同じ志を抱くひとがいれば、昔話ではなく、本当に生きる情報を提供するベクターでありたいなと思うところです。

りゅうちゅんさん、ありがとうございました!

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