こんにちは、世界放浪2輪旅を目指す管理人です。
11月にはいってからもなかなかに暖かい日がつづき、まだまだTシャツと上着一枚でいいやぁ~とか余裕をぶっこいていた矢先、ここ数日で急激に気温が下がってまいりました。
ということで、今回はバイクでの防寒対策~上半身編~という名目で駄文をしたためたいと思います。
イメージとしては外気温5℃~10℃程度での走行を想定しています。
長期ツーリングでの防寒対策は?
まず、大前提としてバイクの防寒対策という意味では電熱ウェアに勝るもの無し と言い切ってしまいます。
ウェア内の発熱媒体にバッテリーから電流を生じ発熱させることで防寒するわけですが、どんなにもっこもこのダウンやどんなに優れたメンブレンのウェアを着込むより暖かいのは、エネルギー保存の観点から明らかです。
しかし、長期ツーリングのギアとなると電熱ウェアの類は管理がやっかいです。
車体バッテリーと繋ぐ方法と、モバイルバッテリー式のものがあると思いますが、いずれにせよ
・雑に折りたたんだり、小さくパッキングしたりすることはできない
・バッテリー切れなどの心配事・管理事が増える
といったことからタフに扱う長期ツーリングを支えるウェアとしては明らかに不向きでしょう。
というわけで、バイク世界旅の防寒着としては電熱ウェアは対象から外すことにしました。
では、どのようなウェアがいいでしょう?
例えば上のようなゴリゴリのボリューミーなダウンウェアはどうでしょう?
確かに極寒時は非常に頼もしいのですが、
・そもそも夏これどーする?
・着ててちょっと暑くなったら?
・着ていないときのパッキングは?
などなど色々な問題があります。
例えば初夏や秋口などの季節の変わり目では、峠ひとつ超えるだけでも
上り始めは暖かく、頂上付近では肌寒く、下るとまた暖かく なんてことはよくありますよね?
なので、ツーリングでのウェアはレイヤリング(重ね着)をして温度調整するのが一般的かと思いますし、
ましてや季節をまたぐ、あるいは気候帯の異なる地域をまたぐ世界ツーリングとなれば、上のような防御力MAXのウェアを持っていくのではなく、防御特性の異なった、なおかつ小さくパッキングできるウェア類を数種類組み合わせて対応するのがよいのではないかという結論になります。
というわけで、ぼくなりの判断基準で使っている「防御特性の異なったウェア」を紹介したいと思います。
第1層 インナーダウンあるいはそれに準ずるもの
第1層と書きましたが、本当に寒いとき第1層目、つまり肌の直上に着るのはいわゆるベースレイヤー:インナーウェアの類ですが、それはまた別で紹介するとして、今回はミッドレイヤーより外層というくくりでの第1層としようと思います。
インナーウェアあるいはTシャツの上に着込むのはインナーダウンがよいでしょう。
いわゆるインサレーションのくくりだと思います。
管理人が長らく愛用しているのが パタゴニアのマイクロパフ・フーディ。
インナーダウンと言っておきながら、これはダウンではないのですが、パタゴニア独自の「化繊でありながらダウンと同程度の保温力を持ち、なおかつ耐水性がある」というプルマフィルという化繊を用いたインサレーションです。
(最近マクロパフというのも出ましたが、そちらは完全なアウター仕様で、インサレーションには適さないらしいです。)
10デニールなので引き裂き強度はそこまで期待できませんが、超軽量でインナーとして最適です。
ポケットは左右のポケットと、内ポケットも両サイドに備えています。
ご覧の通り、縫い目は内側まで貫通しているため、防風性はそこまで高くありません。
ダウンに匹敵するような化繊、ということだけあって収納性も抜群です。左ポケットにそのまま突っ込んでいくと、このようにコンパクトに圧縮可能です。
身長173cmで、サイズはMです。想定としては、このままの時もあればインサレーションとして内側に着込むこともあるので、ピッタリサイズがよいかと思います。
一般的なダウンウェアに比して雨にも強い(というか濡れても洗える)ので、ラインディング時のレイヤリングとしても適していると思います。
1年間ほど使った感想としては、とにかく軽量で気軽に着れるにも関わらず非常に高い保温性があるのは事実です。インナーに近いため汗がしみることもありますが、化繊ということで気兼ねなく洗うこともできますし、コンパクトにパックできるので、とりあえず荷物に入れておくにもよし。非常に良い製品かと思います。
ただし、単体で寒冷時のアウターを担う程の能力はありませんし、開発コンセプトとしては「夏でも高地などの肌寒い場所で、ミニマムに保温性を確保したい時のため」といった方向性でロフト量も多くはないため、ヘビーなダウンジャケットとはその辺区別したほうがよいでしょう。
マイクロパフにはフードあり・なしがありますが、個人的にはフードありのマイクロパフ・フーディがおすすめです。非常に寒いときは、上のようにフードをかぶったままヘルメットを被ると首からの冷気の侵入もシャットアウトしてくれるからです。そうでないときはクルクル丸めて後ろ側にしまっておけば、マフラーのような役割も果たしてくれます。
第2層 防風フリース
第2層におすすめなのが、防風性を備えたやや厚手のレイヤーです。
いまはコロンビアのアーチャーリッジ・ジャケットを使っています。
例えばGore Wind Stopper など、防風のジャケットの類は沢山あると思いますが、このアーチャーリッジジャケットはコロンビア独自のOMNI-Wind Block という防風メンブレンを備えたボアフリースで、化繊も封入されているためこれ単独でもかなりの耐寒性があります。
OMNI-WIND BLOCK の実力はどうでしょうか?
管理人の個人的な感覚だと、他の防風メンブレンは「本当にこれ防風メンブレンなの?」と思ってしまうような華奢なものが多いのですが、これは非常にメンブレン感があり、確かに風を通さない信頼性があります。
その代わり、先のマイクロパフのようにコンパクトにパックすることはできませんが、バイクでの走行時に一番ネックとなる寒風をシャットアウトしてくれるのは非常に頼もしいです。
やはり、身長173cmでサイズはM。更にこの上にハードシェルやライディングジャケットを着ること考えるとピッタリ目でいいかと思います。
左胸にある胸ポケットがなかなか使い勝手がよく、コンデジなどいれておくとササっと写真が撮れて👍
防寒に関してはインナーダウンでもっとロフトのあるものを追加し、防風はアウターシェルに任せるという方向のほうがいいという結論に至りました。
第3層
一応、今回の話では第3層を最外層とします。実際は、この上にさらにライディングジャケットを着たり、今回紹介するハードシェルの代わりにもっと厚手のライディングジャケットを着たり、といろいろなレイヤリングの仕方があると思います。
寒冷時のハードシェルとして使用しているのが、パタゴニアのクラウドリッジ・ジャケット。
これはパタゴニア独自のH2NO・スタンダードパフォーマンスを備えた3レイヤーのレインウェアです。
防水メンブレンに関しては 最強と思われるGore Tex のプロシェルをはじめ、加水分解の心配などがないというコロンビアのOut Dry や Gore Tex の新素材Gore Tex SHAKE DRY 、海外メーカーのライディングジャケットに使われることの多いeVent やモンベル独自のDry Tech、更に最近登場したFuturelight など様々な種類があり、正直どれが最も優れている・あるいは長期ツーリングに向いているのかは分かりません。
おそらく、耐久性や防水性能だけをみればプロシェルが最も能力が高いとは思いますが、メインのライディングジャケットが別にあることを考えると今回の第3層としてプロシェルを適用するのはオーバースペックです。
いずれにせよ、パタゴニアのH2NOパフォーマンスはかなり信頼度の高い防水システムだというのは間違いありません。
どのような構造なのかは色々調べても詳細に公表はされていないようですが、PUが使われている以上加水分解による劣化自体は避けられないものだと思います。しかし、3レイヤー構造のため、一般的な剥離のような劣化は相当な年数つかわないと生じてこないようです。
表地は30デニールの生地で、マイクロパフなどに比するとかなりしっかりした生地感覚です。
3レイヤーの胆となる裏地は非常に心地よい肌触りです。レインウェアでありがちなベタつきを克服するように設計されています。
これは、開発に関して日本の高温多湿な登山環境が多分に考慮された賜物でしょう。
一応ポケット部分に相当する裏地がメッシュ構造になっていて、ここがベンチレーションを兼ねるわけですが、これに関してはあまり期待しないほうがよいと思います。
パタゴニアのショップで店員さんが言っていた事ですが、ちゃんとしたメンテをすれば8~10年使えてもおかしくない品質、とのことです。もとより、パタゴニアはアフターケアが非常にしっかりしているので、万一剥離などが生じたら下取りの上新品と交換したり、同等のモデルと交換したりすることが可能だとは思いますが・・・・
ジッパーは全て止水仕様で、雨蓋がついています。
当初はコロンビアのOut Dry Extreme と悩んだのですが、
「バイクでの使用」 という使用条件を伝えた際に、
コロンビアの店員さん:「いやぁ、、、バイクでの使用は考慮されてませんから、その点は防水性を保証できないとおもいますよ・・・」
に対し、
パタゴニアの店員さん:「フードも収納できますし、バイクでの使用でも全然問題ないです」
との違い、
その言葉を信じて使ってみましたが、今のところは全く問題なしです。
長時間かつ高速で雨の中走行すると、表地は水が浸みたようになりますが、ついぞ裏地まで浸水することはありません。この防水性能がどれくらいつづくのが問題ではありますが、少なくとも初期数年の性能としてはばっちりです。
第1~2層がややぴったり目を推奨したのに対し、第3層はアウターシェルとなるため、内側にインサレーションや防風フリースを着込んだ時のことを考えるとややゆったり目がおすすめです。
とはいえ、クラウドリッジ自体がすこしゆったりした設計でつくられているので、あえてワンサイズ上とかにする必要はないと思います。身長173cmでサイズはMです。上の写真の状態で、中にマイクロパフ+防風フリースを着込んでいます。
フードはトップドローコードに付属のフックを使って収納できますので、高速走行時のバタつきも安心です。
また、スタッフバッグ付属で、これだけコンパクトにパックもできるのも👍
レビューでよくみかけるのが
「袖のベルクロのサイズが余っちゃって使いずらい」
というもので、素手だと確かにその通りなのですが、グローブをつけた状態で着用するので、逆にそれくらいがちょうどよいです。
元々は登山用ヘルメット対応なので、フード自体はかなり大きめです。
しかし、トップ部分のドローコードでフードを顔に密着させられるので、
その状態でヘルメットを被ると視野を妨げることもありません。
【ぼく流雨対策 夏編】でも紹介した通り、このようにフードごとヘルメットを被る事で首部分からの雨の侵入を完全にシャットアウトすることができるので、先ほどのマイクロパフ・フーディと併せて “ヘルメット―首”間の 防水・防寒・防風に関しては最強な状態といえます。
まとめ
今回紹介した第1層~2層~3層 の順番の根拠としましては、
第2層・・・・第1層で閉じ込めている暖気を外気に奪われないよう、外側の冷気をシャットアウトする。特にバイクでは風圧が強くなるため、高い防風性をもつレイヤーで暖気の熱交換を防ぎたい。
第3層・・・・どんなに暖気を閉じ込め、冷気との熱交換を防いでも、内層が濡れてしまっては一気に冷えてしまうため、最も大事なのは雨が降った時の防水性。
というロジックです。
今回紹介した製品群はあくまで一例ですが、なかなかいい組み合わせかと思っています。
マイクロパフ+防風フリース の組み合わせで外気温10℃くらいまでなら問題なしですし、
マイクロパフ+防風フリース+防水ハードシェルのレイヤリングであれば、外気温5℃くらいまで対応できると思います。
ただし、防風フリースに関してはいかんせん嵩張るため、使用していない時のパッキング→積載の事を考えると装備として再考の余地ありです。
また、一般的なアウトドア・レイヤリングの観点からすると、アウターシェル+防風フリースだとメンブレンがダブルになってしまうため透湿性という観点からはかなり微妙です。つまり、ちょっと暑くなったり、体を動かすことになると蒸れ蒸れになってしまうということです。
実際、クラウドリッジとアーチャーリッジを両方着た状態で建物内に入りしばらく歩いていると、非常に暑苦しくなり、蒸れます。
この点に関しては 「防風」 をアウターシェルに任せ、インサレーションから防風フリースを除外するというのもありだと思っています。
この場合さらに低い気温や冷たい風に対してできることは
・アウターシェルをもっと厚手でスペックの高いものにする
・インサレーションにやや厚手のダウンを追加する
といった事で対応し、首回りからの冷気にはフェイスウォーマーやネックウォーマー、つま先は靴下の上から装着できるウィンドストッパ―などで対応する といったことが考えられます。これに関しては「リアル極寒対策アップデート」としてまた別記事で紹介できたらと思います。
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