【ストームブレイカーを分解する】構造の徹底解析~スマートポンプ編

こんにちは、世界放浪2輪旅を目指す管理人です。

バイク世界旅へ持っていくことがほぼ決定している
SOTO の ストームブレイカー。
以前からいくつか記事を書いていますが今回はその構造を徹底的に理解するため、可能な限りの分解作業を行ってみましたが、本記事ではスマートポンプの分解を紹介します。

はじめに

まず、今回管理人がおこなっている作業内容はその前提として
「世界中のどこでもバーナーのトラブルに対応できるように」
という理念のもと行っています。

メーカー添付の取り扱い説明にはしっかりと
●ここに記載されていない分解や改造は絶対にしないでください。
と記載されています。
従って、基本的にはあまり真似をしないほうがよいかと思います。なにより火器なので、部品の組間違いなどがあれば大きな事故や火事のもとにもなりかねません。

分解に必要な道具

分解に必要な道具は一般的なメンテ範囲であれば付属のマルチツールで可能でしょう。

マルチツールA:13mmのオープンと9mmのクローズ
マルチツールB:11mmのオープンと8mmのクローズ

となってますね。
しかし、このマルチツール、あくまで応急的な仕様のため、しっかりした工具かといえばそうではありません。
出先での対応にはよいのですが、今回は家でがっつり分解なので、
こちらを使います。

勿論、オーバートルクには気を付けなければなりませんが、このようなしっかりした工具の方がいい作業ができます。

あとはこんな感じでしょうか。
⇒から
ラジオペンチ 精密ドライバー(+ #000) 精密ピンセット曲と直
SUETという歯科道具 T10トルクスレンチ 1.5mm六角レンチ

分解作業

ではやっていきましょう。

ガソリン点火の際に使用するスマートポンプ。とても精密なつくりをしていて大好きな道具です。

まずはシリンダーキャップを手で緩め、ピストンを取り外します。

ピストンの先端にはパッキンが付いています。このパッキンが気密性を保ち、ガソリンボトルの内圧を高めることになるので、長時間の使用で乾いてしまっている場合、一番先端側にある溝に付属のシリコングリスを適量塗りこんであげてください。

付属のシリコングリス

ピストンが外れたポンプ本体の先端をみると、このようなボルトが。

ここは8mmです。形態が六角にはなっていないのでオープンで。

外すと、、、

中にはメッシュ状のパーツが。

反対側から押してやると簡単に取れます。
これは、何のためのメッシュでしょう。構造的にあきらかにろ過の役割があると思いますが、部位からしてポンピングの際の空気しか通らない場所なので、さしずめエアフィルターのような役割だと推測します。

つぎはここ。コントロールダイヤルの根本にこのようなボルトがあります。

一見六角のように見えますが、ここはトルクスレンチというちょっとだけ特殊な道具を使わないと外れません。
トルクスのT10というサイズがフィットします。
トルクスで留めているあたり、メーカーからの「ここは外すなよ」という意図が感じられます。

しかし、そんな意図に逆らう強い心をもって、いざ緩めます。

外れました。そして、、、

ダイヤル側の穴からはバネが・・・

おそるおそる引き抜いていくと、

中にはベアリングが。なるほど、こいつが各ダイヤルの際のカチッカチッというロックをつくってるんだな。

ボルトが抜けたことで、コントロールダイヤル本体が外れる。
ここは最も精密な部分であることが容易に想像できるので、めちゃめちゃゆっくりと引き抜いていく。何かが飛び出してきても、その順番を覚えておくよう身構えておく。

外れた。ん~~いい感じです。真鍮かな?綺麗に削りだされた金属材特有の雰囲気。このコントロールダイヤル本体の先端側には細ーーい溝が上下で2本、切られています。よく見ると、ダイヤルの目盛りに応じて溝の切られ方に違いが。

これは”STOP”の位置。溝はなしです。

これが”START”の位置。上下に溝が切られています。

そして”RUN”は下だけ溝が切られており、溝の深さが始点➡終点に向けて浅くなっていく??

そして”AIR”は上だけに溝が。

そう、つまりこれら上下の溝はスマートポンプに付いている2本のホースに対応しているということだ!
上の溝は空気供給を司り、下の溝はガソリン供給を司っている。
そして溝の位置や深さによって点火・維持・消火をコントロールしているということですね。

ちなみにコントロールダイヤルのノブはこのように1.5mmの六角でとまっています。

簡単にはずすことが可能で、

小さなイモネジでノブが固定されているのがわかります。この辺のつくりも美しい。

さて、先ほどコントロールダイヤル本体を引き抜いた時、中から同時にこのような小さなパーツも出てきました。
Oリングが4つ、真鍮製スモールパーツが2つ、バネが2つ。
おそらく、数からして先ほどの上下の溝に関係するパーツ。順番はこれで間違いないのですが、元にもどそうにも、バネを押し込みながらダイヤル本体を戻さなくてはならず、いろいろ工夫してみたが元に戻らず。
組付け用の専用工具があるのか・・・?
だからここは外すなってことか・・・?などとしばらく茫然とする。
これメーカーに送って元に戻してくださいとか頼んだら怒られるだろーなー・・・
が、今までも色々なモノを分解・組み立てしてきたがこれをダイヤル側から戻すのは明らかに不合理だし不可能だろ、と考えなおし、であれば逆側から挿入するにちがいない。

と、よく見たらホースは小さなネジで留まっているいるではないか!!

外れた。(ドライバーは#000)

こんな小さなネジ。

ホースが外れたところをシリンダー側から覗くと、
ん?更に中に何かある。

先端が鈎状になったこのような道具を使い、引き抜いてみると、、、

取れた!先ほどの真鍮製スモールパーツと似ているが、なぜかこっちは内径にタップが切られている。本来はこのネジを使って外すのか?

先ほどの小さなパーツ群と並べてみてみると、概ね空気とガソリンの流れはこのような感じでコントロールダイヤル側に送られるということか。

最後に、圧力インジゲーターも外せそう。サイズは6mmなのでレンチがない、、のでしかたなくラジオペンチで回す。

外してみたものの、

ここは特に複雑なものなどはなかった。


全分解終了。ここまでバラすおバカはあまりいないと思いますが。
まだまだ可動部などがありますが、これ以上は破壊行為になりかねないのでここでストップ。新富士の人にみられたら怒られるーーー

まとめ

今回の作業で得た収穫は、

✔スマートポンプ内のガソリンと空気の流れを理解できた
✔コントロールダイヤルがどのような構造なのか理解できた
✔ダイヤル内のOリングは予備パーツとして持っておいてもいいかも
✔ピストン内エアフィルター(?)掃除用の小さな針もあっていいかも
✔その他必要そうな交換パーツの検討がしやすくなった

といったところでしょうか。
海外で最も多く考えられるトラブルはガソリンの質が悪いことによるホースやろ過メッシュの詰まりです。
そのトラブルシューティングとして今回の教訓がどれだけ生きるかは不明ですが、まぁ無駄ではないでしょう。
ということで、今度はバーナー本体編もリポートしようと思いますので、よろしくお願いします。

追申

スマートポンプの組上げに関しては、基本的に外していったものを組み付けていけばいいだけですが、注意点が2つあります。
※注意点といっても、ぼくはメーカーの人間ではありません!個人的な注意点です。
①真鍮製のスモールパーツ、スプリング、Oリングの一連のパーツ群は、コントロールダイヤル本体を装着した後にセットしていく。
②燃料吸い上げホースのシーリングは必須とのこと(これは新富士の開発部の方に聞きました)。なので、組み上げ後は再シーリングすること。

②について、一応写真を載せておきます。

問題の部位です。
この#000の+ネジで留めている部分と燃料吸い上げホースの隙間をシーリングします。
メーカーに確認したところ、純正では専用の溶剤を混合させているとのことで、市販品で代用可能なものは教授しかねる とのことでした。そりゃそうですよね、すいません・・・
求められる条件は、

・耐ガソリン性があること
・耐圧性がある程度あること
・剥離が用意であること
・わずかに肉盛性があること

でしょうか。
そして、個人的に、ほんとに個人的にこれがいいんじゃないか、
というのが、こちら↓↓↓

スリーボンド製 液状ガスケット1105

こいつを適量出して、、、

元々あったようなイメージで、2本のホースを巻き込み、隙間を埋めるように築盛していく。

この状態で放置➡乾燥。
今のところ、これで問題なしです。


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