【Repubic of Iraq episode15】イラク南部に広がる内陸デルタの湿地帯 ~マーシュ の景色

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

ナシーリヤから次の町バサラに向かう途中にて宿を確保できたことで、明るい午前中にイラク南部に広がる巨大な内陸デルタを訪れることができそうです。

Chibayish の街へ

朝、一晩世話になった家族皆に礼を言いたかったけど まだ時間が早かったので、おそらく長男と思しき そして一番しっかり者オーラが出てた Hussain と、夕飯と朝食を出してくれた彼のお母さんに深々と頭を下げて出発した。

主要道路に出て朝日を浴びているところに通りがかった散歩中(?)のじっしゃま。ディスターシャ+ファロワとシマークでばっちり朝から正装だ👍

ヤギの放牧をしているらしい少年たち。

とにかくゴミが残念。

しばらく走ると、Chibayish; チバイッシュ という街に着く。Dhi-Qar Bikers のAbdullah に聞いたところでは、ここが湿地帯を訪れる際のメインの街らしい。

背の低い葦が茂る湿原の向こうに、銀のドームが輝いていた。
そしてこの地に暮らす先住民の足、Mashuf; マシューフという小型のボートがそこかしこに浮いている。

イラクに世界最大規模の湿原があるなんて、多くの人が知らないかもしれない。誰もが世界史で習うチグリスとユーフラテスが相まみえるこの一帯には、紀元前3,000年にまで遡る湿原の民の生きざまを今でも垣間見ることができるのだ。

以前バーレーンの記事で触れたとおり、旧約聖書 創世記の「エデンの園」があった場所の候補はいろいろあるみたいだけど ここイラク南部の湿原地帯もその候補地のひとつだ。➡【バーレーン南部に佇む Tree of Life】

サダム政権時のシーア派掃討の巻き添えを食らったことで、先住民の数は激減してしまったというけれど、未だに水牛の酪農や漁を生業として生きる人々がたしかにいた。

湿原をボートで行く

世界遺産にも登録されていることだし、うろうろしてれば誰かがボートでのツアーに勧誘してくるだろうとバイクを停めて写真を撮ったりしていると、案の定声をかけられたけど、提示金額が高いので断る。

次にバイクで追いかけてきたAbbas と名乗る彼と交渉したら、さっきの半額になった。1時間のツアーで約2,000円だ。現地の物価を考えたらこれでも高いけど、彼の人柄のよさに免じてお願いした。

これに乗っていく。モーター付き。テネレはAbbasの家の裏に停めさせてもらう。

こんな小さな船に乗るのはセブ島以来かもしれない。

ボートに揺られながら、湿原を進んでいく。

冬というのもあって、そこまで沢山の生き物が見られるようではないけど、それでも美しいアオショウビンやヒメヤマセミを見ることができた。

大型の猛禽も。揺れる船の上から望遠で鳥類を撮るのは本当に至難なんだな。

葦に挟まれた水路がボートの幅ぎりぎりになることもあって探検感が強い。葦の隙間から巨大な大蛇がでてくるというアニマルホラー的な想像をしてしまうシチュエーションだ。

湿原内の水牛たち。水牛は Jamusa; ジャムーサ といい、イラク南部では酪農の重要なパートナーだ。時々肉も売られている。

野生ではなく、放牧されているんだな と分かる一枚。

種類不明、だけど海鳥のように見えた。湿原の先はチグリスとユーフラテスが合流し、シャットル・アラブ川となってペルシャ湾に注ぐ。

葦の様相も場所によって様々に変化する。まるで石柱のように束になっているようなところもあった。

船頭Abbas が「グェッ、グェッ、グェッ」と鳴きまねをすると、それに共鳴して近づいてくるガチョウたち。

すっかり日ものぼって、これはけっこう最高のツアーなんじゃないかと思えるくらいに気持ちのいい湿原小トリップだ。

途中、同じく舟旅を楽しむひとたちと何組かすれ違った。白人の観光客や地元の観光客、そしてなぜかフル装備のまま楽しむPolice men も・・・。

湿原に突如現れる葦でできた小屋のような建物。後でAbbasに名前を聞いたら Mobiif;モビーフ と聞こえた。

このモビーフを家として、水牛の酪農や漁をしながら湿原で生きる、これが5,000年間つづくメソポタミア南部の生活なんだね。

チグリス川もユーフラテス川も、最上流域はトルコにあるし、どちらも途中シリアを経由するから 下流域を擁するイラクはこれらの国の”水戦争”の影響をもろにうける。ここ10年における湿地帯の水位の低下や干ばつの進行は深刻だという。
世界遺産への登録がこれらを封じ込める一策になればいいけれど、既に登録から6年以上経過するにも関わらず、状況は快方に向かわないようだ。

つづく

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