こんにちは、世界放浪2輪旅を目指す管理人です。
新型テネレが日本での販売を開始して、もうすぐ1年経とうとしていますが、
これだけ時間が経つと、サードパーティからのカスタムパーツ含め、色々な情報がネット上に飛び交うようになってきました。
ぼくもその発信者のうちのひとりであるわけですが、日々他の方の情報を参考にさせてもらっています。
そんな中でずっと気になっていたのが、
「テネレ ノーグリス問題」
特にリンク周りやアクスルシャフトを外すと、グリスが全然塗布されていないというのです。
セロー乗りの方からは、「セローもそうだった」とのことで、ややYAMAHAの傾向としてあるようです。
(経験者曰く、アフリカツインなどのホンダ勢も似たようなものとのこと)。
そんなわけで、ずっと気になっていたリンク周りのグリスアップを行いましたので、その様子をレポートします。
参考になれば幸いですが、もはや重整備の範疇なので、くれぐれも気をつけて作業をしてくださいね。
バイク屋さんにお願いしたり、もっと整った環境の中行うのが、当然ベターなのでそこは悪しからず。
リンク周辺
さて、これが問題のリンク周辺。
左側から見ていますが、
リレーアーム・リンク(コネクティングアーム)・リアショックアブソーバーがこんな感じに組まれています。
一応サービスマニュアルで位置関係を確認しますが、作業自体はただボルトを抜いて戻すだけなので、
あまり活躍しないでしょう。
※サービスマニュアルは日本語版だとけっこう高いですが、英語版は無料でDLできます!勉強がてらとか口実つけて英語版で粘ってますが、日本語版買います。
リレーアームとコネクティングアームの分解
リンク周りのボルトは全て左側にボルトヘッド 右側にナット類 となっています。
なので、右側からまずはナット類を緩めていきましょう。ヤマハ純正のセンタースタンドが付いている前提での作業です。
※色々方法はあると思いますが、ぼくはとりあえずセンスタ立てて作業を開始しました。
いま思えば、この段階から車体を左側に寝かせてしまってもよいと思います。
※車体後方を吊り上げる、とう方法もありだと思います。
※テネレのクレイドルフレームの構造上、推奨はされていませんが、純正ではなく4mm厚などの頑強なアンダーガードがついている場合にのみ、ジャッキアップしてもよいと思います。
ただし、リンク類からボルトを抜く際、リアタイヤを重力に逆らった方向に持ち上げる必要があるので、個人的には車体を寝かせちゃうのがベストかと思います。
あまり長時間の傾斜はエンジンによくないかもしれませんが・・・
これまた色々方法があると思いますが、作業スペース的に十分な長さのスピンナーハンドルなどは入らないので、
ぼくはコンビネーションレンチのボックス+プラスチックハンマー あるいは ボックスソケット+Tハンドル+プラハン で緩めていきました。
当然ですが、かなりのトルクで締まっています。
まずは右側のコネクティングアームが外れました。
次に、ショックアブソーバーとリレーアームの部分です。
ここは、ノーグリスですね。
コネクティングアーム後方側のボルトを、左側に抜き取ります。
ここもノーグリス。
これでコネクティングアームがリンク機構から外れたので、スイングアームがフリーな状態になります。
コネクティングアーム前方も隙間を縫ってなんとか外せます。
これで左側のコネクティングアームも外れました。
やばいぐらいのノーグリス。しかもちょっと金属腐食はじまってる??
全てのボルト貫通部には、カラーが挿入されているので、これらも抜き取りますが、一見外周部はきれい。
最後に、リレーアーム前方のボルトを抜き取りたいのですが・・・・
ここにきてセンスタ固定用のステーと干渉してボルトが抜き取れません。
なのでここで車体を右側に寝かせたいのですが、
当然この状態でセンスタを外すと後輪がシート裏を直撃します。
なので一度全てのボルトを戻して、、、、からのセンスタをはずし、
車体ゴロン。
※最初から車体を左側に寝かせた状態で作業を開始したほうが良いのではないか、の所以がこれです。
ただし、ボルトが簡単に抜けてこない場合、ボルトの尻をプラハンでぶっ叩いてルーズにしておいた方がいいいでしょう。
今回その作業はセンスタたてた状態でやりましたが、車体を左に寝かせた状態でもできるはずです。
・タンク内のガソリン量を可及的に少なくする
・タンク→キャニスター のブローホースをキャニスターから抜いておく
などの対策をした上で行うことを推奨します。
➡【エンジンがかからない・・・ テネレ700 初の本格トラブルシューティング】
右側に寝かせたら、一度戻したボルト類を改めて取り外し、
さて、ここからは左側のセンスタ用ステーパーツを外していきます。
後方のボルトを外しても、
結局干渉するので、
アンダーガードはずして、、、、
前方2か所もはずします。
※ここはフレーム自体にもスレッドがきられているので、裏側のナットを外しちゃってからボルトを回した方がいいかもしれません。
更に中央、裏側からの固定ボルト1か所 これも外して、
外れました、、、トホホ。
これでようやくリレーアーム前方のボルトが抜けます。
なかなか外せなくてかわいいやつよのぉ。
これで、とりあえず目標としていたすべてのボルト類が抜けたので、各パーツをきれいにしていきます。
各パーツの確認とクリーニング
外したパーツ類を全て並べてみます。
センスタ系はある程度パーツクリーナーできれいにするだけでよいでしょう。
問題はこのこたち。
ボルトの状態はそれぞれだと思うので、
状態に応じて研磨します。
カラーも、外周はきれいですが、内面はボルトと同様の状態なので、
可及的に磨きます。内筒を磨く機械があればいいのですが、、、ないので手研磨。
リレーアームの焦げ付きのようなものも研磨しておきます。
今回、更に内部のオイルシールとニードルベアリングには手をつけませんでした。
きれいになった(?)ボルト・カラー達。
リレーアームも可及的にきれいになりました。
組付け
組付けは完全に逆作業をするだけです。
勿論、リンクより先にセンスタステーを取り付けないように注意ではありますが。
せっかくグリスアップのためにこれだけの作業をしているので、グリスまみれにしたくなる気持ちを抑えつつ、
グリスは薄めに控えめに。
リレーアームおよびコネクティングアームの装着。
センスタ ステーの装着。
完了!!おつかれっす。
グリスアっプ後の感想は?
まず、なぜノーグリス?
これって明らかにライン組付け作業時のことなので、納車整備の問題とかではないと思います。
経費削減とはいえここまでということは、おそらく組付け行程そのものにグリス添加が含まれていないのでしょう。
メーカー的には必要ないとの考えなのか、「ラインでそんなとこにグリス塗ってる行程なんてあるかよ」ってのが現実なのか、
あるいは環境負荷を考えてのことなのか、謎です。
潤滑という意味ではグリスの意味はないかもしれませんが、ボルトの耐食という意味では絶対あったほうがよいと思います。
ぼくの場合ちょうど10,000km走行で、研磨しても腐食痕が残るほどなので、
早めにやっておいて損はないと思います。
動きは、、、、
なめらかになった! と言いたいところですが、目視や感触でわかるような変化はありません。
あくまでリンク周りのボルトの防水性・耐食性をアップさせる作業という意味合いが強いです。
まとめ
テネレ700の純正納車整備にして欲しいくらいのリンク周りメンテ。
なかなか気軽に手をつけるには億劫な作業だと思いますが、是非本記事を参考にしていただければ幸いです。
もしも車体をばらした状態でしばらくキープできる方は、ボルト類やカラー類を専門の業者に依頼して、研磨・コーティングしてもらうのもよさそうですね。
ぼくは、青空作業なのに途中で雨が降ってきてしまったため、急いで組付けをせざるを得ませんでした。
こうなってくると心配なのはステアリングコラム内やスイングアームピポッド、それにショックアブソーバーの上側の固定シャフトなどが同じような状態じゃないか、、、
ということですが、出発までの間、できる範囲内で手をつけていこうと思っています。車体への理解は、色々な意味で安心感にもつながりますし。
結論としては、「必須じゃないけど、やっといた方がいいメンテ」といったところか。
症状のない保険の根管治療を、自費の再根管治療でやり直す感覚に近いです。
根の中が感染していても、痛みもなければ食事もできる場合が多いのと同じく リンクのボルトが多少腐食しても、テネレは問題なく走るでしょう。
が、万一症状が出てしまった際のリカバリーに要する労力は、予防処置をしなかった場合 大きな代償となる かも?
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