こんにちは、世界放浪2輪旅を目指す管理人です。
今回も世界1周とは直接関係ない、少しだけつっこんだカメラの話をしようと思います。関係ないとはいえ、世界旅に写真撮影はつきもの。カメラの特性や様々な数値の意味を理解することは、よりよい写真を撮影することにつながります。
いまでは超高性能なデジタルカメラが手ごろな価格で手に入り、カメラのオート機能に任せておけば難しいことを考えなくても綺麗な写真を撮れる時代です。デジタルカメラの機能も本当に多岐にわたるので全てを理解して使うなど、開発部門の人でもないと無理なんじゃないかと思いますが、
外部の光を取り込んで結像する
という根源的な原則はピンホールカメラの時代から変わりません。なので、カメラに光を取り込む段階の構造を理解するのは、撮影をライフスタイルに取り入れようという人にとっては非常に大事なことかと思っています。
F値とは
写真を撮った時に、明るすぎた 暗すぎた というのは、スマホカメラが普及した現代でも共有できる感覚だと思います。
明るすぎ→というのは当然カメラに入る光の量が多すぎた ということであり、
暗すぎた→というのはカメラに入る光の量が少なすぎたということです。
これは当たり前ですね。
そして、「カメラに入る光の量」を決めているのが
●シャッタースピード
●F値
です。
シャッタースピードはシャッターが開いている時間の事なので、イメージしやすいでしょう。シャッターが遅ければ、光の量は増えるし、シャッタースピードが速ければ光の量は減るわけです。
そして分かりづらいのが F値 。これはまんま「レンズの明るさ」を表す数字と理解しましょう。
ただし、F値 は、数字が小さい方が明るく、数字が大きいほうが暗いことを意味します。
F値は絞りで変わる
百聞は一見にしかず、まずはこの動画をみてみてください。
これは古いカメラのレンズを外し、裏側から覗いている状態です。
カメラのレンズには「絞り」という構造があり、上の動画のように、複数枚の板が重なり合うことでレンズに入る光を調整することができるわけです。まさに僕ら人間の眼の虹彩にあたる構造です。
この動画にあるように、
絞る→レンズの口径が小さくなり光の量が減る
開ける→レンズの口径が大きくなり光の量が増える
ということです。
レンズの口径を円として考えると、その円の面積は円の径の2乗に比例します。
つまり、レンズ口径が2倍になれば明るさは4倍、レンズ口径が3倍になれば明るさは9倍 になるということです!
F値は焦点距離で変わる
焦点距離とは、あるレンズがあった時に、
というのが、正しいかと思いますが、なんだか難しくなってしまいますね。
よく見るようなレンズの図ですが、上の図で左側からレンズに侵入しているのが無限遠からの光です。これらの光がレンズにより屈折し、ある1点に収束する、それが焦点です。この時のレンズ主点と焦点とのキョリが「焦点距離」というわけです。上の図では簡略化して1枚のレンズとなっていますが、実際のカメラのレンズは複数枚のレンズで構成されます。そのため、レンズの「主点」は必ずしもレンズの中心にあるわけではないので、レンズ中央、ではなくレンズの主点と言っています。
さて、ここで、焦点距離が異なる2つのレンズを比較してみましょう。
焦点距離 f が L のレンズと、焦点距離 f が 2L のレンズを比較してみます。
上の図のように、焦点距離は長くなるほど結像する像が大きくなります。
焦点距離 L の像が面積 S だとすると、焦点距離が2倍の 2L の像の面積は4倍の 4S になるということです。レンズに入る光の量は同じなので、どちらの像の方が暗くなるか分かりますか?
同じ光の量であれば、広く引き伸ばされた方が単位面積あたりの光の量は少なくなりますね、つまり焦点距離 2L の像の方が4倍暗くなる ということです。
F値 レンズ口径 焦点距離 の関係
以上の事から、
レンズの明るさ F値 はレンズ口径と焦点距離により定まることがわかりました。
焦点距離を f
となるわけです。
これが、F値とレンズ口径(→絞り)、焦点距離を結び付ける重要な関係です。
実際のF値の意味とは
ここまできたら、あとは簡単です。
手元にカメラがある方はそのカメラのレンズを見てみましょう。上の写真のように、
1.8 2.8 4 5.6 8 11 16
と数字が振ってありますね。
デジタルカメラでも、液晶の F~ の部分を見ながらダイヤルを回すと、同じように数字が変化すると思います。
この数字、なんでこんな半端な小数点の数字なんだろう、って思ったことありませんか??
ねーよ! なんの話だよ! 世界1周となんのカンケーがあんだよ!
と思った方もまぁまぁ😊
これは、
絞りを1段階絞るごとに、明るさが $\frac{1}{2}$になるように設定されているからなんですね!
でしたから、
明るさが$\frac{1}{2}$になるということは、
レンズ口径は$\frac{1}{\sqrt{2}}$ になるということです。
先ほどの $F=\frac{f}{D}$ において、レンズ口径 D が$\frac{1}{\sqrt{2}}$ になると、F は$\sqrt{2}$倍になりますね。
つまり、
だから、
1.8 2.8 4 5.6 8 11 16
このように半端な小数点の数字が振られているのです。
謎が解けましたね?
いままでモヤモヤした気持ちでカメラのF値を見ていたあなたも、これで今日からスッキリとF値と向き合うことができるでしょう。
まとめ
少し突っ込んだような内容になってしまいましたが、カメラのF値というものを考えてみました。
F値なんてそもそも知らねーよというひとも、F値はわかるけどなんであんな数字なんだろうと思ってた人も、是非これからは意味のある数字として意識していただけたらと思います。