【Republic of Armenia episode14】Gleb との日々

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

首都エレバンでのダラダラライフを振り返り、記録しておこうと思います。

ドミトリーでの日々

ドミトリーというのは、時にうざく、時におもしろい 変な空間だ。今回の部屋には、クリスチャンのエジプト人、ムスリムのインド人、ロシアからエスケープしてきたロシア人、イランからの出稼ぎ などのメンバーがいた。

インドから留学で来ていた21歳の Adnan とはとても仲良くなり、たまに一緒にでかけた。
彼の母語はカンナダ語だけど、同国内でのコミュニケーションとしてヒンディー語、ムスリムなのでアラビア語も、そして英語はC1レベルで話せ、スペイン語やロシア語も少々 といった多言語話者だ。15歳も若いけど、メンタリティーは凄まじく成熟している。

以前下から眺めるだけで満足していたカスケードに、「上った方がいいよ」と言って脇にエスカレーターがあることを教えてくれた。

確かに、カスケードの上からの景色は最高に綺麗だった。カメラを持ってこなかったことを後悔する・・・

カスケードの頂上から、更に上の方に向かうと この前 Victory Park から眺めた 10月革命記念碑の下に出る。
1917年ソ連成立の大きな契機となった10月革命からの50周年を記念して建てられたモニュメントだ。

モニュメントの高さから南方向にエレバンの街を見る。

ちなみに夜上にのぼるとこんな感じの夜景となる。う~ん、撮影のレベルが低すぎて全然伝わらん。

また別の日、再び Adnan に誘われておすすめの食堂に行くことになった。
Sasuntsi David 駅。

駅構内と、トークン式のチケット。

雰囲気はトビリシのメトロにかなり近い。振動と騒音も似たような感じだった。

やってきた食堂。旧ソ連圏おなじみの選択方式で、好きなものだけおばちゃんに頼んで皿にのっけてもらう。これで600円くらいだから、普通のレストランに行くより断然コスパがいい。

帰りはバスも試してみたい! というと、Adnanが宿近くまで行くバスをみつけてくれた。
1日でエレバンのメトロとバス、両方体験することができた。

バスキングで稼いでいるイラン人のParsa と、ロシアからのエスケープ組 ロシア人のSasha とは、ギタニケーションで繋がる。
バイク旅には極めて不要・不向きなトラベルギターだけど、こんな時 やっぱり持ってきてよかったと思えるんよな。
ちなみにSashaとの写真で管理人が着ているTシャツは、Adnan が 「Lyuhei はいつも同じTシャツを着ているな、俺が新しいのを買ってあげるよ」と言ってエレバンで買ってくれた派手Tである。まさか15歳も年下のインド人留学生にTシャツを奢られるとは思わなんだけど、彼はいつか必ず日本に来ると言っているので それを信じて借りを作っておこう。

Gleb との日々

ドミトリーは数日間だけブッキングしていたんだけど、Gleb から「家に滞在していいよ」と言ってもらえたのをいいことに、しばらくGleb宅に居候することになった。

Gleb邸.

彼のガールフレンドが大の日本好きということで、家の中にはJapanese Items がちらほら。
特にセーラームーンが好きみたい笑
その影響もあって、Gleb自身もオンライン日本語レッスンを受けている。講師はベラルーシ在住の日本人で、Gleb がいつも “Furusawa-sensei is angry” というのがおかしかった。皆が宿題をやってこないから、古沢先生が怒なんだと。

まさかの、アルメニアのアパートの一室に天照の札。
その横のユキヒョウは、多摩動物公園のフクちゃん。

リビングにあるこの Armenian Sofa は、こんな感じでベッドに展開する仕組みになっていて、管理人はここで寝かせてもらっていた。
これ、キャンピングカーとかにめっちゃいい仕組みじゃない?と思った。

ギター繋がり

Gleb はNeo Ride Armenia でも働いてるけど、本職はプログラミングで、更にプロのミュージシャンとしても活動している。あのSlipknot ともプレイしたことがあるらしい! そんなミュージシャンとしての仕事部屋がこちら。

ギターはチェコ製のハンドメイドギター AVIATOR.

日本では見た事がない弦。

管理人も何回か弾かせてもらったけど、このQUADCORTEXというデバイスにプリセットされてる エコーとディレイの効いた何ともいえないエフェクトが最高に心地よかった。管理人がトラベルギター用に持ち歩いているSpark Go じゃ、さすがにこんなサウンドはつくれない。

Gleb が得意とする奏法は主にヘヴィ系メタルのそれで、管理人のフィンガーピッキングとは対極的なプレイスタイルだけど それでも同じギターというcommon sense があるだけで沢山の会話が生まれる。

編集作業をするGleb.
最近はもっぱらガールフレンドのミュージックビデオを編集するのに集中しているようだった。

Khachapuri Party; ハチャプリ・パーティー

とある日、Gleb の友人である Max , Zaira 夫妻と一緒にハチャプリ・パーティーをすることになった。
Khachapuri; ハチャプリ はジョージア料理として有名な あの卵がのっかった目型のパン料理だ。

ハチャプリと一緒に、Zaira がドルマを作っている。

ドルマはイラン~コーカサス~トルコにかけて広く愛される料理で、主にブドウの葉っぱで各種スパイスを練り込んだひき肉を包んでつくられる。

“箸休め”的なきゅうりの叩きサラダも、Zaira流。

一方、こちらではパン粉を器用にこねてハチャプリの形に伸ばすGleb.

チーズをたっぷり包み込んで、

上から溶いた卵をかける。少しガーリックを利かせるのが Gleb流。

オーブンで焼き上げて、完成!
レストランでしか見たことがなかったハチャプリだ~ ちょっと感動。

豪華な夕飯が出揃った。
ドルマはイランで食べた時にあんまり美味しくないと思っていたけど、今回のドルマはとてもおいしかった。
ハチャプリは、実は見た目があまりにヘビーで一度も注文したことがなかったから、今回が初めてだったけど これもうまい!

バイカー仲間の Daniel, 管理人、Max Zaira 夫妻と Gleb.
素敵な夕飯をありがとう!

Aparan Reservoir ショートツーリング

またとある日、Neo Ride Armenia の前にて。
この日は Daniel, Gleb と3人でショートツーリングへ行くことになった。

Daniel の愛車は KTM 690 Enduro R, Gleb は Husqvarna 701 enduro.

排気量こそ同じだけど、雨でぬかるんだ道はテネレではややきつい!
ってか荷物置いて来ればよかった!

完全に Anakee ADV のカバー範疇外。

もはやタイヤのなのか泥の塊なのかわからん。

そんなこんなでやってきた Aparan Reservoir.
遠くで ゴロゴロと雷が鳴るのを聞いて、”ummm, this is “NOT” good sound” とか言い合うのが面白い。
タフなロシアンガイが2人いれば、正直なにがあっても怖くない。

ひとりでバイクに乗るのは、色々な意味で自由だけど、こうやって数人で一緒に走るのも ほんとにいいもんだ。
マスツーだけは性に合わないけど、3人くらいで一緒に走るのは 頼もしいし、喜びを共有できる。

テネレがぶっ倒れても、

皆で押して、

自分が走ってる姿も撮ってもらえる。

にしても、ゴリゴリのエンデューロ2台とフルパニアのテネレって、変な図。

湖からの帰り道に予期せぬイベントが発生した。ジモティーがぬかるみにスタックして動けなくなっていたのだ。
NISSAN の TIANA で何でこんなところに突っ込んだ??

みんなで押したり、他の車から牽引したりするも完全に表面すべりして中々リカバリーできない。
結局、ジモティーの知り合いが助けにくるのを皆で待つ。

その間、管理人は2人のエンデューロバイクに試乗させてもらって遊んでいた。
なんていうか、やっぱシングルのミドル排気量ってすさまじいパワーなのね。
テネレも十分パワフルな部類だけど、それに比しても後ろから蹴り飛ばされるような感覚だった。こりゃ楽しいわ。

その後、やってきた他の車の牽引によって NISSAN TIANA は無事沼から離脱。
それを見届けて我々も帰路へ。

帰り道、巨大なクロスのモニュメントにやってきた。

モニュメントは大量のパイプをつなぎ合わせることでつくられていて、神聖というよりはおどろおどろしい雰囲気。

予期せぬ日産レスキュー・イベントにより すっかり夕暮れ。

素晴らしい Day Tour をありがとう!

後日、泥まみれになったテネレ、

特にエキパイ周りに泥が固着すると、走る度にこいつらが焦げて独特の焦げ臭さが発生する。

Neo Ride Armenia の洗車スペースにて、

高圧洗浄で綺麗に洗ってくれた、まじでありがとう!

JOJO Party; ジョジョ観賞会

またまたとある日、今度は Max Zaira 夫妻の家にやってきた。
この日は Zaira の出身地である Dagestan; ダゲスタン共和国の郷土料理をつくってくれるという。

Max もギターを弾くから、部屋にはギターとベースが5本あった。

Max と管理人がギターの話をしている横で、Zairaが料理を進めてくれている。
ブロックの牛肉をシンプルな味付けで煮込み、

小麦の生地を伸ばして、

小さい菱形に切っていき、さきの肉の煮汁で茹でていく。

このダゲスタン料理の名前は、カタカナではもはや表記できない発音だったけど、あえて書くなら ヒンカル ってな感じだった。ジョージア料理ヒンカリと間違えそう。

これに、トマトソース・ガーリックソース・ウォールナッツ をトッピングして食べる。

肉がかなりボリューミーだけど、ガーリックとトマトを混ぜたソースにつけて食べると、これもかなりうまい!

食べ終わった後は、みんなでお酒を飲みながら JOJO を観賞笑
音声は日本語で、ロシア語字幕がつく。管理人は JOJO はあまり知らなかったけど、海外には JOJOファンが多い。
劇中のセリフに対して、「日本では本当にこんな言いかたするの?」なんて質問も 考えてみた事もなかったことばかりで面白い。
いずれにせよ、また日本のアニメのおかげで皆と楽しく交流することができた。
Max Zaira 夫妻、素敵な夕飯と観賞会をありがとう!

Gleb 宅にて

Gleb 宅にいる間は、基本ただダラダラと過ごしていた。
大学の同期は毎日臨床に汗を流し、相談LINEにもたまに症例の相談が送られてくる。
友人たちの闘う日々と、自分の日常の大きな乖離にはもう何も感じないけど、特にやることの無い Lazy days には、自分のキャリアを振り返ってしまうこともある。

人ん家の玄関で図々しく荷物を広げて色々と整理をする。

広々としたリビングで、PC作業。

とある日、Gleb がサーモンを焼いてくれた。

各種スパイスを練り込んで焼くだけでとってもシンプルだけど、

これが最高にうまかった!

Gleb お気に入りのジンジャエール。
やっぱジンジャエールは  CANADA DRY じゃなくて WILKINSON だよな! と盛り上がる。

Gleb のキャンプギアもいくつか見せてもらった。
KOVEA は韓国のアウトドアギアメーカーで、確かサウジアラビアのテネレ乗りも使っていたような。

実によくできていて、クオリティは高そう。Gleb にも管理人の SOTO製ストーブを見せてあげた。
KOVEA のこのストーブは、どっちかというとMSRのドラゴンフライ系の雰囲気。

セイウチのロゴがかわいいコッヘルなど。

管理人のトラベルギターを Gleb にも試してもらったり。

あとは、Gleb のおすすめの日本のアニメを一緒に見ながら、配達された夕飯を食べつつ ギターの事・バイクの事・日本の文化について・今までの人生の事やこれからの人生の事、まったくもって下らない話まで 毎晩遅くまで話した。

「バイク乗りって、何日間風呂入ってないかを誇らしげに語る癖があるよな!」 みたいな。

Gleb はロシア国籍でロシアのパスポートを所持しているから バイクで沢山の国を旅するという事に関してハードルが圧倒的に高い。
それ故に他国への移住や多国籍のパスポート取得を目指しているけど、それもそんなに簡単なことではない。
改めて、自分が日本のパスポートを所持しているという当たり前の事を鑑みる機会になった。

結局、1週間以上も居候することになってしまった。たまたまガールフレンドがサンクトペテルブルクに帰省している最中だったというのもあったけど、バイクの事から食事や寝床まで 本当に世話になった。またしても感謝しきれない恩ができてしまった。
Gleb とは、英語のレベルが近いことに加え バイクやギターといった共通の趣味 そして色々な意味でメンタリティーが近いことで、長く知り合った友人のように話ができた。
きっとまた世界のどこかで会うだろう、その時は恩返しさせてくれ。

Bye for “NOW”

つづく

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