【Republic of Armenia episode 1】アルメニアに入国~北部は廃墟天国だった

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

ジョージアはまだまだ周遊し足りてないのですが、違反謹慎期間含め自家車両の滞在期限を過ぎてしまっているため とりあえず早めに出国することにします。

アルメニア-トルコ間国境が閉じているので・・・

アルメニアとトルコの国境は陸路では越えられないから、
①アルメニアの後ジョージアに戻ってトルコへ
②アルメニアからそのまま南へイランを経由してトルコへ
のいずれかを選択することになる。

②の場合は失活したカルネを何かしらの方法で復活させにゃならんけど、JAF経由の延長手続きはクソ(パキスタンで期限切れとなった際のやりとりで痛感)だと分かったいま、最も有効な手段は他国からカルネを新規で購入する方法。
https://www.tcs.ch/fr/camping-voyages/informations-touristiques/bon-a-savoir/reglementations-vehicule/carnet-de-passages.php#anchor_online
他のオーバーランダーなどの実績なんかも鑑みて、Touring Club Suisse から購入するのが一番可能性が高いけど、車両価格を低く見積もったとしてもデポジットで 3,000スイスフランが必要になる。
既に出国して2年経とうかというこのタイミングでの出費としては痛すぎる。しかも使うのがイラン北西部の通過のみって、もったいなさすぎるだろ。

①に関しては、たぶん問題ないと思うけど、交通違反+車両超過滞在の記録がしっかり残るだろうから、アルメニアからの再入国ができるのかどうか、はっきりとは分からない。アゼルバイジャンは依然として陸路での越境が不可能だし、アルメニアは黒海にも面してないから、もしジョージアへの再入国ができなかったら文字通り袋小路になる。

ここまでのルート

アルメニアへ越境

まぁそうなったらそうなったで、駄々をこねるなり なんとかなるだろ。
なんとかならない時も、一周周ってなんとかなるはず、たぶん 知らんけど。

ってな感じでトビリシを出発。
まぁまたジョージアに戻ってこられれば、またこの街も走り回れるだろう。Nate たちともまた会いたいしね。

トビリシから南下すると、すぐにトビリシの華やかな雰囲気はなくなり、廃れた田舎道を走る。

廃墟も多く、おそらく今後数十年はこのまま放置されるであろう忘れられた建造物たちが目立つ。

国境手前にして道が大きく開けて、

ジョージアの出国ゲートが見えてきた。

入国の時に比して国境はかなり空いていた。
ジョージアの国旗の向こうに、アルメニアの国旗が見える。
アルメニア人虐殺で流れた血を象徴する赤、自由を象徴する空の青、そして国を代表する果物 アプリコットの黄色が並ぶフラッグだ。

出国の際は、案の定バイクの超過滞在が問題となった。
別室送りになって小1時間、なにやら書類をつくってくれてるのを待ったあと、イミグレ棟にある銀行で罰金を支払った。
元々General Motorcycles で聞いていたから覚悟はしてたけど、本当に 1,000ラリとられた・・・・こいつは痛い・・・
確かてっか氏がコロナで同じく足止めを食らった時は、3年半の滞在で500数十ラリだったと聞いていたけど、排気量のせいなのか、コロナ後の物価⤴⤴が国境での罰金にも影響してるのか・・・。

超過滞在罰金の書類。

アルメニア側の入国は簡単なものだった。
深緑の制服に、帽子を被った姿の凛々しい国境スタッフはとてもフレンドリーで、パスポートへの押印の後、
イミグレ棟で バイク用の Declaration Letterをその場で発行してもらい、荷物検査は超テキトーで終了。

Border Information
Border Point : Sadakhlo→Bagratashen
DEPARTURE
No carnet
No covid
Vehicle overstay fine: 1,000 ₾🤑
No inspection
ENTRY
No Carnet
No Covid
No fee
Face photo
Minor inspection
Declaration letter of motorcycle (on arrival)
Vehicle insurance: 6,000 ֏ 10 days
9,000 ֏ 15 days
13,000 ֏ 30 days

長蛇トラックの脇を抜けて、

今回も、無事 アルメニアに入国。
入国ゲートを出てすぐ、オーバーランダー目当ての保険屋に雇われた少年が、こっちこっちと客引きにやってきた。
いずれにせよ保険加入は必須のようだし、SIMも一緒に買えるっぽいから、少年の働きに免じて引っかかってやる。

保険はとりあえず10日分+SIMは1か月データ無制限で 13,000 ֏.
アルメニアの現金は持ってなかったから、ジョージア・ラリで概ね同じくらいの金額でいいかと聞くと、ギリギリ足りて無さそうだったけどOKしてくれた。

保険書類。

アルメニア北部とは これ 廃墟天国 也

国境を越えた後は、基本的に南下してまず首都のエレバンを目指す。
先述の②を選択する上は、また北部に戻ってくるから、まぁほどほどに。

小コーカサスがもろにかぶる国土は、大半が山岳地帯で、道路もつづら折りやアップダウンが激しい。
小規模河川も無数にあって、デベド渓谷を流れるデベド川沿いに進む感じで南下していく。時おり出現する廃墟ではない石造りの家がかわいい。

あえて脇道に入らなければ、インフラ整備はしっかりしていて 思っていたより走りやすい。
道路にいきなりでかい穴や地割れのようなクラックが出現するのは もはや愛嬌の範疇という気がしてきた。

野焼きをするロリ地方の農家のおっさん。

あるわあるわ、廃墟の数々。
この打ち捨てられたロープウェイやら倉庫、

現役だったらすいませんな工場や架橋。

廃墟好きが来たら、気になって全然進めない 隠れた廃墟天国だと言わざるを得ない。

こういう家も、もはや廃墟なのか現役なのか知らんけど 何とも言えないソ連臭が、刺さる人には刺さるんじゃないだろうか。

そんな感じであっちこっち気になりながらも、「まぁまたアルメニア出国の時通るから」と言い聞かせて進んでいくも、

いよいよ看過できない雰囲気を醸し出す街が見えて来る。

いやいやいやちょっと待て、これはさすがに本の世界か何かなのか?
2024年のこの時世に、この雰囲気は反則すぎるだろ。まるで戦後まもなくの鉱山都市がそのまま時を忘れて取り残されたような、人々に忘れられた街が、主を失くしてなお自然に凌駕される過渡のような。

この街は Aalverdi; アラヴェルディ。2018年に閉山した銅の採掘都市だ。シンボリックな煙突は銅精錬所のそれで、ソ連時代は大変賑わったらしいけど、閉山の後、Covid蔓延・アゼルバイジャン間のカラバフ紛争も相まって すっかり人口が流出し 政権からの都市復興も及ばず こんな形で今なおわずかに人が残る旧鉱山都市となったらしい。

少しだけ街の中に入っていく。アラヴェルディ教会。
周辺の荒廃ぶりに比して、なんだか綺麗で浮いていた。

この街はかなり楽しそうだ、また北部に戻ってくるときに寄ろう。

デベド渓谷に広がる異世界を、名残惜しく後にして やや先を急ぐ。

Sevan;セヴァン湖へ

ジョージアの出国に思ったより時間がかかったせいもあって、思ったより早く日が傾いてきた。

小コーカサスの山稜が眼前に広がって、その内の多くは雪を被っている。

途中で通る小さな街にも、必ず教会がある。

西側を代表する Coca Cola のひさしさえ、ここではソ連臭を放つ不思議。

ロリ県からアルメニア最大の湖 Sevan; セヴァン湖のあるゲガルクニク県にかけて、標高はどんどん高くなって気温もなかなかに寒くなってきた。

宿もないのに、アルメニアのよくわからん場所で日が傾いてきても、一切の不安という気持ちが湧いてこないのは、確かに何かしら感覚がおかしくなってるのかもしれない。

テネレと共にここまで走ってきて、
すぐ目の前に迫る雪山と、その麓に広がる小さな村という景色を眺めている、謎の充足感を思い出す。
そういえば こんなわずかな充足感の積み重ねを求めて 旅をつづけているのかもしれない。

とはいえ真っ暗になるといろいろめんどいので、山道を進んでいくが、

おそらくこの山岳道路の峠頂上と思しき Dilijan トンネルを抜ける頃には、すっかり暗くなってしまった。
今日中にエレバンまで到達するのは無理だな。

気温は5℃くらい?

ここからセヴァン湖に抜けていく道路の途中、ありがたき食堂を発見。

辺境チックな場所でも、こんな綺麗な食堂があるのは さすがにCIS諸国といった印象で、パ〇スタンやイ〇クの辺境とは違う。

旧ソ圏おなじみの ストローバヤ形式で、

惣菜コーナー的な感覚で好きなのだけ注文する。

腹ごしらえした後、ようやくセヴァン湖に辿り着いた時には真っ暗だった。湖岸北西部は整備されてる場所が多くて、なかなか野営できそうな場所がみつからなかったけど、しばらく回りを探索して良い場所を見つけられ、アルメニア最初の夜はテント泊となった。

つづく

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