【People’s Republic of China episode 1】標高4,900mの峠の頂上から 中国 新疆ウィグル自治区へ入国

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

パキスタン最後の街 グルミットを去り、いよいよ中国へ突っ込みに行きます。
色々と不安要素満載で、入国どころかパキスタンを無事出国できるかも怪しいところですが、ジャスト・トライです。

ここまでのルート

パキスタンの出国

今回越える国境は、峠の頂上ということもあって、パキスタン側の通関は実際の国境よりも手前にある Sost; ソストという街で行うことになる。

グルミットでお世話になった宿。

北部の自然保護区に入っていく。

“Land of Snow Leopard” の看板にテンションがあがる。ほんの極稀にハイウェイからユキヒョウを見る事があるらしいけど、当然ながら今回はそんな幸運には恵まれなかった。

秋になると、道脇の木々は紅葉して、また別世界になるらしい。それも想像するだけでどれだけ美しいだろう。

これが、「軽自動車大」の落岩。落ちてる瞬間は雷みたいな音がする。

フンザ川の向こうで何やら作業をする人々。洗濯?と思ったけど違うなぁ。なにやらシャベルですくった砂泥を板の上に流して水で濾してる??

Afiyat abad; アフィアットアッバードの街までやってきた。この街の北側に通関のオフィスがあるはずだ。

道を進んでいくと、道路はゲートで封鎖されていて、いずれにせよ通関を終えないと先へは進めないようになっていた。

パキスタン側の処理としては、バイクの通関とイミグレのスタンプ、どちらもここソストで行う。
カルネの有効期限問題に関しては、また 本ブログでの明記は避けようと思う。いずれカルネの刷新を行い現寄託金が一度キャンセルされた暁には、ここ最近の奮闘を振り返られたらと思う。
オフィサーとの面接みたいな形で2時間くらいかかっただろうか、最終的に カルネにパキスタンの出国スタンプを、そしてイミグレも無事終えて、パキスタンの出国手続きを済ませることができた。

ゲートを北側に抜けたところ。

Khunjerab Pass へ

いよいよカラコルムハイウェイの終盤にはいっていく。

途中から道路は Khunjerab National Park の領域内に入る。まさかのここで入場料が6,000PKRもかかるという。幸いぎりぎり手持ちの現金があったからよかったけど、無かったらドルを失うところだった。

交通量はほとんどなくなり、一人だけでこの道を走っているような気分になる。

すでに少し色づいた木木。

パキスタン最後の日、嬉しいことに野生のアイベックスに間近で出会うことができた。今まで見て来た家畜のラクダやヤギとは違う、完全な野生のアイベックスだ。

なんて立派な角だろう。アイベックスのようなアンテロープの角も、他のウシ科と同様 洞角で、コアにある骨の上を角質の分厚い鞘が覆っている。

アイベックスを惜しみつつ、先を急ぐ。中国側のゲートは北京時間で動いているため、自動的に3時間も進んだ時間で考えなければならない。

ヒツジに混じってヤクがいる。

 

だんだんと標高が上がっていく。バイクを下りて、写真を撮って、という一連の動作で 信じられないくらい息がきれる。

道脇のヤクたち。

やがて道はハイウェイの脇はどんどんと雪で覆われていく。すでに標高4,000mを越え、富士山の頂上よりも高い位置にいる。

つづら折りで更に標高を上げる。

頂上付近にはゲートがあり、ここで中国ビザを見せると、通してくれた。

世界で最も高い位置にあるATMらしい。閉まっていて使ってみることはできず。

そしてついにやってきた! Khunjerab Pass の頂上。そこには中国の巨大な門が待ち構えていた。
標高4,900m. 多くの人はここで記念写真を撮って引き返していくけど、管理人はここを越えていく。

頂上から東西の雪景色。

中国に入国

中国は海外ツーリングの鬼門だ。
基本的に個人が車両を伴って入国するのは難しいとされてきた。
それに加え、他国が国境を開くなか、中国は依然として国境を閉じ それがようやく開いたのがつい最近のことだった。

そんな中、中国が国境を開いたことで 中国国内のオーバーランディング専門のエージェントが車両に関する複雑なペーパーワークを代行し、なおかつ国内の併走をしてくれるサービスを再開していた。
パキスタンでルートの変更を検討し出したタイミングで連絡した数名のエージェントの内、ひとりだけ返信が返ってきたため、彼と連絡を取り合い、この入国日に備えていた。

ただ、「3年半のロックダウンの後、パキスタンから外国登録の車両で入国する最初の外国人」だということで、エージェントも最終的に通過できるかどうかはやってみるまでわからない というめちゃくちゃ不安な状況だったのだ。

国境の写真を撮りたかったけど、残念ながら写真を記録することはできなかった。唯一、外した荷物の写真だけ。

まずこの国境では、バイクから全てのパニアやバッグ類を取り外し、それらを全てX線に通す。その後中身も概ね全部開けさせられて 用途不審なものがあるといちいち質問される。バイク自体もX線にかけられた。PCとスマホの中身も軽く確認された。今までの国境で圧倒的に一番厳しい。

3時間半くらいかかっただろうか、全ての荷物を再び元に戻す。標高が高いから、その作業だけでやっぱり息がきれる。
この国境を越えることで、時間が3時間進む。中国は東西に広大な領土を持ちながら時間は北京時間で統一されているのだ。
ただし、ウィグル自治区は北京から経度にして60°近く西側なので、あまりにも不便ということでローカル・タイムが別途つかわれていたりする。

事前に聞いていた話では、Khunjerab の峠から最初の大きな街、Tashkorgan までは公安の併走があると聞いていたのだけど、なぜか一人で走っていいということになる。
これは予想外のラッキーだった。

なにはともあれ! いま自分は新疆ウィグルを自分のバイクで走っている!
また新鮮な景色もさることながら、その事実が妙に嬉しかった。

ラクダのコブが2つになる。中東でみてきたヒトコブラクダに対して、フタコブラクダは未だ野生種が存在する。家畜種の学名にもなっている “バクトリア” は、かつて中央アジアで栄えた王国の名前だ。

景色はパキスタン北部の冠雪した山々と、どこまでも広がる平原をミックスしたような感じなのに、看板の標識は漢字でなんだか変な感じ。

少し天気が悪くなってきたけど、

降られることなく無事 塔什庫尓尓干; Tashkorgan; タシュクルガン の看板が見えてきた。看板の感じの上が、ウィグル文字だ。

この街で現地ガイドの Russel氏と合流のはずだけど、ネットワークに繋がっていないので連絡がつかずどこに行けばいいのか分からない、、、
と道をゆーーーっくり走っていると、反対車線で待ち構えるように手を振っている Russel氏を発見。
見つけやすい場所でずっと待機していてくれたっぽい、、、すまん、、、

でも長かったのはここからだ。
パキスタンの通関が国境から離れた Sost にあったように、中国側の通関(そしてイミグレも)も国境から離れたこのタシュクルガンにある。
写真はタイヤに消毒液をかけているところ。

再び全ての荷物を外すように言われ、なにやらQRコードを読み取ったり、両手10本指のスキャンをしたりしつつイミグレの列に並ぶ。

が、なかなかパスポートにスタンプを押してくれないなぁ と思っていると、別室に案内されて質問タイムスタート。

シリアでなにしてた?
イラクの訪問の目的は?
なんでイランに50日以上もいた?
パキスタンで訪問した都市は?

などなど、明らかに目つきがク〇な職員ひとりが粘着にへばりついてくる。

さらに、パソコンとスマホを開かされて、Whatsappの会話履歴、Lineの会話履歴、保存しているドキュメント類や画像、全部中身を見られ、執拗に質問がつづく。
お前らにそんな権利があんのか?と思ったけど、まぁ税関にはあるんだろうな。
しかし〇ソうざい。だけど我慢だ。
目つきク〇野郎に加え、制服に身を包んだ中国人5~6人のオフィサーも集まってきてかなり嫌な感じの雰囲気だったけど、最終的にはパスポートに入国スタンプをもらうことができた。
ここまででまた3時間半くらいだろうか。
外したまま放置していた荷物を全て、またX線に通し、幸い開梱チェックはなかったので、これにて通関とイミグレが終了した。

正味のインスペクション・インタビュー・待ち時間は7時間を超えてるんじゃないだろうか。ようやく全ての作業を終えて、すっかり暗くなったタシュクルガンの街で、Russelと夕飯を食べに行く。

Russel おすすめの店で頼んだ Laghman Noodle と、ウィグルのチャイで 今日の疲れが一気に癒された。
やっぱり中国、今までの中東~パキスタンの味より、圧倒的に舌に馴染む。

Border Information
Border Point : Khunjerab Pass (Pakistan customs: Sost / China customs: Tashkorgan)
DEPARTURE
★Carnet stamped
No Covit
Departure fee : none
Face photo
ENTRY
No carnet
No covid
Face photo (only at the customs office)
10 fingers scan (only at the customs office)
All luggage inspection & X-ray(twice)
Motorcycle X-ray(only at the pass)
Interview about immigration history for 2~3 hours (only at the customs office)
They open a PC, mobile and notebook and a plenty of questions about them(twice)
VISA in advance approx 60 USD → single 1 month
Customs fee : none
Need Guide
Unknown complicated paperworks → insurance/temporary license…

つづく

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