こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。
カタールの首都ドーハは、ベイルートやバーレーンの辿った中東の中枢的金融都市の座を引き継いだドバイに次いで、アブダビやテルアビブと共にアジアとヨーロッパ、そしてアフリカの中継的な重要都市として急成長をしてきました。
2021年には近隣Gulf諸国との国交も回復し、ウクライナ紛争の影響もあり益々高まるLNG需要。今年11月のワールドカップ開催もあって更に国際社会でのプレゼンスが高まる事間違いなさそうですね。
そんなドーハにて、バイクが戻ってくるまでのヒマタイムに訪れたミュージアムを2つ紹介したいと思います。
National Museum of Qatar カタール国立博物館
ドーハの地下鉄
この時はまだバイクが戻っていなかったので、地下鉄を使って移動してみた。
ドーハメトロは今年のワールドカップに向けて2019年頃より段階的に開通していて、今では利用者もかなり増えた様子。
今後も更に路線や駅数が増えていくらしい。
今回はSouq Waqif 駅から乗ってみよう。
駅構内はこのように素晴らしくキレイ。これにはさすがに東京の地下鉄も敵わないかもしれない、まぁ経年が違うから一概には比べられない。
ドバイメトロと同様、プリペイド&リチャージ可能なチケットを購入。
メトロの乗車には
・専用の健康管理アプリの提示
・マスクの着用
が必要のようで、健康管理アプリはないのでワクチンパスポートを提示したら問題なく通してくれた。この辺はザル感が漂う。
屋外ではスークのような混雑する場所でもマスクをしている人は皆無だけど、メトロでは皆けっこうちゃんとマスクしてる。
現在開通している路線は レッドライン・グリーンライン・イエローライン の3路線。日本の複雑怪奇な路線に比べると非常にシンプルで分かりやすい。
Msheireb駅が中心となって各線が放射状に伸びているのがわかる。
National Museum 駅方面の車両に乗る。
知らないで乗ってしまったんだけど、この先頭車両は「ゴールド・クラブ」という日本でいうグリーン車のような車両で 本当は別料金枠。人が乗ってないもんなんで何も言われなかった。
この車両、製造は日本の近畿車輛で、他にも三菱重工や日立などが各システムを手掛けている。
前の記事でも書いたけど、アブダビのバラカ原子力発電所みたいに中国や韓国企業に入札させて後々低クオリティが露呈するより、日本や欧州企業に任せた方が絶対安心よね。
National Museum of Qatar
National Museum 駅を降りると、もうミュージアムはすぐ歩いたところにあった。
2019年開業のこの美しい国立博物館は、見ての通りの独特なデザインで、男子だったら鉱物標本で一度は見たことがあるデザートローズをモチーフにしている。設計はフランスのジャンヌ・ヌーベル氏とのこと。
・Covid :一応ワクチンパスポート提示したけどほとんど見てなかった
・入館料:QAR 50 = 約1,950円
館内のほんのごくわずかな写真を載せようと思う。
1:1に近い画角、ローライで撮られたんだろうか。
じっくり見る系の人だと 2時間あっても足りないと思う。基本的には19時閉館なので ゆっくり見て回るのであれば16時前には入館するのをおすすめしたい。
夜のミュージアム
そのくらいの時間に訪れれば、見終わる頃にはちょうど暗くなっていて 夜の美術館を見ることもできる。
嬉しい併設展(?) で 憧れの車に遭遇
常設展を出て夜のミュージアムを徘徊していると、向かいの建物の中に車が展示されている・・・・
普通に展示スペースに入ることができた。展示されていたのはなんと、1963年製 Ferrari 250 GTO Berlinetta.
この車に関して書き出すと、全く主旨違いの長文になってしまうので避けるけど、触れられるような距離で実物を見ることができたのは幸運意外のなにものでもない。車体に顔を近づけるとこの時代特有の内燃機関の匂いがかすかにする 最高だった。
アメリカのGM製で、車体外装が全てスケルトンになっている。
フランスのドライエというのは、管理人も全然知らなかったけど1960年以前には消滅したブランドらしい。同車はイギリスの女優ダイアナ・ドースが所有した有名な個体とのこと。
Museum of Islamic Art ドーハのイスラム美術館
ドーハ沿岸部、キューブを積み重ねたようなこの特徴的な建物が、イスラム美術館。
入口までは美しく整備されたスロープがつづく。
実はイスラム美術館はずっとリニューアルのために休館していた。
それを知らずに一度訪れて、地元のタクシードライバーに「今はやってないよ」と言われがっかりしていたのだけど、幸いついこの間再オープンしたようで、ドーハ滞在中に訪問することができた。カタールのイスラム美術館はイスラム美術のコレクションにおいては世界でも随一で、7世紀~20世紀にかけてイスラム文化圏の膨大なコレクションが展示されている。
・Covid:なし
・入館料:QAR 100 = 約3,900円
設計はルーブル美術館のガラスピラミッドで有名な イオ・ミン・ペイ氏によるもので、2008年開館。
全5階で、グランドフロアはショップやカフェ、2~4階が展示スペースで5階はレストランとなっているけれど、リニューアル直後で今回は2~3階のみの展示となっていた。たぶん、4階は10/26~のバグダッド特別展示の準備がされているのかもしれない。
とにかく開放的な空間で、いまは人も少なくくつろげるスペースも多い。
展示は各フロア、中央の吹き抜けをCの字に取り囲むように配置されている。
全ての展示スペースは空間を贅沢に使って、展示物が最も魅力的に見えるようにライトアップされ、
静寂で、清潔で、素晴らしく管理された空間だった。
大量に撮影した写真のなかかからいくつかだけ紹介したいと思う。
7-8世紀 ウマイヤ朝 シリアのガラス製フラスク。
11-12世紀、ファーティマ朝 エジプトもしくはシリア 金とエメラルド、ガーネットがあしらわれたアームレット。
10-11世紀、ブワイフ朝もしくはガズナ朝 イランのガラスが付着した土器。
9-10世紀 サッファール朝もしくはサーマーン朝 イランの六芒星があしらわれた皿。
9-10世紀 サッファール朝もしくはサーマーン朝もしくはブワイフ朝 イランの馬をモチーフにしたガラスボトル。
1004年 アンダルス(後ウマイヤ朝?) スペインの手彫り・ニス仕上げの象牙製ペンケース。
1663年 ムガル帝国 パキスタンの天球儀。鋳造真鍮への彫金と銀の象嵌。
1846年 オスマン帝国 エジプトのシタラ(カアバを包む布 キスワのうちカアバの扉を覆う部分)。
1203年 アッバース朝もしくはザンギー朝 シリアもしくはイラク北部のコーラン。
19世紀後半 イギリス領インドのヴェルベット・コート。
17世紀 ムガル帝国 インドの耳飾り。エメラルド、ルビーなどが金に象嵌され、真珠もあしらわれている。
20世紀 インドのファルコン型フィニアル・オーナメント。ルビー、サファイア、エメラルド、オニキスと金とエナメル。
15-16世紀 ティムール帝国もしくはサファビー朝 イランの金をあしらわれた瑪瑙の器。
15-16世紀 オスマン帝国の騎兵。
18世紀 ムガル帝国 インドのウーツ鋼ハンジャル。柄にはダイヤモンド、ルビー、金、エナメル。
15-16世紀 オスマン帝国 トルコの釉下彩陶器。
まだまだ沢山紹介したところではあるけれど、きりがないのでこれくらいにしておこうと思う。
1300年以上前から、近代にかけてのあらゆる陶磁器、ガラス細工、宝飾品、武具、書物、タイル、天文学器材、金属加工物・・・・
これは上述のNational Museum よりも更に見ごたえがあった。
1階のショップには展示物をオマージュした小物や雑貨、書籍が多数販売されている。
さて、カタールのイスラム美術館だけど 世界史や古物に興味のある人なら間違いなく入館料に見合ったものを得られると思う。
所要時間はやっぱり3時間といったところだろうか、もしも4階まで展示が開示されちゃった日には2日に分けたほうがいいかもしれない。
見終わって外に出ると、ちょうどカタール半島の西に向かう太陽が湾面を照らしながら対岸の町の更に向こうへ沈んでいくのであった。
おまけ
今回の旅ではキャッシュレス決済のメインにRevolutカードを利用している。
➡【海外でのお金の管理あれこれ】
アプリでのリアルタイム管理や手数料の少なさなど、めちゃくちゃ使い勝手がいいものの まだスタートアップで仕様変更が多いという欠点が危惧されていたけれど、案の定一方的に現在使用しているカードが有効期限前に使用できなくなるとの通知が届いた。
幸いドーハでの滞在が長かったので、新しいカードを日本の実家宛てに再発行し、それをドーハの滞在ホテルに送ってもらった。
登録国以外への住所変更ができないのは今回初めてわかったことだった。
つづく