【自転車の話】軽く100年 自転車用オイルランプのネジ製作

こんにちは、離婚・退職して世界1周を目指す歯科医ライダーの管理人です。

過去の作業を振り返る、完全自己満企画です。
今回は自転車用オイルランプに使われていたネジを製作しようと思います。
え?自転車オイルランプって、なんじゃそりゃ?
そう、昔は自転車も車も、オイルランタンみたいのをヘッドライトとして使っていたんですね。

Early Cycle Lighting

今回扱う自転車用のオイルランプというものが、どれくらい古いものかというと、おそらく1890年代~1910年代くらいのもの。つまり、2020年となった今、軽く100年以上前のランプということです。
この時代の自転車用ランプといえば

・キャンドルランプ
・オイルランプ
・カーバイドランプ

のいずれか。
カーバイドランプはその構造上どうしても武骨で大型になりやすいのですが、オイルランプは小型にしやすく、優雅で美しいデザインのランプが多数世に送り出されたようです。

 

この辺の細かいことは、
Peter W. Card 著 ”Early Cycle Lighting” に詳しく記載されてます。
この本、アマゾンで調べたら恐ろしい金額になってるんだけど、なんで・・・?
よかった買っといて(;’∀’)
以前はこの著者のHPがあり、非常に重宝していたのですが、、、本の出版と共にページが閉鎖された模様。残念。

P&A oil lamp

今回作業するのがこちら。P&A社製 オイルランプ。
非常に状態はよく、ウィックの出し入れすらスムーズでしたが、

この穴には何かはいっていたんじゃ・・・・?
ということで、先ほどのPeterさんのサイトで調べると、、、

あった!

やはりここには本来このようなクローバー型のネジがあったんだ。
おそらく、ウィックを出し入れするノブを固定するためのもの?

ロストワックス法

ん~別に使うわけでもないし、このままで困るわけじゃないけど、
なんか気持ち悪いなぁ とずっと思っていて、
結果
ネジをつくろう ということになりました。
で、今回はネジの頭の部分の形状的に削りだしで作ろうとすると切削量が半端ないので、
「鋳造」することにしました。

鋳造にはいろいろ方法があると思いますが、今回は「ロストワックス法」!
なんかRPGに出てきそうな技の名前みたいですね。
ロストワックス法は以下のような手順で進めます。

①必要な形態にワックスを成型する(ワックスアップ)
②製作したワックスアップを埋没する
③埋没した型をファーネスで加熱する
④溶かした金属に圧力をかけ、ワックスが溶けてできた陰型に流し込む
⑤冷えて固まった金属を掘り出す

③の段階でワックスアップしたワックスが溶けて蒸発するので、ロストワックス法というのですね。
また、④の段階には色々な方法がありますが、今回は原始的な「遠心鋳造機」を用いています。遠心力で溶けた金属を型に流し込むのです。

ボルトの鋳造

まずはワックスで好みのカタチをつくっていきます。
デザインは、鋳造リングに収まる範囲内で自由です!

今思えば、もうちょっと凝ったデザインにすればよかったなぁ・・・
これ、なにイメージしてたんだろ・・・┐(´д`)┌

ある程度はオリジナルの写真を参考にして、成型していきます。

ボルト部分はそれなりに正確な円柱形が求められるので、レディキャスティングワックスというもともと円柱形になっているワックスを溶かしてくっつけます。
この時、この直径がつくりたいボルト径よりわずかに太いようにしておきます。

鋳造台の上に植立させていきます。ボルト本体部分がスプルーの役割を担ってくれます。スプルーとは、溶けた金属の流れ道のことです。

埋没!
使用した金属は内緒ですが、だいたい融点は900℃程度。なのでクリストバライド系という埋没材を使用しています。

埋没材が硬化したら、炉の中にぶち込みます。
炉の調整温度は約700℃。

遠心鋳造は
炉からリングを出すひと と
鋳造機で金属を溶かすひと の
慣れと息の合い具合が全てです。
金属を溶かす方はフラックスをかけ、金属がメタルスライムみたいになった瞬間に鋳造圧をかけるのがベスト。リングを出す人はその直前にきれいにリングをセットする。

鋳造したてのできたてホヤホヤ。
まぁホヤホヤなんてもんじゃありませんよ。

基本的には、急冷です。
ジュッワーーーー!!!ジュワジュワ!ボコボコボコーーーッッ!!!
といいます。
いや、本当です。
細かい話をすると、今回使っている金属は全率個溶の合金ではないため、不規則格子の析出ではなく、単純に偏析によって合金内にひずみが生じます。
なので、偏析する前に急冷して、合金を組成する各原子の配列が均一なまま常温まで持ってきてやるということです。強度そのものは落ちますが、ねばりが生まれます。いわゆる軟化熱処理ですね。

掘り出されたボルトちゃん。
まさに、生まれたてのボルト。世界にひとつの。
サンドブラストかけて埋没材をおとし、

そしたら切断して、

ダイスでネジを切っていきます。
JISピッチなので、ランプ本体側にもネジを切り直します。

で、で、できたぁ~(・∀・)
まぁこれがもし売り物だったら だめでしょうけど?
100年前のランプのパーツですから。いいでしょう。

装着

さっそくオイルランプ本体に装着してみます。

ん~ いいんでない。さすがに100年経った他の部分との質感のギャップが否めないけど、これはこれで愛着が湧く。ここはぼくがつくりましたよーーーってな感じで。

まとめ

え?ってかお前家に炉とか遠心鋳造機とかあんの?
と思われた方もいるかもしれません、
が、えぇ 安心してください。
そんなものは一切ございません。
じゃあどこで作業してんだ って、まぁそれはアレです。アレ。
参考にしてくださる方が日本に1人でもいれば、そしてたまたまその稀有な人の目にこの記事が止まってくれたら、それは大変うれしいことであります。

~追申~

今ではすっかり馴染みました笑

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