こんにちは、世界放浪2輪旅中の管理人です。
Murcia; ムルシアの街に到着して 無事Ruben と会うことができ、彼と彼の仲間におんぶにだっこのムルシアライフを雑記していきます。
※この記事は2024年12月頃のできごとを書いています。
エンジンオイルの交換
ムルシアに着いた夜、事前にオイル交換をしたい旨伝えてたからか Ruben との待ち合わせ場所はワークショップになった。
そんなわけで、とんとん拍子で作業台に乗るテネレ。
今回はフィルターも交換。海外だとほぼ第1選択ばりにストックされてるHiFlo.
いつの間にか穴があいてた サイドスタンド・エクステンション。色んなものが消耗しつつある。
オイルを抜いている間、雑然とした工房を眺める。
なんだこのノッポな万力は!このボール盤もなんか変わってる!
オイル代も工賃も、なんかうやむやになって払わずじまい・・・
たぶんRubenが代わりに払ってくれたのか、ワークショップが無償にしてくれたのか。
「君はおれたちの夢を生きてる」
Ruben とメカニックたちが言った この言葉が妙に胸に刺さった。
旅が長いからこそ、非日常が日常になってしまったからこそ、こうやって 自分が特別な時間を過ごせていることを改めて見つめ直すタイミングが 時には大事だよなぁ。
オイル交換を終えて、センターへ移動 Ruben と彼の息子の Ruben(同じ名前笑)、友人の Manu と Raul と。
Costa Cálida へデイトリップ
ムルシアでの宿は、なんと Ruben の友人 Alejandro が、彼が経営するホテルの一室を無料で貸し与えてくれた・・・
もうこれ以上の恩は飽和して溶かしきれねーよと思ったけど、no way、、、ありがたく泊まらせてもらことになった。
ムルシアに到着した翌日、そんな Alejandro , Ruben と3人で Costa Cálida; コスタ・カリダという海岸エリアにツーリングにやってきた。
Ruben の愛車は真っ黒な旧型TransAlp, Alejandro は Triumph Tiger.
コスタ・カリダの周辺は かなり風光明媚な道路が多くて、急な勾配のつづくシングルトラックの先に 晴天と海の広がる絶景が多い。
海岸付近は Sierra de la Muela, Cabo Tiñoso y Roldán という自然保護区に指定されていて 手つかずの自然も多く残ってる。でも、3人で走ってるから なかなか写真は撮れない笑
そんななかやってきた Cabo Tiñoso; ティニョソ岬の先端付近にある Batería de Castillitos; カスティリトス砲台.
1923年の軍事クーデターで成立した独裁政権下 Miguel Primo de Rivera; ミゲル・プリモ・デ・リベラによって沿岸防衛のために築かれた沿岸砲台施設だ。
城のような見た目の一画から狭い螺旋階段をのぼって、
城壁の上にきてみる。
1年のうち300日は晴天だというコスタ・カリダだけあって、これでもかというくらいに碧い空が地平線までつづく。
城郭の頂上部分に今でも安座する ビッカース砲 381/45。1 t の砲弾を35km まで砲撃する威力を持っていたらしい。
当時地中海で覇権を握っていたイギリス艦隊や、北アフリカで勢力を握っていたフランス海軍を想定して、Cartagena; カルタヘナの海軍基地を防衛する目的があった。
北側の岬の先端には Repsol が運営する Cartagena Refinery という石油精製プラントがみえる。
スペイン最大級のプラントで、きっとこの前給油したガソリンもあそこから来たんだろうなぁ。
コスタ・カリダ周辺は、海岸につづく断崖の上を走る道路も多くて、歴史的な史跡も沢山点在してる。
またスペインを再訪する機会があったら アンダルシアと併せてじっくり走り回ってみたいなぁと思える場所だった。その時は、Rubenに連絡してバイクを借りよう。
ぶらり Murcia
またとある日、ムルシアの歴史地区をぶらぶらしてみる。
旧市街のシンボル Catedral de Murcia; ムルシア大聖堂.
1385年から1467年にかけて建てられて、その後も1793年まで改修や増築を繰り返してきた。実に開始から400年、この前みたヴァレンシア大聖堂といい 西欧のカテドラルは建築に数百年かかるのがデフォルトっぽい。
隣接の鐘楼は高さ90mで、鐘楼としてはスペインで3(2)番目に高い。
正面ファサードは18世紀に追加されたもので、スペイン・バロックの最高傑作といわれているらしい。
まぁ傑作とよばれる詳しい所以はわからないけど、バロックらしい精密な彫刻が彫られた白い砂岩のファサードと、黒大理石の玄関部分のコントラストは、確かにド迫力だった。
バロック期の華美荘厳な建物の裏面には、スペインのコンキスタドールたちによる虐殺と苛烈な搾取がその資金源にあったことは確かで、それは決して肯定されるものでもないけれど その負の遺産とも呼べるものが 数百年後の今、そしてこれからも人々を感動させるのも間違いない。
結局は、その感動を享受しつつも 暗い歴史を忘れない みたいな苦しい中立的な綺麗事のエッジに立つことしかできない。
その居心地の悪さを手放さないことが、現代人として唯一できる 当時の苦しみに対する断罪なのかもしれない。
教会内部。
入口正面の聖母像とオルガン。
3廊式の回廊には、全部で23ものサイドアルター、礼拝室が設けられている。
主祭壇。カスティリャ王 Alfonso X; アルフォンソ10世の心臓と内蔵が収められてるらしい。
主祭壇後方をぐるっと囲う後陣。
後陣礼拝堂の中央、 Capilla de los Vélez; ベレス礼拝堂を囲う精巧な彫刻。
1507年に完成したゴシック様式で、他の礼拝室とは一線を画した雰囲気。
ベレス礼拝堂内部も、凄まじく緻密な彫刻が施されてる。
ムルシア大聖堂正面ファサード前の、Plaza del Cardenal Belluga; ベルーガ枢機卿広場で またもBelén; ベレンが展示されてた。
そんなジオラマの一部に、
バビロンのイシュタル門を発見!
本来はキリスト生誕にまつわるシーンを切り取るベレンだけど、これは東方三博士の出発のシーンなのか??
2023年に実際にイラクでイシュタル門を訪れた時のことが思い出された。
ムルシア大聖堂の周辺を散歩し終わったあたりで、一度 Ruben と合流。
息子のRuben のラグビー練習をみせてもらった後、家に招待してもらったり、友達の家を巡ったりして、
夕暮れ時 南の高台にある Santuario de Nuestra Señora de la Fuensanta; フエンサンタ聖母礼拝堂 に連れてきてもらった。
北側に、ムルシアの街がみえる。
17-18世紀につくられたバロック様式の礼拝堂で、ムルシアの守護聖人 Virgen de la Fuensanta; フエンサンタの聖母を祀ってる。
教会内部、
黄金に輝く主祭壇の、
中央に鎮座する、
聖母像。地元では La Morenica; ラ・モレニカの愛称で呼ばれ、年に2回 春と秋口にこの聖母像を先のカテドラルに移動する Romeria; ロメリア(巡礼) というイベントがあるらしい。巡礼中は、数十万人の人々が 聖母像と共に歌って踊りながら大聖堂とこの高台の間を往復するというから、すごい迫力だろうなぁ。いつかムルシアを再訪することがあれば、ロメリアに重ねるのはありかもしれない。
Ruben と山をおりて、再び夜のムルシアセンターへ。
大聖堂前のクリスマスツリーには、みんな願い事を書いて吊るすらしい。
まるで日本の七夕だ。
2年5カ月、この頃には 既にテネレと共に無事帰ることが目標になってたんだな。
美しくライトアップされた街を歩くと
どこからともなく愉快な音楽が聴こえてきて、振り返ると衣装に身を包んだダンサーや 仮装した演者たちが次々と過ぎ去っていく。
まるでリアルのディズニーパレードだ。
カテドラルは惜しみなくライトアップされて、
広場の建物にはプロジェクションマッピングが煌めく。
通りは人でごったがえし、カトリック国でクリスマスがもつパワーを感じる。
1847年創設の社交クラブ Real Casino de Murcia; レアル・カジノ・デ・ムルシア.
建物が完成したのは20世紀初頭だけど、折衷主義というスタイルで イスラム美術もふんだんに取り入れられている。
折衷様式でつくられた ってことを知らなかったので、最初はナスル朝の遺構がリノベートされた建物なのかと思ってしまった。
Salón de Baile; 舞踏の間
TOCADOR DE SEÑORAS; パウダールーム
BIBLIOTECA; 図書室
夜のムルシアをひとしきり歩いた後は、
Ruben と地元のバルで乾杯。
おつまみ的な小皿をつまみながら、バイク旅の事 人生の事 けっこう色々話したなぁ。
Ruben も管理人も、流暢な英語ではないけど 何とか言葉を紡ごうとしている段階で、もう何を言いたいのかだいたい分かる空気感で 存外に沢山話すことができた。
そんな中 Ruben が言った言葉を今でも覚えている。
“The world is as you see it.”
砂漠を見た時に、
「何もないじゃん、つまらない」
と思う人もいれば、
「どこまでもつづくオレンジの世界、なんて美しいんだ」
と思う人もいる。
実体としての世界は同一でも、目を通して投影された世界は その目をもつ人間によって如何様にも変わってしまう。
おれたちは、いつも新鮮で、美しく、そして楽しく世界を捉えたいね、と。
本当にその通りだ。
おまけ
Manu と、めちゃくちゃ綺麗に保存された旧型アフリカツイン!
つづく