こんにちは、世界放浪2輪旅中の管理人です。
イタリアで最も美しい村、カステルメッツァーノを後にして 北東方向へ、いつからか自分の地図のリストに加わっていた 広大な耕作地帯に潜む廃村を目指します。
Borgo Taccone の廃村へ
カステルメッツァーノを去って、また少し北東に向かって走っていく。
なんと SUZUKIの海外仕様ジムニー LJ80 を発見。 国内では ジムニー8の愛称で知られる SJ20 と実質同じ車両で、4サイクルエンジンとしては最初期型のジムニーといえる。近くにあった若草色のトラックは OMLO というメーカーみたいだけど、詳細不明。こういう謎車が道端に現れるのは楽しいし、現行の味気ない車と違って絵になる。
→※OMLOじゃなくて FIAT の OM40 というモデルだったみたいです、ご指摘ありがとうございます!
牧羊犬に吠えられて、
道脇で草を食むポニーを眺めながら進む ポテンツァの田舎道、いいわぁ。
イタリアの何がすごいって、こうやって走ってる時に遠くに見える山間の街ほとんど全てがすごい綺麗なんだよな。
あそこにも行ってみたい、あっちにもあんなに綺麗な街が見える・・・
そんな気持ちを黙殺しながら進まざるを得ないのが、イタリアのバイク旅だということに気づいてしまった。
初冬の澄んだ空気、折り重なる丘陵の上にひしめきあって街を成すパステルカラーの家々、
完全に人里から離れた山の峠道を行くのとは、また違った悦びが南伊の田舎道には凝縮されている。
ガソスタ休憩したら入って来た Carabinieri; カラビニエリ はさすがイタリア!アルファロメオだ。
イタリアには警察機構が2つあって、ひとつはいわゆる日本の警察と同じような文民警察の Polizia; ポリツィア 、もうひとつが国防相管轄の国家憲兵 カリビニエリ。なのでこのパトカー(と呼んでいいのか分からんけど)に乗ってるのは、警察官というより軍人さんなのだ。
巨大な風車がまわる 広大な耕作地帯を通り過ぎる。
この風車、表向きはクリーンエネルギーとして見かけはいいけど 実際には建設許可に関わるライセンスから建設の下請けをする地元の建設業者、そして運用後のプロセスに至るまでマフィアが関与していることが多い。地元政治家と癒着したマフィアが、所得したライセンスをドイツやデンマークなどの外資に高額で売却した上で 支配下の業者に建設を担当させ、EUや政府からの高額な助成金を吸い上げる。更に運用段階では他の麻薬などで得たブラックマネーを再投資することで資金洗浄にまで利用して、脅迫・恐喝によって土地所有者からは安値で借り上げ、発電業者からは高額な借地料を中抜きするのだ。
まぁなんて悪知恵がはたらくんだろうと関心してしまうけど、日本の太陽光パネルとか 聞こえの良いクリーン事業なんかも同じようなもんだ。「再エネ賦課金」という名の金脈を嗅ぎつけたハイエナ共が親中議員と結託して利権を高額で中国企業に転売、中国製のメガソーラーが敷き詰められた暁にはわけのわからんコンサル料とかいう名目でキックバックを得る。
そんなことを考えると、いろいろと憤りが湧いてくるわけだけど、
農地をまっすぐに這う轍と そこにポツポツと納屋が建つこの風景を見たら、まぁどうでもよくなった。
さて、そんな感じの農地を抜けてやってきたのは Borgo Taccone; ボルゴ・タッコーネという村。
これまた、どうやってこの村の事を知ったのか もう覚えてないけど、とにかく南イタリアの”廃村” を見たくてやってきたのだ。
小さな村だけど、どこも完全に廃屋化して 完全にゴーストタウンだ。夜に来たらなかなか不気味だと思う。
廃屋のひとつに入ってみる。
もうほとんど生活感は感じられないけど、
確かにここで人が暮らしていた名残は見える。
イタリアでは戦後に大規模な農地改革が行われて、南イタリアに広がっていた広大な私有農地の再分配と 新たな農村; Borgo の整備が進められた。ここ Taccone; タッコーネも そんな新設された農村集落のひとつだったのだ。
結局、灌漑などのインフラ整備不良や 収益性の低さから農民たちは採算をとれず、最終的には北イタリアの都市部や他国へと移住することで住民が流出。
集落だけが打ち捨てられ、こうして今に至るというわけらしい。
廃墟好きにはうれしい場所だけど、農業の改革を願って整備されたであろう建物たちが 居住者を失ってただ見捨てられた様は なんだかとても寂し気だった。
タッコーネの廃村を後にして、再び周辺の広大な農地へと走りだす。
トラクターが走ってるのも見かけるし、当然 まだここで農業に従事する人々がいるわけだけど、
そんな耕作地のあぜ道に建つ立派な一軒家は、そのほとんどが廃屋化していた。
この廃屋・廃村は 特にイタリアでは大きな社会問題で、国全体での高齢化や 南部での人口流出にはなかなか歯止めがかからないようだ。
最近、1€物件なんてのが話題になったけど、いつか多拠点生活を目指すなら 南イタリアの某所で物件を買って、改修するプロジェクトは面白いかもしれない。
そんな廃屋のひとつ、今日はここで野営することにしよう。
16時を過ぎるともう日が沈みそう、17時を過ぎたらもう薄暮だ。
廃屋内に誰も住み着いてるやつがいないか確認して、暗くなる前にテントを設営。
今日もいい日だった、不毛な耕作地の間を真っ直ぐに伸びる農道の、その先に夕日が落ちていくのを眺めて、
打ち捨てられた廃屋の傍らで 就寝するのであった。
つづく