こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。
パキスタンの旅も終盤を迎え、ついにパキスタン最後の村 Gulmit に向かいます。ここは、イスラマバードで出会ったSayed氏の故郷でもあります。
写真がSayed氏。
彼はパキスタンのトラベル・エージェントでもあり、書類関係の作業でイスラマバードにいる時間が長いためたまたま出会えました。
管理人も、道路事情や今後のルートなど 多くの面で相談に乗ってもらい、とても信頼のできる男です。
もしも本ブログをご覧になって、パキスタン北部 特にフンザ界隈を旅行してみたいなと思う方がいましたら、Sayed氏は旅行に関わるVIsa、ホテル、現地での移動など全てを手配してくれるので紹介いたします。是非本ブログのHOMEタグにあるGmail宛て、あるいはコメントなどでご連絡ください。
ここまでのルート
Gulmit へ
カリマバードの街を去って、再びカラコルムハイウェイに戻る。
フンザ川は上流域に近づくにつれて、なにやら色がターコイズのようになってきた。
道中に発見した謎の棟。モスクにしてはおかしなミナレットだし、レンガの焼き場にしては細すぎる。なんだろう。
フンザの渓谷を流れる川は、まるで空の群青が山稜を漏斗にして下界へ注がれているようだった。
青は藍より出でて藍より青し を思い出す。
地図上では、この先にある湖の手前で道が途切れているけど、そこにはトンネルが貫通していた。
PAK CHINA FRIENDSHIP TUNNEL なるトンネルを抜けると、
目にも鮮やかなコバルトグリーン(?)のAttabad Lake が広がる。湖面に山が映り、荒々しいインダス川の上流部にあるとは信じられないように静寂だ。
少し違う場所まで進むと、そっちは観光地のようで、色とりどりのボートが出張っていた。
とにかく落石ならぬ落岩にだけは巻き込まれたくない。
Friendship Bridge Gulmit という橋を渡ると、もうそこは Gulmit の村だ。北側には Tupopdan(地元ではもっぱら Passu Cones と呼ばれている)のまるで砂糖をまぶしたトンガリコーンを無作為に並べたような山の輪郭が見える。
Carpet House と Old House
カリマバードのお土産屋でも見たように、フンザ渓谷の村々は羊毛を手作業で織り込んだカーペットの生産でも有名だ。
グルミットの村に、そんなカーペットづくりの風景を見せてもらえる場所があったので、訪ねてみた。
ピンのような器具をつかって織り込んでいく方式と、
全てを指のみで行う方式があって、それぞれ完成後の生地感が全然違うのには驚いた。
指のみでつくられたカーペットのほうがしなやかなのに対して、ピンを使って編まれたカーペットはごわごわ感があるものの頑丈な印象。
イランのカーペット屋でも学んだけど、カーペットづくりはまずこんな感じのマッピングからはじまる。この”地図”にそって、糸が一本一本編みこまれていくのだ。
カーペットづくりの道具たち。下が編み込みの時に使っていたピンのようなツールで、上は、一列編み込むごとに糸を押し付ける櫛のような道具。
カーペットづくりを見せてくれたグルミットの女性たち。
このひとは英語も流暢でなんかかっこよかったなぁ。
カーペットハウスの近くには、伝統的なグルミットの家が簡単なミュージアム的な感じで解放されていたけど、扉には鍵がかかっていて中には入れなかった。
界隈には他にも古そうな家が並んでいたけど、このちょっと突き出し式のバルコニーってなんかいいなぁ。
Ondra Fort
グルミット村の付近では、カラコルムハイウェイの東側はフンザ川なので、ハイウェイの西側 山の斜面に沿う形で村が広がっている。
そんな村の合間を縫うように上っていく道を進んでいく。
途中からダートになっていく。まじで半径数十キロ誰もいないような自然より、こういう人の暮らしが垣間見える田舎道くらいの方が好き。
途中で食堂を経営するおばさんの孫らしき少年が「食べてけば?」(言葉はわからないけどたぶんそんな意味)と誘ってきたので、後でまた戻ってくると伝える。
途中から道はとてもバイクでは進めないような登山道になったので、バイクをなんとかUターンさせて安全な場所に停めてオロオロしていると、偶然通りかかった青年が 目的地のOndra Fort まで案内してくれた。こういうとこほんとツいてるなぁとは思う。
グルミットの村の標高はだいたい2,500m 前後。そこから、
こんな感じの石段をぜぇぜぇ言いながら上っていく。いい高地トレーニングだ。これから向かうパキスタンと中国の国境は標高が5,000mに近い。高山病にならないためにも、身体をある程度慣らせておきたい。
ようやく頂上に着くと、そこには石を積み上げた古の何かの痕跡があった。
Ondra Fort に関しては、一体いつ頃、だれが、どういった目的でつくったのかなど ほとんど何も分かっていないらしい。
遺跡に残る壁の上にて。
オンドラで特筆すべきは、その正体不明の遺跡もさることながら、頂上からの眺めだろうか。標高は約2,730m.
南にはさっき走ってきたAttabad Lake とChaman Gul の村が。
北には Passu Cones の山稜と、Ghulkin の村が臨まれる。
誰もいないと思って上ってきたら、頂上にはライフルを持った男がいた。彼の名は Karim.
昨日と今日でキツネに羊を2頭殺されたということで、犯人のキツネをハントしに来ているらしい。う~ん、なんかのドキュメンタリーで聞いたような話だ。
ちなみにKarim は管理人の10歳年下である。
Ondra の食堂
オンドラの丘を下りて、さっき声をかけてくれた食堂に寄る。
愛想のいいおばちゃんがアプリコットのジュースを出してくれた。勿論100%フレッシュだ。
なにやら粉と水をこねて生地元をつくり、それを平たいフライパンの上に広げる。こらまた年季の入ったNational のコンロ!
表裏うらっ返しておいしそうな焦げ目がついたところで、マルベリーのソースをかけて食べる。
質素だけど腹にたまってうまい! フンザ渓谷の長寿伝説に関しては 出生記録の曖昧さから信ぴょう性が疑われているらしいけど、食生活に関しては間違いなく健康的だ。
食堂裏の、なんとも長閑で美しい田舎景色。
物珍しそうに集まってきた少年たち。
店主(?)のおばちゃんも撮らせてもらった。
帰りにお土産で大量のドライフルーツ(アプリコットとリンゴ)をもらってしまった。こっちでは摘果しないので、リンゴもアプリコットと同じくらい小さい。
Hussaini Suspension Bridge
これでもか!という快晴に Passu Cones が映える、そんなとある日。
フンザ川の東西を繋ぐ吊り橋のうちのひとつ、Hussaini Suspension Bridge にやってきた。
最初渡るつもりはなくて、遠くから写真撮ればいいや と思っていたんだけど、「なんかせっかくだし」という悪い癖で渡るってみることにした。
高さはそれほどでもないけど、下を川が轟轟と流れる上を歩いている時はちょっと怖い。というか木の板の間隔が広い。日本だったら絶対ヘルメットの着用とか命綱の装着ありそうだけど、なんもなしなのがまたいい。
Borith Lake と 氷河
カラコルムハイウェイを西に逸れて、山の斜面を縫うダートを上っていく。
直線部分はいいんだけど、180°ちかく折り返す場所が急勾配な上に拳大の石がごろごろしていてかなり危なっかしい。
こういうところはやっぱり足つきのいい125~250ccの方が圧倒的に安心だよなぁ・・・ となんとかこけずに Borith Lake という湖の畔まで上ってきた。
このダートはもう少し先までつづいているので、いやぁ~どうしようかなぁ と迷ったけど、そのまま進んでみる。
ただ、湖より先は急激な折り返し&急勾配はほとんどなく、
ほどなくして道の終着点まで到達することができた。
ここはPassu Cones からの氷河を見るためのトレッキングコースがはじまる場所なので、現地の人が何人かいた。
彼らの乗るSUZUKIの120ccバイクに乗らせてもらった。タンクのカモ柄がかっこいいが、アクセルを常に少し開けとかないとすぐにエンストする。
日本からの輸入ではなくて、パキスタン南部で大量に走っている Made in Karachi の 車と同じく、パキスタン製のSUZUKIなのだ。
さて、せっかくだからバイクを停めたまま、氷河を見にいってみよう。
断崖のエッジにつくられた石の階段を20~30分歩いていく。こりゃ高所恐怖症のゆーしはダメかもしれんな笑
すると、途中から氷河の端っこが断崖の下の向こうに見えて来た。
思えば、氷河ってのをこんなに間近で見るのは初めてかもしれん。けっこう感動するもんだ。
なんだかハンマーを使って割ってみたい石がゴロゴロ落ちてる。
道の脇には、さらにまた崖面がそびえている。
道中発見したトカゲと高山植物。
ん~ なかなか動物にピントがあわない。
最後、石段が終わったので、この斜面を上っていく。相変わらずのいい高地トレーニング。
斜面の頂上にて。
写真だと立体感がわからないけど、
このエッジのすぐ先は数十メートル90°の断崖に落ち込んでる。足を滑らせるか、滑落に巻き込まれたら終わりだ。
石段を元にもどって、テネレの脇でこの景色を眺めながらこの前もらったドライフルーツを食べていたら、いつの間に全部食べてしまった。
山の斜面でなにかのハーブを採取する老齢の女性。
とにかく、天気に恵まれてよかった。雨が降ったらとても来る気にはならない。
また来た道を戻っていく。
また、絵本に出てくるような岩の家・・・中をくり抜いたのかな?是非扉の中を見てみたいもんだ。
再び、Borith Lake を眺めつつ、つづら折りの砂利道を帰っていった。
つづく