【Georgia episode 19】ジョージア最南西 アジャリア地方をちら見して トルコへ

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

賑やかな港湾都市バトゥミを後にして 長かったコーカサスを去り、いよいよアナトリアへと進んでいきますが、その前に トルコとの国境地帯にあるアジャリア共和国に、少しだけ寄ってみます。

Zeda Makhuntseti の石橋 と 滝

黒海から少し離れて、内陸へと入って行くと 広葉樹林で覆われた植生にかわっていく。

30kmくらい内陸に入ったところにある、Zeda Makhuntseti; ゼダ・マクンツェティ という村にやってきた。
ここには、12世紀に架けられたという見事な石造りの橋がある。12世紀ということは、たぶんセルジューク朝の支配下に入った時期だろうか。

かなりマイナーな場所だと思ってたけど、日曜日ってのもあってか ジョージア人やロシア人観光客が思いのほか多かった。
ラフティングやジップラインなんかのアクティビティも整備されていて、思っていたより賑やかな雰囲気。

切石が見事に組み合わさってできた橋は、遠くから見るとどこかいびつな曲線で、24mにも渡って橋が支えられてるのが不思議な印象すら受ける。

橋のすぐ側には Makhuntseti Waterfall; マクンツェティの滝がある。
高低差は20m程度だけど、滑沢に浸食された垂直な石の壁を落ちる滝はとても整って美しかった。

滝壺のすぐ脇でいきなり始まった演奏会。
伝統衣装なのか、そうじゃないのかきわどいところの衣装を着た女性たちと、謎の帽子を被った ほとんど通りすがりがと思ってた男による即興のような演奏会。

アジャリア美人。

滝につづく小路にはお土産屋も多い。地元で採れた蜂蜜なんかも瓶詰で売られていたなぁ。

そしてトルコが近いことを知らせるように、悪名高きトルコアイス屋も。

アジャリア地方の高床式倉庫

特にあてもなく、界隈の山道を走ってみる。意外と側道までちゃんと舗装されているけど、かなり急坂が多い。

アジャリア地方を走っていると、家々にはここならではの特徴がある。

こんな感じの高床式木造倉庫が、各家庭に必ずと言っていいほどあるのだ。
歴史的な経緯から住民のムスリム化が進んで、ジョージアの中央とはやや距離をとってきたアジャリア共和国ということもあって、
独自の文化が多方面で残っているらしい。

三内丸山遺跡や吉野ヶ里遺跡の高床式倉庫が、現役で使われてる そんなイメージだ。

Mirveti の滝

マクンツェティから少し戻って、やや南にあるMirveti; ミルヴェティの村に行ってみる。

Acharistskali; アチャリスツカリ川が トルコ北東部に源流をもつ Chorokh; チョルフ川に合流する場所は、明確に色が分かれていた。

チョルフ川にかかる長い吊り橋を渡って、

ミルヴェティの村に到着した。天気がイマイチで、雨が降ったり止んだりしている。

駐車場のおばちゃんとやや揉めたあと、Mirveti Waterfall への道を歩いていくと、

ミルヴェティの滝が現れた。
轟轟とした迫力はないけれど、あみだくじのようなカスケードを描く水流が美しい滝だった。
だんだんと雨が本降りになってきたから、そこそこにして黒海沿いの道へと戻ることにした。
アジャラ地方も、もっと奥地へと行くと 色んな村があって味わい深そうだけど ジョージアにはまたいつか来る気がするから、きっとその時に・・・

Gonio Fortress

黒海沿いに戻ってしばらく走っていると、雨は止んだ。
トルコとの国境もほど近い道路沿いに、Gonio Fortress; ゴニオ要塞という城壁があったから 中に入ってみることにした。

門の重厚な鉄の扉。

なんかチケット売り場的なものがあったけど、素通りしても何も言われなかったからそのままスルーした。
城壁の内側は想像以上に広大な敷地になっていて、東西南北を 228m×195mの長方形に城壁が囲っている。

西側の城壁。この城壁が最初に築かれたのも 度々登場している古代コルキス王国の時代 紀元2世紀頃と考えられている。当時のコルキスはローマ帝国への忠誠を代償に自治を認められていた。現在の城壁は当然 幾度にも重なる修復の後の姿だけど 城壁内には建設当時=約1,900年前の浴場の遺構なんかもある。

そんな壁に、トカゲ発見!
今回は捕まえることができた。アガマの類かと思ったら、これはトカゲ科のイワトカゲ(Darevskia属)の仲間みたい。
自分の左手の5本指の上に彼の5本指を見ると、人間という種が実は原始的な哺乳類の特徴を留めているというのに気づかされる。我々と同じ哺乳類のウマが、実は中指だけで立っているというのを鑑みれば 必ずしも遺伝的な近縁性だけがクリーチャーの類似性を司るわけじゃない。広く冷血動物とされる爬虫類に、生物的な親近感をもつための大きなきっかけが、指の本数という視点に宿っているのだ。両生類→爬虫類→哺乳類 という進化を辿った なんてほとんど嘘だと言っていいほどに簡略化されてしまった日本の生物学の教育では、完全に見捨てられた哺乳類型爬虫類という存在が 彼らの祖先と我々の祖先の系統分岐の妙を探る要なのだ。

それにしても、腹側から腹にかけて この鮮やかな色がなんとも美しい。

トカゲを解放してやって、今度は南がわの城壁に沿って歩いていく。
城壁の高さはだいたい5mくらいで、ところどころ階段をつかって上に上ることができる。

城壁に開いたアーチは小さな空間に繋がっていて

当時22あったという城壁の塔は、現在18が現存していて、塔の部分はだいたい7mくらいの高さになってる。

南東側の塔の上から。

イエスの十二使徒のひとり、マタイはこのゴニオ城塞内部に埋葬されているという。

行く前はスルーしていっか、、、と思ってたゴニオ城塞。
行ってみれば 綺麗なトカゲとの出会いもあって なかなかいい場所だった。

トルコ国境へ

ゴニオ城塞を後にして、さらに沿岸道路を南下していって いよいよジョージアともおさらばだ。

ロシアから入国して、トビリシで交通違反で捕まって、なんだか長かったけど、国土の小ささに似合わずなんとも奥深い国だった。
ジョージアの人たちは、どちらかというと山岳国家ならではの閉鎖的な雰囲気をもっているし 運転は荒くてイラつくこともあったけど、なんだかまた来たいと思える国だった。アルメニアも然り。黒海とカスピ海に挟まれたコーカサスという地域は、古代から勢力の硲であり 交易の要所であり 厳しい自然の中で培われた文化のるつぼのような場所だ。まだまだツーリスティックになっていない場所も多く、独特の魅力に溢れている。もうテネレで来ることはないと思うけど、またいつか 別の形でこの国を旅するのが既に楽しみなのであった。

つづく

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