【Republic of Armenia episode 7】アルメニア中南部へ 出会いと滝に恵まれて

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

Crossway Camping でテントを張り、さらにアルメニアの南へと移動していきます。

ここまでのルート

アルメニア中南部へ抜ける

朝。

昨晩買い出しておいたヨーグルトとサラダで腹ごしらえをして、出発する。

スクリーン裏に飾っていたミスパの類を全部タンクバッグ裏に移設した。今まで訪れた国の想いでが詰まっている。バイク旅は、各国でお土産を買えないのが大きな難点だけど、重荷にならず、嵩張らない小さな記念品を選ぶのも楽しみのひとつだと思う。

アルメニア中部から南部にかけてのハイウェイを南下していく。

途中、Surb Trdat G Mets Church.

なんでもないハイウェイ途中の教会だけど、とても立派だ。

誰もおらず、静かで、香の香りが漂う。
運転に疲れたとき(別にさして疲れてなくても)、少し立ち止まって、ただボケーっとこの椅子に座るのが 妙な楽しみとなっていた。

Vaykの街。

アルメニアやジョージアの地方都市は、観光地を除いてどこもこんなような雰囲気だ。

ソ連時代からつづく簡素な集合住宅には洗濯物が干され、街中は年代モノのLADAが車検なんかねーよと暗示するような音をたてながら走る。 КАМАЗのトラックが縦列駐車する傍らでUAZのマイクロバスには地元の学生がしかめっ面を向き合わせながら乗り込む。

そのまま Jermuk Highway を南下していくと、この道とほぼ併行して走るArpa; アルパ川に架かる小さな橋を発見した。
橋の写真を撮っていると、やってきた地元の男たちがお茶でも飲んでけよ と。

橋を向こう岸へ渡る。今にも崩壊しそうランキングではトップクラスの不安な橋だった。
たぶん山脈からの雪解けと、雨の影響か この時期コーカサスの小さな支流はどこも急流だ。

男についていくと、小さなロッジのような場所にやってきた。

ケーキや紅茶をご馳走になって、なんとなく話して、なんとなく別れを告げた。
人を誘ったわりにはあまり関心がないというか、面白い距離感だなぁと毎回思う。

Jermuk Waterfall; ジェルムックの滝へ

途中、メインのハイウェイから少し北へと伸びる道路にはいっていく。

Kechut湖。

少し張り出した、丘の上から Kechut の街を見下ろす。

窓のない茶単色の建物や、屋根の剥がれた納屋に瓦礫の山。
陰鬱という形容しか思いつかない様子だけど、なんだか今まで見たことが無いような、小説の中に登場する街のような、ワクワクではないけど何かが駆り立てられる気持ちになる。

Jermuk の Saint Gayane Church.

扉は閉まっていた。

雪山に映える、ジェルムクの小さな教会。

Jermuk; ジェルムクの街へと入る時、Arpa川を挟む渓谷の写真を撮っていると 地元警察に止められてしばらく荷物チェックと写真チェックを受けた。まぁ言ってみれば職質だ。アゼルバイジャンとの国境が近いせいだろうか、センシティブなエリアではあるあるである。

Google Map のナビに従うと、全然違う場所に辿りついたけど、しばらく迷って渓谷の下へとつづく道を見つけた。

ここにも柱状節理がみられる。

バイクを停めて、100mほど歩いていくと、

Jermuk Waterfall; ジェルムクの滝に辿り着いた。図らずも、今は水勢が最も強まる時期で滑瀑状の流れには予想以上の迫力があった。
高さは64~68mで、アルメニアで最も高い滝とされている。

伝説によれば、峡谷の崖の上に住む貴族の娘が、羊飼いの少年と会うために毎夜ロープを投げていたらしい。その事が父親にバレて、「またあの少年と会うならばお前を人魚にかえてしまうぞ」と呪いをかけられた。後日、娘は再び会いに来た少年に向かって ロープの代わりに自身の長い髪を投げたけど、その瞬間呪いによって娘は人魚に、そして投じられた長い髪の毛は滝に変わったのだという。そう言われてみると、なんだか滝が女性の長い髪のように見えてくるようなこないような。

末広がりに流れる滝の下流は、Arpa川に勢いよく注いでいた。

滝の周辺で発見したカナヘビの一種と、瀑傍に群生していた綺麗な花、4枚花弁で中央は鮮やかな黄色。

テネレを駐車していた場所に戻ると、さっきまでいなかったロシア登録のアメバンから、男が下りてきて声をかけてくれた。

Anaton Alexeev
Andrey Zotov
Anatoly Grafov
の3人は、ロシアからDIY内装のこのバンで世界中を旅しているらしい。何度も言うけど、世の中には色んなやつがいる。
たぶん向こうも、同じこと思っただろうけど。

車内の両サイドに設置されたメッシュ収納には、色んなギアが収納されていて見てるだけで面白い。

「おれたちは食べられる時に食べなきゃね!」と、修羅場をくぐったオーバーランダーならではの語り口調でコーヒーやサンドイッチをご馳走になった。またいつか、どこかで会うかもしれない。

Shaki Waterfall; シャキの滝 へ

峡谷の崖の上と下に、近代的なビルと旧ソの古びた建物が並ぶ奇妙な景色を眺めながら、

来た道を引き返して再びメインのハイウェイへと戻る。

崖の下に見える、あの道いいなぁ。

牛or羊による通行障害定期。

深い緑の絨毯の向こうに冠雪の山稜と青い空、なんて綺麗な景色だろう。

山から流れたての水が、川の上流をつくっていく。

Vayots Dzor; ヴァヨツ・ゾル県とSyunik; シュニク県との境界は、Vorotan;ヴォロタン峠の頂上となっている。
標高は約2,340m でまぁまぁ寒い。

なんだかパキスタン→中国への越境で通った、クンジャラーブの景色を思い出す。あの時は、こんなもんじゃない過酷さだったけど。

峠の頂上あるあるの売店。アスパラ??

テネレはすっかり、練磨の旅バイクに見えてきた。
2020年に新車で買ったものとは、もはや別物である。

峠のモニュメント。北側には鷲、南側には3つの鐘が。どんな意味があるのかは、また今度調べることにしよう。

峠を下って、小さな村を通り過ぎていく。

おそらく何十年も、あるいは百数十年か、変わらずに暮らしているんだろうか。

 

どこからか、野焼きをするような煙のにおいと、牛の鳴く声と、壊れる寸前で持ち堪えているトラクターのエンジン音が混ざって、郷愁という朧をつくりあげている。

山がちだった道路は一気に開けて、更に南東へと走る。

Shaki; シャキの街を通り過ぎ、メインの道路から逸れてダートへと入っていく。

Vorotan; ヴォロタン川の側で放牧される羊たち。

まごうことなきフラットダートをすすんでいくと、ここには Shaki Waterfall; シャキの滝の入口がある。

テネレをダートの終着点に停めて、あとは歩きで進んでいく。別に滝Dayにするつもりじゃなかったけど、たまたま道中にあったもんだから、滝巡りの日になってしまった。

シャキの滝は、高さ18mとそんなに高低差があるわけじゃないけど、

崖の上の木木の間を縫うように幅広で流れ落ちる姿が美しい滝だった。

腹だしでガッツリポーズを決めるロシア美女にも注目であった。

滝を去る時、入口のおばちゃんがパンをくれる。小さな親切で支えられる腹具合。

日が沈み始めて来た。ヴォロタン川沿いのダートを引き返す。

Sisian; シシアンの街で買い出しをしていたら、すっかり暗くなってしまった。
さて、今日の野営はどこでしたもんか・・・

道の途中に車が停まって、なにやら人が下りて見物していたので なにかあるのかなと思って管理人も丘の上に上ってみると、そこにはストーンヘンジのような石のモニュメントが並んでいた。
他の見物人がいなくなってからも石の周りをうろうろしていると、丘の下からおっさんが何か叫んでくるではないか。

ん?おれなんか悪いことした?
と思って、手のひらを上に向ける「どうしたの?」のジェスチャーをすると、おっさんも丘の上まで上ってきて、道の反対側の丘の上を指さしている。
どうやら、このモニュメントはレプリカで、ホンモノは向こう側にあるぞ と教えてくれているようだった。

にしても、今日はもう暗いので 明日見に行くからこの辺にテントを張ってもいいか?と聞くと、
なんと近くの建設中の建物をつかっていいぞ と、小さな建物に案内してくれた。

建物の内部には建設中独特のセメント臭が立ち込めていたけど、外に比べると驚くほど温かい。
標高のせいか、外気温は5℃くらいで 強風も吹いていたから、テントを設営するのが億劫だなぁと思っていた矢先の幸運であった。
コットと寝袋だけ出して、快適空間のできあがり。

シシアンの街で買っておいたアララトビールと、さっきおばちゃんがくれたパンで乾杯して 安眠につくのであった。

つづく

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