【Russian Federation episode 6】ロシア最後の街 Vladikavkaz; ウラジカフカス

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

ロシア南西部にひっそりと存在する仏教都市エリスタを去り、トランジットで入国したロシア最後の街へ移動します。

ここまでのルート

北コーカサス南下と悪徳警察

エリスタを出発して、しばらく走ると、さっそく問題発生。ナビ通りの道でくると、土豪が盛り上げられて通行止めになっていた。
地元のトラックも、「まじかよ」というノリでUターンしていったので、まぁつい最近通行できなくなったっぽい。
この土埃MAXの道を、またしばらく引き返す。

天気はよくないけど、ぎりぎり雨は降ってない。
この路面で降られたら、かなり鬱陶しいことになるからどうか粘ってくれ。

小一時間迷った末ようやく見つけた迂回路を、「本当にこの道であってるのか?」と思いながら進んでいく。粉末系ゆるふわフラットダートだけど、少し外れると深い砂にスタックしちまうので、トラックが踏み固めた轍をおっかななぞっていく。

10数キロだろうか、しばらく走るとダートは終わり、舗装路に復帰した。

途中から Google map は機能していない。ナビが不能化して、Pre-view しかできなくなる現象だ。
これは、いわゆる Western Power の敵国履歴がある国でたまに起こる。シリアやイラク、イランでも同じことがあった。
なんだか分かりやすくて面白いもんだ。

正教会特有のダブルクロスが乗った玉ねぎ屋根の教会。こんな感じの小さな教会は、田舎道にも点在してる。

由来不明の遺跡。

廃墟を見ると、あらゆる予定を顧みずに踏み込んでしまうという不治の病に冒された人々が 世の中には一定数いるらしい。

さて、そんな感じでウラジカフカスに向かい走っていると、途中で検問のような場所で止められた。

警官「ここは一般人立ち入り禁止の場所だ」

と、いきなりわけわからんことを言い出す。

どこにもそんな標識はなかった、一般人立ち入り禁止ならその旨を標識すべきだ と翻訳アプリで言い張るも、
話は平行線でまったく埒が明かない。

その後、検問小屋のような場所に通されて、あれこれと議論すること2時間。
さらに上司に処分を決めてもらうだなんだので電話だの上司からの返事待ちで2時間。
最終的に2,000ルーブルの罰金だと言われるが、もうロシア出国を間際にして現金は持ち合わせてなかった。
警官のひとりに振込先情報をメモで渡され、ウラジカフカスに着いたら送金してくれといわれるが、調べると個人の口座情報じゃねーか。

なにやら罰金証明書のようなものを渡されてようやく解放された頃にはもう日が傾き始めていた。
結局あれはなんだったのか、未だによく分からん。本当に進入禁止の道に入ってしまって妥当な束縛&罰金だったのか、あるいはロシアで有名な賄賂目的の悪徳警察だったのか。

後日談ではあるけど、この罰金は結局バックレた。にもかかわらず、ロシア→ジョージアに入国する際、この罰金刑に関する言及が一切なかったから まぁたぶん後者だろう。
カザフスタンからロシアに入国した時の事を考えると、ロシアの国境はこの辺かなりシビアなはず。もしも罰金がオフィシャルだったなら、未納として出国できなかったはずだと思う。

Vladikavkaz; ウラジカフカスに到着

検問やら国境で意味不明な長時間束縛に遭うのはもう慣れたけど、まぁでもただの賄賂目的だったなら頭にくる。
しかし結局はおれから一銭も得られなかったわけだ ざまぁみろ。

大幅な時間ロスをしたけど、ちょっと脇道にそれて穏やかな丘にのぼってみる。
曇天の元にひろがる彩度低めな丘陵は、独特の景観だった。

Hay Bales という、干し草を円筒形に圧縮したやつが大量に並んでいる。

そんなわけで、ようやくウラジカフカスに到着。

モスクで出会った親切

ウラジカフカスは、人口の6割以上がイラン系オセット人で構成される北オセチア共和国の首都だ。
だからなのか、市のシンボルとなってるこの建物は 教会ではなくモスク。
外観はかなり教会っぽいけど、中央ドームの頂点には三日月があって、門の両脇を固めるのはミナレットだ。

アゼルバイジャンの石油王 Murtuza Mukhtarov; ムルトゥザ・ムフタロフ の資金によって建設されたことから、Mukhtarov Mowque; ムフタロフ・モスクとも呼ばれているらしい。完成は1908年。

そんなムフタロフ・モスクの前でうろうろしていたら、おっさんに声をかけられた。
見るからにフレンドリーなおっさんは、「君はムスリムか?」としきりに聞いてきたので、いやムスリムじゃないけど Al-Fatihah は暗唱できるよ と暗唱したところビビるくらい喜んでくれて、夕飯をご馳走してくれるという。
(サウジでメッカ入りする前から、ファーティハはガチ暗記していた。)

もうルーブルの現金が尽きていて、宿代を残して夕飯は抜くしかないなと考えていたので 彼と出会えたのはラッキーだった。
思えば、警官に足止めされてなかったらこのおっさんと出会うこともなかっただろうから、因果とは不思議なもんだ。

旧ロシア圏に入ってからお馴染みの、ストローバヤ形式のところで、食い切れないほどの食事をご馳走になってしまった。
名前や連絡先を聞こうとした矢先、アザーンが鳴り響いて「すまん、お祈りの時間だ ゆっくりしていけよ、おれは行かなきゃ!」と去って行ってしまった。
まったく、嫌な事があればいい事もある。それが1日の中の短いスパンで繰り返すこともあれば、人生という長い時間のなかでうねることもある。いずれにせよ、名前だけでも先に聞いておけばよかった。

Vladikavkaz の夜散歩

悪徳(?)警官の一件でだいぶ疲弊していたけど、夕飯をたんまり食ったおかげで元気がでたので、バイクを宿において街を散歩する。

たまに、夜出歩いて危なくないの?と聞かれるけど、正直そんなことは出歩いてみないと分からない。ただ、一般的に抱かれる「海外夜危ないステレオタイプ」は南北アメリカ大陸のそれを基準に語られてることが多いような気がする。
とはいえ、昼間の内にそこはかとなく街の雰囲気を感じ取っておくのは大事かもしれない。

夜になってライトアップされたモスクが、市を縦断するテレク川に映える。

フード・バンが多い、そしていい感じ。

このバルコニーいいな。上に庇状の屋根もついてて、ちょっと一服するのに最高な雰囲気。 

テレク川の東側には、広くて美しい建物の並ぶ広場が広がっている。
広場には路面電車が走っていた。

とんがり屋根のかわいい売店。

いかしたフードバン。

久しぶりに会ったような気がする、写真撮ってくれ勢。

てなわけで、北カフカスを南下して、辿り着いたロシア最後の街 ウラジカフカスでした。

つづく

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