【Russian Federation episode5】ロシアに潜む仏教の街 Elista;エリスタ

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

ヴォルゴグラードの街を去り、北コーカサスに向かって南下していきます。

ここまでのルート

ヴォルゴグラード州を南下 カルムイキア共和国へ

ヴォルゴグラードから急激にその向きを東に変えてカスピ海へ向かうヴォルガ川から逸れて、ほぼ真南に伸びる道をゆく。

一度ウラルスクへ緯度を上げて出現したロシアの森は再び姿を隠し、カザフスタン西部と同じようなステップが延々とつづく。

ヴォルガ川の生き別れのような小さな溜池レベルの湖が散在していた。

メインの道路から外れているからか、乗用車もトラックもほとんど通らない。
それでもある程度は舗装されてるのが、さすがロシアといったところなんだろうか。

地図アプリによって、今日だいたい何キロ走るのか ってのは分かっているんだけど、
それでも地平線まで果てしなくつづくような道を走っていると、このままどこにも辿り着かないのではないだろうか、なんて錯覚を覚える。

ロシアの行政区分は複雑で、連邦市・自治州・州・地方・共和国・自治管区などで広大な領土が分画されてる。
ヴォルゴグラード州を南下してまもなく、もう北コーカサスに迫ってくるカスピ海の西側南部は、小さな共和国がひしめき合う。
これらの共和国の中で誰もが聞いたことがあるのが、90年代初頭から始まったチェチェン人にようる独立蜂起で有名なチェチェン共和国だろうか。ここ、カルムイキア共和国は、ほとんどそのチェチェンに隣接(厳密には境界共有はしてない)した地域になる。

なんだか社会主義とその崩壊を具現化したような建物がたまに出てきてテンションがあがる。

カルムイキア共和国の首都、Elista;エリスタに到着した。

仏教色濃い北コーカサスの街 Elista

わざわざアストラハン方向の道から逸れてこの街に来たのは、キルギスで乗り合いバスで同席したイギリス人のおっさんから、「ロシアに仏教の街があるぞ、グフフ・・・」という話を聞いたのがきっかけだ。
カルムイキア共和国はヨーロッパ唯一の仏教国であり、2005年より街のシンボルとなった釈迦牟尼黄金寺院は東欧最大の仏教寺院らしい。

なんでこんな北コーカサスの辺境に仏教国があるのかというと、元々チベット仏教を信仰していたオイラトの一部が、17世紀頃に内乱を避けて東トルキスタンのイリ地方から西に向かいヴォルガ川流域へ移住したのがそのはじまりのようだ。
その後18世紀になって、諸々の理由から再びイリ地方への帰還が決定されるものの、暖冬によって凍結しなかったヴォルガ川西側の人々は取り残されることになったのだ。この取り残された人々こそ、このカルムイキア共和国にいる人たちの祖先ということになる。

この写真だけ見せられて、「ロシアだよ」と言っても、ほとんどの人は信じてくれないだろう。
門の上には法輪と2頭のヤギがみえる。これはチベット仏教総本山 ラサにも同じシンボルがある。なんで山羊なんだろ。

このゴリゴリの寺社門に、キリル文字の表記がなんとも違和感&新鮮だ。
「釈迦牟尼仏の黄金寺院」とある。
向かって左は英語、そして右はたぶんチベット文字。

境内を見まわしつつ

中央に聳える寺院に足を踏み入れる。ストゥーパのような形態の塔と、法輪や蓮の花のモチーフがある。

内部は撮影禁止だったけど、ここまでバイクで走って来たんだ、許してくれ ロシアに潜むこの稀有な如来像を記録しないわけにはいかん。
電光石火のごとく無駄のない所作でカメラを取りだし、シャッターがきれる一瞬だけ静止し、画像が保存された瞬間カメラをしまう。

というわけで残念ながら内部の詳細な写真は撮ることができなかった。
この仏像は、肉髻を伴った螺髪で、両手は印を結んでいないように見える。右手は穏やかに脚に置かれ、左手に持っているのは薬壺だろうか。ということは薬師如来だろうか。

宗教建造物といえば、今まではほとんどモスク、たまに教会だった。
寺院に入った瞬間鼻についた線香の匂いと、寺社仏閣の内部にある独特の雰囲気に包まれたとき、何とも言えない安心感があった。
まぁ管理人は家系的には神道なんだけど、やっぱり日本で育つとそういうのは体の芯のどっかに染み入ってるらしい。

こうやって旅の途中で偶然知った場所を、のらりくらりと訪れるのも あての無い放浪旅の良いところだ。

エリスタの街に散在する像たち

エリスタの街をぶらぶらしていると、仏教色を感じると共に、やたらと石像やモニュメントが多いのに気づく。

 

まぁそれぞれにどんな意味があるのかは、おいおい調べることにしよう・・・

ぶらりエリスタの街

エリスタの街を歩いていて気になったものを、また雑に貼って行こうと思う。

キオスク的なサイズの本屋や薬局。

シティ・センターにある公園から先に見える7重の塔。

かなり仰々しい雰囲気の門がシティ・センターの一画を区切っていて、

そこを越えると、7重の塔がみえてきた。

デザインは赤・金で装飾も激しく、日本の侘びた重塔とは違った中華的な雰囲気だ。

チベット仏教ではマニコロとよぶ、いわゆるマニ車が1階部分にある。赤字に金文字でマントラがあしらわれていて、けっこう大型のマニ車になるんじゃないだろうか。

シティセンターの周りにも、こんなような門がちらほらある。これも、とてもロシアとは思えない雰囲気だ。

路地に入っていくと、

キルギスやタジキスタンで訪れたマーケットのミニ版みたいなのが広がっていた。

蜂蜜は中央アジアに入ってから定番商品だ。もうちょっと小さいのがあれば、パニアに積んでおくといつでもパンに付けて栄養を補給できる。

カスピ海で捕れた魚なのか、ヴォルガ川で捕れた魚なのか、見た目的にはバカでかいフナだ。
鎬の太い、あんまり見た事のない形の包丁で手際よく鱗が落とされていた。

また、日が暮れていく。

7重の塔にも夕日が差して、また違った雰囲気になる。

夜のエリスタ、シティセンター周辺の小さな店たち。

仕事終わりだろうか、バス停から、東に向かうバスに乗って帰路につく人々。

ってなわけで、ヨーロッパ唯一の仏教国でありながら、あまりその名を知られていないカルムイキア共和国首都、エリスタでした。

つづく

管理人の旅を支える道具たちはこちら↓↓↓