【Republic of Tajikistan episode 4】Khorog;ホログからLanger;ランガーまで 世界屈指の秘湯を巡って

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

パミールハイウェイの入口、ホログの街に到着した後、ここから更に東のMurghab;ムルガブを目指すのですが、ルートは北側のパミールハイウェイと、南側のワハーン回廊側の2つがあります。まずは南側のルートを通って東側へ向かいます。

ここまでのルート

Wakhan Corridor へ 第1の秘湯 Garam Chashma

Wakhan Corridor; ワハーン回廊 とは、本来はアフガニスタンの領土に対して言うのが正しい。世界地図をみてみると、アフガニスタンの北東に、不自然に伸びた細長い領域があるのに気づくと思うけど、そこがワハーン回廊だ。
パミールを旅する人々は、一般的にホログとムルガブを結ぶ南側のルートをワハーンと称している。

ホログの街を出発する。

GSが良く似合うゼーニャ。

途中給油のためガソスタを探すも、営業していない。

 

しばらく走ったところで、量り売りのガソリン屋があった。もはやオクタン価とかは不明。

さて、ここワハーン回廊のタジキスタン側には 世界屈指の秘湯温泉がいくつか存在するのが知られている。

メインの道路を逸れて、そのうちのひとつに向かってみる。道はところどころ更に悪い。

そんな悪路を上っていくこと数キロで、道の終わりになにやら建物が見えてきた。
これがワハーンの温泉のひとつ、Garam Chashma; ガラムチャシマ だ。

異様な形に成長した石灰岩の塊と、

ターコイズブルーに濁った温泉!

おっさん二人のセクシーショット失礼。湯加減は温泉慣れした日本人の感覚をしても「ちょっと熱め」。だけど入っていられないような温度じゃないので、まぁちょうどいいのか。悪路の振動で疲れた体が癒される。
温泉は男女交代制のようで、あがって出る時には入口で地元のおばちゃんたちが列を成して待っていた。

Ishkashim へワハーンを南下 そしてブレーキトラブル

温泉を出た後、しばらくゆっくりしたら、再び走り出す。

どこを切り取っても 絶景にしかならない。

ソ連のアフガニスタン侵攻時も、アフガニスタン国内が内戦で大荒れな時も、ワハーンはほぼ無関係のままひっそりとその暮らしを維持していたというけど、それも頷ける。あらゆる方向を5,000~7,000m級の山々に囲まれて、交通の便は悪く、人口も超希薄。

ワハーンやパミールハイウェイで怖いのが、なぜか突然ふかふかの砂が現れることだ。不注意に突っ込むと、急激にコントロールを失って転倒する。

相方のゼーニャ、実は今回が2度目のパミール・チャレンジで、昨年ワハーンのとある砂地で転倒し右脚を骨折してしまったのだ。当時はドゥシャンベ・バイク・ハウスのメンバーにレスキューに来てもらったりと大変だったらしい。

他にも、道のあちこちにデカい石が落ちていたり、急にデカい穴や亀裂が出現するので、景色を楽しみたい一方、常に路面状況に注意しないといけない。

ダート走行のため空気圧を落としているので、特に穴や亀裂は気を付けないとリムを打ってしまう。

乾燥した大地に生きる低木の植物たち。

途中、フロントからの異音がするってんチェックすると、ゼーニャのF800、フロントのブレーキパッドがキャリパーから外れてしまっている。その影響か、パッドの一部のひっかかりの部分も欠けてしまっていた。

フロントを持ち上げて作業していると、どこからか集まってきた国境警備の隊員たち。何もないように見える山の上にはタジキスタン軍の駐屯所が無数にあって、常に山の上から監視しているようだ。だけど彼らも旅人慣れしているようで、基本的にすごくフレンドリー。

上側のパッドスプリングが欠損している。ゼーニャ、なんとこのスプリングの予備をちゃんと持ってきていた。

だいぶ時間を食ってしまったけど、これもバイク旅の醍醐味のひとつでもある。管理人にとっては、他の車種の構造を勉強できるいい機会でもある。

無事、パッドの交換とスプリングの修正が完了した。

だいぶ日が傾いてきたようなので、この日は Ishkashim; イシュカシムという小さな街で宿を探すことになった。

イシュカシム近郊の放牧地。管理人は、これほどまでに”のどか” な景色を、未だ見た事がないと心底思った。

写真を撮っていたら集まってきた地元の少年たち。彼らにとって、大型バイクに乗った外国人ってのは、どういう存在に写るんだろうねぇ。

ここまでのルート

Wakhan Corridor メインストリームへ

イシュカシムで一泊した後、更に東へと進んでいよいよメインのワハーン回廊部分に突入していく。

相変わらず、右手にアフガニスタンをみつつ、路面に気を付けつつ、この素晴らしい景色を楽しみながら進んでいく。

相方がいると、お互いに写真を撮りあえていい。一人旅だと、自分を含んだ写真はなかなか撮れないからね。三脚立てるのけっこうめんどいし。

この塹壕みたいなのは、リアルの塹壕で アフガニスタンとの戦闘時にバリアとして使うもの。

大きな岩がゴロゴロと落ちてる。

ラピスラズリでもおちてねーかな、てかユキヒョウいないかな とか、まぁ勿論そんな事は起きないけど、でも可能性がゼロではない場所。

クオーツはそこら中に落ちてる。

ゼーニャもけっこう寄り道好きなのがほんとによかった。海外のライダーは目的地決めたらそこまで垂直爆進ノンストップのイメージあるから。

ひどいコルゲーションがずっとつづく区間なんかもちょこちょこ現れて、嫌になることもある。少なくとも荷物を一部グリーンハウスに預けてきて本当によかった。

いま見えているアフガニスタン側が、正真正銘ワハーン回廊の領域内だ。

途中で出会ったフランス人のサイクリスト2人。

フロントバッグに飾られたトリコロールと貝殻、こういうのいいね👍 昔乗ってたランドナーを思い出した。

後ろには各国のフラッグ。
バイクでは7~10日程度で回れるパミールだけど、自転車の場合は1か月スパンになる。健闘を祈る。

狭かった川幅は、急に広くなってまるで湖のようになることもある。

大き目の砂利が深い道がつづく。なかなかにしんどい。

途中、再び現れた深い砂地でスタック!! リアの空気圧は1.5くらいまで下げているけど、やっぱ基本オンロード仕様ではこうなる。

1人だったらどうするの? と聞かれることがあるけど、そん時は、
1.まず全部荷物おろす
2.それでもダメならわざと倒して引きずる
3.それでもダメならひたすら誰かが来るのを待つ。
オマーンやサウジでは、何度かそうやって脱出した。今回はゼーニャにちょっと押してもらって脱出。2人は強い。

Yamchun Fort と Bibi Fatima

さて、この界隈にもワハーンの秘湯がある。再びメインの道をはずれて、更なるダートを上っていく。その左折ポイントで休憩中に寄ってきた少年たち。

ワハーンや、そこに点在する温泉に関しては 意外と日本語のブログも複数書かれている。そのうちのひとつには「とんでもない悪路」と書かれていたので不安だったけど、まぁそこまででもなく走っていくことができる。

道中、悪路を上りながら右手に何やら遺跡が見えて来た。

Yamchun Fort; ヤムチュン砦 という史跡である。

建造されたのは紀元前3~1世紀頃といわれている。
まるで大蛇のように丘の尾根を下までつづいていく。

タクラマカン砂漠からサマルカンドを結ぶシルクロードのちょうど中継点に存在するワハーンには、荷物を運ぶ商人達の安全を確保するために沢山の砦が築かれたという。その中でも、最も保存状態のよい砦だ。

ヤムチュン砦を過ぎ、さらに少しのぼっていくと、

こんな建物が姿を現す。これぞ、第2の秘湯 Bibi Fatima; ビビ・ファティマだ。

中に入って通路を進んでいくと、

脱衣所があって、そこからこの狭い通路を下りると、

まるで巨岩の間に挟まれたような狭い空間に熱々のお湯が湛えられていた。秘湯感はガラムチャシマのそれより上だ。巨岩の上からは太陽が差し込んで、なんとも気持ちいい。

源泉かけ流し、なのかどうかは分からないけど、頭上から湧き出る熱湯をかぶり、思わず合掌。

ビビ・ファティマには、他にもこんな浴室もあった。

Langer へ、ゼーニャ 雪辱の儀

ビビ・ファティマからの眺め。この辺りはワハーン回廊の幅も最も狭くなっている場所で、アフガニスタンの南北における距離は20kmかそこらしかない。その南にはパキスタンとの国境を成す山々のピークが連なる。

温泉を出た後、近くにあった食堂で休憩して、

再びメインの道路に戻る。

この景色・・・・ いつでもこの景色を網膜に再生できたらいいけど、この時の感動も、この風景も、その時一度きりの体験である。空気の匂い、風の圧力、疲労感、あらゆる要素が複雑に絡み合って形成される”その一瞬一瞬”は、到底今の技術でバーチャルにて再現などできない。

さて、メインの道路に戻って、Vrang の街を過ぎた辺りに ゼーニャ因縁の場所がある。

彼が去年60km/hで突っ込んで転倒し、脚を骨折したまさにその砂地である。

この一帯は、道の両脇もふかふかの砂に覆われていた。灰色の砂漠だ。

道脇の砂地に”Камчатка” と描くゼーニャ。

管理人も “RIDING THE GLOBE” .

今回はゆっくり、ゆっくり進んで、無事因縁の地を通過、ゼーニャも雪辱となったかもしれない。

日が傾きだしたワハーンのダートを進んでいく。

この日は Langer;ランガーという小さな村まで辿り着き、ここで投宿した。

つづく

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