【Islamic Republic of Iran episode17】タブリーズに潜む レインボーマウンテン と アルメニア教会

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

タブリーズをほっつき走っている時に Jameh Mosque 前のレストランで偶然出会った Ali.
彼と連絡を取り合い、お互い都合がついたので、Aliの友人たちも含めて一緒にツーリングへ行くことになった。

イランのレインボーマウンテン

朝、Ali と その友人 Said と合流。
Said の愛車はなんとスズキのVスト250だった。イランでの価格はなんと12,000ドル。日本だったらVスト1050が買えてしまう金額に近い。

更にもうひとり途中から加わり、4人で走る。中東のバイカーグループと走る時は、途中でメンバーがいつのまにいなくなったり、加わったりが よくある。

Said 持参の水筒から、

ローズティーをもらう。彼らは大抵かなり準備がよく、水たばこのセットを持参するライダーも多い。

タブリーズから北東方向の郊外へ抜けると、景色はこんな感じに変わっていく。

この道をずっと北東へ進んでいけば、ほどなくしてアゼルバイジャンとの国境へたどり着くだろう。

途中から小さな道に入り、タブリーズ北東部に広がる山々の間へ入っていくと、、、

すぐそこにレインボーマウンテンが丸々と出現しはじめた。

レインボーマウンテンといえばペルーのそれが有名だけど、ここも素晴らしい景勝地じゃーないか。

さすがに7色に輝く、とまではいかないけど、これが何の加工もなしのリアルな色だ。

山それ自体の形が小ぶりな丘の連続したような形なので、カラフルな色と相まって物凄く立体的に見える。

Ali 撮。

ぬたちゅるダートと無名の湖

レインボーマウンテンの脇に見つつ、この細い県道のような道を更に進んでいく。

ほとんど車も通らないし景色も最高だし、もしもタブリーズをバイクで走る機会があれば是非おすすめしたい道だった。

その細い県道から、更に支線にはいり、ここからダートがはじまる。

軽快なフラットダートで楽し~ と思っていたら、

先日の雨の影響でところどころ、なかなかのなかなかな感じになってくる。バイク界隈ではこの泥+雨で後輪がグリップしない路面を”ぬたちゅる”と表現する。ぬたちゅるはマジ勘弁だわ。

なんとか転倒せずに進んでいくと、

美しい湖が見えてきた。Sattar Khan Dam だと思う。

Ali とたまたま会わなかったら、こんな道に来ることは絶対になかった。

まさに大高原を流れる細ーい川と青い空。

それにしてもピレリのスコーピオントレイル2は優秀だなぁ、、、こんな路面でもほとんど減圧なしで変な滑り方しない。

おそらくもう2度とこの4人で一緒に走ることはない、かけがえのない集合写真。

Saint John Church of Sohrol

そのままダートをしばらく走って舗装路に復帰。

なぜか途中でいきなりみぞれみたいのが降ってきたりしつつ、再び最高に気持ちい道を走っていく。

ガードレールなし、側溝なし、でも舗装状態はgood で交通量少ない。これ最高。

しばらく進んでいくと、小高い丘の上に絵本の扉絵のようにちょこんと鎮座する教会が見えてきた。

ダートの坂道を上っていく。

途中道脇のトラクター。

ダートの坂をのぼりきると、

RPGラスボスが住んでいそうな雰囲気で教会に辿り着く。

この Saint John Church は、アルメニア・カトリック教会に分類される。起源は5-6世紀と非常に古い。現在見える建物自体は、1,500年前の基礎の上に1840年になって再建されたもの。

Said 撮。
古代のアルメニア王国は実は古代ローマよりも先んじて世界で初めてキリスト教を国教とした国だ。元々は独立国だったけど、地政学的に東ローマとペルシャ帝国に挟まれて、後半は東西に分かれてそれぞれの属州となる。この教会が最初に作られた頃ここは、おそらくササン朝の属州にあたる東アルメニアだったんだろうか。ペルシャの宗教は当時ゾロアスター教だったけれど、属州化したアルメニア国内でキリスト教の信仰がつづいていた証拠みたいなもんなのかもしれない。

教会の建つ小高い丘からの眺め。

教会脇に安置されていた棺にみられた紋章。古代ペルシャの遺跡や碑文、壁画で最もよく目にする花びらと十字架が一緒に彫刻されていた。
この棺がいつのものなのかはよくわからなかったけど、キリスト教の象徴である十字架と、ゾロアスター教を象徴する花びらが一緒になっているのは興味深い。
この花びらは、ゾロアスター教の女神 Anahita; アナーヒターの象徴ともいわれてハスの花びらを表わしている。Ali が説明してくれたことによると、ハスの花は土に根差し、水を通て空気に顔を出し、そして太陽を浴びる。ゾロアスターの4元素をその生活圏に全て含むからシンボルになったんだとか。ただ、この文様の起源は古代ペルシャよりも更に古く、古代アーリア人のミトライズムや、もしかしたらそれよりも前に遡るかもしれない。
Derafsh Kaviani というペルシャ王国の象徴を表わす紋章の中央にも、この花びら文様がある。

教会を後にして、夕暮れ前にタブリーズへ戻る。
約160kmほど、タブリーズの北東~北西を巡る最高のツアーだった。

ツーリング終わりは皆ではらごしらえ。

好きなのを選んで、

持って行って焼いてもらうスタイル。

Thanks a lot , great local riders.

つづく

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