【Sultanate of Oman episode 12】Ras Al Hadd 海岸にて ウミガメの産卵をみる

こんにちは、グレートエスケープ中の元勤務医です。

スールからさらに東へ少しだけ進み、ラッセルハッドとよばれる地域へ向かいます。
オマーン半島北東部の海岸は、世界でも有数のウミガメの産卵地。もしかしたら見ることができるかもしれないと思い向かうのだった。

Sur を後に

Al Ayjah Castle にて。

昨日みた橋を渡って東へ進む。

 

真っ青な入り江に、木造船が浮かび、

岸壁には Watch Tower が複数建っている。

Ras Al Hadd へ

ウミガメの産卵地として有名な海岸は、Ras Al Hadd ないし Ras Al Jinz と呼ばれる地域で、どちらもオマーン半島の北東先端部分にて距離は近いが、バイクで海岸近くまで近寄れる場所を適当に探す。

そしてスタック。

スタック記念撮影。柳に風と受け流す精神が養われてきた。

一度倒しては引きづって、起こしてまたスタックして、また倒して引きづって・・・・・
これじゃあウミガメを見にきたのかバイクを引きづりにきたのか分からん。

スタックしない路面に復帰させ、もうバイクはそこに駐車。

チェアだけもって海岸でひたすら待つ作戦にうってでた。
ウミガメが最も観察されるのは夜中の9時頃から翌朝の3時、日の出前くらいにかけてということらしい。
この際8時間でも10時間でも待とうじゃないか。

ジモティーの子供たちが浜辺で元気に遊んでいる。
いまは海に向かって無意味に叫び散らす彼らにも、いずれ人生の意義を問う時期がくるでしょう。

ウミガメと遭遇

籠城を開始して5時間くらいだろうか、辺りが暗くなってきたところで政府関係者がやってきた。

「ここでの観察は保護のために許されていません」

なに!!

どうやら母ガメが浜辺にあがってくる時間帯は観光客の立ち入りを禁じているらしい。
それは良いことだけど、こちとらはるばる日本からバイクでやってきてんで何とかなりませんか戦法again, で彼らの立ち合いのもと観察を許してもらった。

浜の方に歩いていくと、早速それらしき穴があり、近くを見渡すと

子ガメがいるではないか。
今まさに孵化したばかりの赤ちゃんカメ。
オマーンのこの付近の海岸ではアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメの4種が産卵するという。
産卵から孵化まではおよそ60日ということなので、この赤ちゃんウミガメは6月頃の産卵ということだろうか。
一般的には6月頃に産卵するのはアカウミガメなので、アカウミガメの赤ちゃんなのかもしれないが、詳しくはわからない。

孵化してから海に向かうまでの間に、浜辺の野良犬、カモメ、大型のカニなど多くの捕食者が待ち受けている。
彼らが大きくなる確率は、1/5,000匹 ともいわれている。
この赤ちゃんウミガメはこの後無事波に迎えられていった。フレンジーという本能行動によって、40時間以上何も食べずにひたすら沖へと泳ぐという。
肺呼吸の手のひらより小さいこの生き物が、真っ暗な海を沖へ泳ぎつづけるとは、野生動物というのはなんて強いんだろうか。
人間であればすぐに溺死しそうなもんだ。

更に浜辺を歩いていると、

このような波状の跡が。
これは母ガメが浜へ上った軌跡だ。

軌跡を追うと、いた、立派なアオウミガメ。

ちょうど産卵中であった。
1シーズンにつき、およそ100個ほどの卵を3~4回に分けて産卵するという。
卵はほぼ正球形、ちょうどゴルフボールくらいの大きさだろうか。

アオウミガメはオサガメに次いでウミガメ類の中で大型種になる。
体重は最大で300kgに達し、全長は平均して150cm ほど。あのヨチヨチ赤ちゃんウミガメが、どのようにしてここまでの巨体へと成長するのかは、実はまだあまり明らかになっていないらしい。

大海原を泳ぐヒレは強靭で、一度に大量の砂をかきだしていた。

この母ガメはいまから産卵するための穴を後ろ脚で掘っているところ。

結局、この時5匹のウミガメをみることができた。
一晩中朝まで探してようやく見れるか見れないかぐらいに考えていたので、よかった。

※本来は地元のホテルや観光エージェントなどを通してお金を払い見学ツアーに参加するのが一般的のよう。懐中電灯の使用も基本的に禁止されているけど、今回は政府関係者の特別の許可のもと撮影を行った。

気になったのは、浜辺に大量に落ちているゴミや4WDで海岸スレスレを爆走する観光客の姿。
ウミガメが産卵するまさにその横を、風で飛ばされたビニール袋が通り過ぎていくのを見て 管理人も初めて問題を実感するに至る。
社会問題や環境問題は、いつも渦中にいない人間からしてみれば対岸の火を越えない。

日本のレジ袋有料化がどれくらい海岸美化に寄与するのかには疑問がつきないけれど、
オマーンに関しては王政を利用した強力なリーダーシップをもってこういった問題の解決に乗り出してほしいと感じるのであった。

この日は浜辺からやや離れた空き地のようなところでテントを張った。

Route

約70km.

おまけ

オマーンのみどころ(?)なのかは分からないけど、ごく普通の民家も含めてドアがとてもいかしている。

オマーンを訪れる機会があったら各家庭のドアの意匠にも目を凝らしてみるとまた別の楽しみがあるかもしれない。

つづく

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