【ペトロマックスランタン】Geniol ゲニオール マントルランタンのオーバーホール

こんにちは、世界放浪2輪旅を目指す管理人です。

今回も世界1周とは直接関係ありませんが、ギアの管理という意味でちょっと関係のある記事を書こうと思います。
みなさんは“ランタン”と聞いて何を思いうかべますか?🔥

キャンプでつかうやつ?なんか火つくやつ?灯油くさいやつ?
山奥で仙人みたいな暮らしをしてる人でもなければ、あまり日常的に使うものではありませんが、キャンプ用品としてはごく一般的で、様々なタイプのランタンがメーカーから販売されています。

ランタンの種類いろいろ

ランタンにも色々なタイプがあるのをご存じでしょうか?今一般的にキャンプ用品店などで手に入るものは

・灯油ランタン(ウィック式)
・LEDランタン
・フィラメント電球ランタン
・マントルランタン(灯油式 ガスカートリッジ式)

などがメインどころでしょう。これらはどれも光源がなにかによる分類となります。

灯油ランタン

http://cascadeloop.org/2005/12/21/205245.html より

灯油ランタンはその名の通り、灯油を燃料にするわけですが、基本的にはランプ専用オイルやケロシンと呼ばれる白灯油を用いるのが一般的です。これを”ウィック”という芯に浸み込ませ、灯油の浸み込んだウィックに直接点火するという至ってシンプルなランタンです。構造が単純なのでメインテナンスも楽ですし、問題が生じても多くの場合簡単に解決できます。その代わり、いってみればロウソクの火のようなもの(そこまでチロチロじゃないけど!)なので、明るさという点においてはそこまで頼りにはなりませんし、灯油の漏れなどにも注意しなければなりません。
大定番の灯油ランタンは Nier社 のフュアーハンドランタン。ドイツ製で風に強く、点灯時間も長いです。


LEDランタン・電球ランタン

https://www.gentos.jp/products/ex-400f/ より

LEDや電球は充電式であったり、電池式であったり、その両方だったりします。最も簡便で扱いやすいですし、ほとんどメインテナンスフリーでしょう。ものによっては非常に明るいため、キャンプでのメインランタンとしても十分機能しますし、スイッチ1つで明るさを得ることができるので、初心者キャンパーや、道具をシンプルにしたい方などにはおすすめです。半面、ちょっとキャンプ感が薄かったり、道具感が少なくて、がっつりキャンプしてるぜっ という雰囲気を味わいたい方には物足りないかもしれません。
おすすめのLEDランタンは Gentos の EX-400F
とっても明るい上に、明るさを無段階で調整できます。

マントルランタン

https://www.star-corp.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=10022 より

そしてマントルランタン。おそらくこの方式が最もナジミがないのではないかと思います。マントルランタンは、その名の通り”マントル”とよばれる袋状の布のようなものを括り付け、これを発光体として光源を得るランタンです。少々難しい話ですが、マントルには硝酸化合物が含まれており、これらを酸化させて燃料を供給することにより発光を得ているのだとか。この燃料にはケロシンなどの灯油をつかうタイプのものと、キャンプバーナー用のOD缶(ガスカートリッジ)など、ガスをつかうタイプのものがあります。特に灯油式のマントルランタンは点火までの手順が煩雑で、安定した光源を得るまでにいくつかのステップを踏まなければなりません。構造も複雑で、点火不良などの問題が生じた際に原因を突き止めるのも大変です。また、分解後は再利用不可なパーツなども使われており、メインテナンスにはそれなりの道具や知識、準備が必要になってきます。また、マントルランタンの命”マントル”は一度発光体となった後は灰のようにもろい状態となります。わずかな衝撃でもポロポロと崩れてしまい再利用不可となるため、普段の取り扱いにも注意が必要となります。このようにマントルランタンというのは超絶気難しい頑固じじぃみたいに手がかかるのですが、その代わりその光は他の光源では味わえない「明るさと温かさ」をもっています。また、シュコー・・・シュコー・・・という独特な燃焼音や、灯油が燃える臭いなど相まって、まさにキャンプしてるぜっ感満載な道具といえるのです。
ちょっと大変だけど、最高にかっこいい見た目の Petromax HK500CP

ゲニオール Geniol 製のランタンをオーバーホールする

さて、ランタンには色々な種類があること、そして数あるランタンの中でも灯油式のマントルランタンは最も気難しいヤツであることが分かりました。
じゃあ、メインテナンスが大変とか、点火が大変っていうけど、どう大変なの?と思われる方もいることでしょう。これに関し、僕が点火不良を生じたマントルランタンを修理し、再び点火するようになった行程を見ていただければ、メインテナンスに関しても・点火の手順に関しても ある程度伝わるかと思います。

Geniol Automatic 500 CP

今回紹介するランタンがこちら
1950年代製 Geniol 灯油式マントルランタン

おいおいただでさえ複雑な構造っていってるのに更に半世紀も前のランタンかよ!と思われるかもしれませんが、その通りです。よりにもよってやっかいなランタンをチョイスしてしまいましたが、たまたま僕が持っているマントルランタンがこれなので、こいつで話を進めていきます。ただし安心してください、灯油式マントルランタンの中で最も有名といっていいPetromax社のRapidランタンや今回紹介するランタンなどは現行品も50年前のものもほとんど構造が同じです。なので概ね参考になると思います。

そもそもこんな厄介なやつをオーバーホールする事になったのは、わざわざ重い灯油式ランタンを嬉々としてキャンプに持って行ってみたものの、点火不良を生じ、結局ただのお荷物になってしまったという失敗をしたためです。元々はしっかりと点いていたのに、いざ本番で使えないという、古い道具あるあるですね・・・

分解、清掃作業

もともと灯油式マントルランタンの構造など知りませんでしたが、これを機会にと思い、調べながら、ビビりながら分解清掃を試みました。

実はコールマンの別のランタンも一緒に作業していたため、タンクのようなものが2つありますが、こちらが分解風景です。以外と部品の点数は多くありませんが、ひとつひとつの部品が小さく、繊細なものもあるので、位置関係をメモりながら作業を進めます。
普通の工具に加え、Petromax用の工具がないと外せない部品もあります。

【Petromax ランタン メンテキットの内容と使い方】

ちょっと古いカメラの画像のため画質が悪くてよくわかりませんが、これが概ね全て分解したところです。ススや錆を綺麗にし、ネジ山などを丁寧に掃除します。
なお分解の際は、現行のペトロマックス・ラピッドランタン Petromax Rapid の取り扱い説明書が一助になります→【Petromax 取扱説明書】

今回、ニードルハンドル 鉛ワッシャ ミキシングチューブ 圧力ゲージ付き注油キャップなどを新品に交換。

こういう時に現行品に互換性があるって素晴らしいですね👍

古い圧力計は全くビクともしなかった・・・・

ちなみに、分解清掃作業中はどうしたって辺りに灯油のにおいが立ちこめます。基本は屋外作業推奨なのかもしれませんが、室内でやる場合は換気を気にした方がいいでしょう😊

取り外した鉛ワッシャ
新品に交換し、鉛ワッシャを咬ませたところ

先ほどちらっと触れましたが、今回のような灯油式マントルランタンを分解する際には再利用不可能なパーツが存在します。それが鉛ワッシャ。おそらく、高圧により噴霧化された灯油がタンクとジェネレーター下部などのジョイント部から漏れるのを封鎖する役割があるようです。取り外すと、左写真のようにぶっ潰れた状態なので組み上げる際は新品に交換する必要があるのです。
結局、今回の点火不良の原因は、フレームチューブという余熱用のバーナーの一番底部分にあるろ過用のメッシュがゴミで詰まっていることが点火不良の原因でした。これを綺麗に掃除し、バーナーの火口の詰まりを通したのち耐火パテで補修。

加圧ポンプのパッキンをエンジンオイルに浸漬する

各パーツを洗浄後、注意深く 順番を間違えないように組み上げます。

点火確認!

全ての組付けを終える前に、ノズルにマントルを装着します。今回はColeman の11型マントルをつかっています。触った感じに厚みがあり、品質がよいように感じます。ただ、サイズさえ合えばなんでもいいと思います。

組みあがった状態

はっきり言って重いし、灯油臭いし、チムニーはすすだらけ。おまけに注意深く扱わないとマントルが壊れてします。使いやすさや便利さからかけ離れたものですが、このいで立ちどうでしょう?ズシっと重厚感があり、色々な場所にバルブやノブが突き出ている機械美、なんとも愛おしくなる道具だと思いませんか?
さて、ではいよいよ点火をしましょう。
点火の順序は概ね以下のようなものになります

①マントルが新品の場合、まずはマントルをカラ焼きをします。余熱バーナーで焼いてしまうことが多いです。これにより、マントルの布部分が消失し、硝酸化合物でできた発光体だけが残った状態となります。

マントルの空焼き
マントルが先端から根本まで焼けて、灰の塊のようになっていきます

②加圧ポンプでポンピングをおこない、タンク内圧力を上昇させる。圧力ゲージを参考にしてもよいが、概ね4~50回ほどポンピングすればよいのではないかと思います。この時、バルブの矢印は必ず上向きにし、ニードルがニップルを塞いでいる状態であることを確認します。

③余熱バーナーに点火し、ジェネレーターの余熱をおこないます。季節にもよると思いますが、1分ほど余熱すれば十分でしょう。余熱中はポンピングを追加し、タンク内の圧力を保ちます。
この写真だと、業火が上がっていますが、これはぼくがバーナー火口を修正した際耐火パテに開けた穴が大きかったせいでしょう。本当はもうちょっと小さい火なのでご安心を。

余熱バーナーに点火し、1分ほど余熱作業をする

 

④ジェネレーターが十分に加熱されたら、このままの状態でバルブの矢印が下向きになるようひねります。これによりニードルが下がり、ニップルから高圧になった灯油が噴霧され、ミキシングチューブで空気と混合されてマントル内へ供給されます。

⑤マントルに点火したことを確認し、余熱バーナーのキャップを閉じ、バーナーを消火します。ふたたびポンピングを追加し、タンク内圧力をあげておきます。しばらくするとマントルの発光は安定します。

無事、点火しました

まとめ

さて、どうでしたでしょうか?メインテナンスに関しても点火に関しても、とても「手軽で簡単」とはいえないですね。しかし、コンディションの良い状態で適切なステップで点火をすると、写真のように非常に明るく、そして温かい光を得ることができます。

重いですし、取り扱いもやや繊細なので、バイクツーリングには向きませんね・・・。車で、大きな荷物を安定して運べるような時に向いています。マントルランタンにしかない独特な世界観を、是非キャンプに取り入れてみてはどうでしょうか?

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