【Republic of Turkey episode 11】朝のネムルトと 暗闇渓谷

どうもこんつくは、グレートエスケープ中の管理人です。

ネムルトのビジターセンターで朝を迎えて、朝のネムルトを再訪した後 ひょんなことから知る事になった「暗闇渓谷」を目指します。

ここまでのルート

朝のネムルトに感じるもの

朝、4時ごろに起きて改めてネムルトの山頂を目指す。

30回くらいこのまま寝てよう と思ったけど、なんとか自分を奮い立たせてテネレを走らせる。

悶絶上りを終えて再び山頂に来ると、こんな早朝だってのに昨日の夕方よりも圧倒的に沢山の人が集まってた。

東の地平線が赤橙に染まる。

じわじわ じわじわ、

そして、これがネムルトの御来光。

東側を向く神々とコンマゲネの王が朝日に照らされて、昨日見たのとは全く別の表情を見せる。

サイエンティフィックにはただの石なのは分かってる。
でも、切り落とされた首が朝暾を浴び 文字通り彫りの深い顔に影をつくると、そこには悠久の時間が与えた何かを感じずにはいられなかった。

こうやって 来る日も来る日も、2,000年近い日々上る太陽を見送ってきたであろうこの像は、何だかものすごく悲し気だったのだ。

こういう感覚は筆舌に尽くしがたい。
にもかかわらず、去る者が日々に疎いように、去った日の記憶はもう完全に掌握することは二度とできないのだ。
「その時」の経験が何よりもかけがえがなく、そして儚い由縁でもある。

ゼウス像の首が朝日に照らされているのを見た時に感じた思いは、今朧げに思いだす事はできても もう同じ感動を再生することは不可能で、

そういう人生で何度味わえるかも分からないような情動を感得しては、それを保存することができない歯がゆさをを置き去りにしていく作業の連続なのだ、この旅は。

暗がりの谷 Karanlık kanyon へ

朝のネムルトは良かった。行って良かった。頑張って起きてよかった。
そんなポジティブな気分で、ネムルトの山を北の方へと下って行く。

赤土のダートを抜けて、

どんどん標高を下げていく。

どんどん気温も上がって あっという間に40℃越え。

道脇に小さな湧き水(??)を見つけては水を浴びる。

途中いきなり現れたゴミ山。

中東は本当にゴミが多い。
ハディースの編纂者は、「そこらへんにゴミを捨てるな」と追記しておくべきだった。

ヒマワリも堪らない暑さにうなだれている。

赤茶色の茫漠な丘陵地帯をひたすら走って行く。

Erzincan; エルジンジャン県に入ってしばらく走ると

再びユーフラテス川が見えて来た。

山々の谷を流れる様が、東部で見たムラト川より”源流感”がある。

ほぼ川沿いまで下りて来た。

さらに川沿いの道を走って行くと、

Kemaliye; ケマリエの街に出る。

Kemaliye の家々

ケマリエは、ユーフラテスがつくる渓谷に家々が建ち並ぶ街で、オスマン帝国時代の家屋が多数保存されている。

オーバーランダーにも有名な場所みたいで、とあるレストランの窓には旅人たちのステッカーが沢山貼られていた。

ケマリエの街を南北に走るメインの通りを走って行くと、道脇には思わず停まらずにはいられない佇まいの家々が沢山!

廃屋なのか現役なのかも定かではないけど、廃墟かと思いきや中から人が出てくるなんてことも多い。

1階部分が石造りで、2階が木造。そういやジョージアの田舎でもおんなじような造りの家屋があったなぁ。

この家に至っては、オスマン時代の水場が備え付という仕様。

中綺麗にして、宿泊施設として機能してる場所もあるみたいだった。

Karanlık kanyon

さて、ケマリエの街に来たのは Karanlık kanyon; 直訳すると「暗闇の渓谷」に来るためだったのだ。
メインの通りが川を渡る直前の場所に、渓谷への入口となるトンネルが開いていた。

ここはまだクマの生息地に該当するらしい。まぁキャンプをするとしたら、クサリヘビの方が現実的には怖い。

いよいよ渓谷脇のオフロードに突入してみる。

ユーフラテスと断崖に挟まれた細いダートは、確かに世界中のバイカーに愛されるのも納得の景観だ。

Munzur; ムンズール山脈を東西に分断する渓谷は深く、1,000mの高低差がある場所もあるんだと。
※峡谷の深さを示す場合の最低部は川の水面ではなく、川底を基準にしているらしい。

そんな特異な地形を、テネレで走って行く。

「暗闇の」と言われる所以なのかよくわからないけれど、渓谷沿いのオフロードは全長25kmの内かなりの部分がこのような素掘りのトンネルで構成されていた。

もちろんトンネル灯なんか無いので 昼間でも長いトンネルに入ると真っ暗で、今にも後ろからクマが追いかけて来るんじゃないかという変な想像力が掻き立てられてしまう。まさに暗闇効果ってやつだ。

そんなわけで、トンネルを抜けるとちょっとほっとしたりする。

そんな感じで走っていると、渓谷に差す光もだんだんと西に入射角が倒れていく。

あわよくば暗闇渓谷で野営・・・なんて考えていたけど、ダート中に十分なフラットスペースはないし、クマも怖いしヘビも怖いし、

とりあえず途中で引き返して入口まで戻ることにした。

Bastian との出会い

暗闇谷の入口トンネルを出たところで、どーしようかなぁと地図を睨んでいると 何組かのライダーがやってきてはトンネルに入って行った。さっき走ってるときは誰ともすれ違わなかったけど タイミングの問題だったらしい。

そんな中、おそらくダートの反対側からこちらへと抜けて来た スイス人ライダーのBastian と出会う。
トリコロールカラーの旧型のアフリカツインってのが最高にクールだけど、このXRV650は通常の2眼ではなくて、スクエア型の単眼なのだ!これはスイス・ホンダの特別仕様らしい。

結局、Bastian もどこかキャンプ場を探してるということだったから、2人で近くのキャンプ場を探し ちょうどよさそうな場所を見つけて入庫。商店で買いだした食材でつくった夕飯を食べつつ お互いの旅の話をした。彼はこれから中央アジアへ向かうみたいだから、きっと役立つであろう情報を伝えられたと思う。

ってなわけで、この日も素敵な出会いに支えられて無事就寝。

つづく

管理人の旅を支える道具たちはこちら↓↓↓