【Republic of Armenia episode10】Old Khndzoresk の洞窟住居と Swinging Bridge

こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。

ゴリスの街を拠点に、少し東の Khndzoresk; フンドゾレスクの街に行ってみます。

Khndzoresk; フンドゾレスクへ

東へ伸びる舗装路を進んでいく。ゴリス市の象徴なんだろうか、トンガリ頭の洞窟住居を模したモニュメントがあった。

ゴリスの街が遠くに見える。

またしてもGoogle map の罠にはまり、よくわからん道を進むはめになるけど、ここは 現Khndzoresk の街。
まじでデカ砂利急坂は勘弁。

頼むからなんとかテネレで進める道のままであってくれ、とビビりながら謎村の謎道を進んでいく。
でも、この未知な道を進むひやひや感がなんとも楽しくて仕方なかったりする。

やがて、Old Knot で見たのと同じような岩窟が見えて来る。

古代からつづく洞窟住居には、1950年代まで人が住んでいたという。
20世紀初頭の人口は8,000人以上もあったらしい。

これは明らかにOld Khndzoresk へのアクセスの方向を間違えた。反対方向には直接アクセスできる舗装路があるはずなんだけど・・・
無理はせず、ぎりぎり何とかなりそうな開けた場所にテネレを停めて歩いていく。

この場所はかなりアゼルバイジャンとの国境に近く、カラバフとアルメニア本土を結ぶラチン回廊につづいている。
学生の頃初めて知ったカラバフ紛争やアルメニア飛び地、コリドーのこと、本の中だけだった世界に 自分のバイクで走ってこられた実感というのは、いつも傍にある。

と、そんなことを考えながらうろうろしていると、茂みの中でくつろいでいるおっさん2名を発見した。
「この辺に橋があると思うんですけど、どっちに行けばいいですか?」
と聞くと、
ちょっと待ってて、一緒に行こう と言ってくれたのは Hallot と、Howik の2人。普段はエレバンで働いてるけど フンドゾレスク出身でたまたま帰郷していたらしい。

Old Khndzoresk と吊り橋

2人について行って、ここにある吊り橋を目指す。
山道には何か所か湧き水がある。無味無臭でおいしい。

アドニスヒメシジミの美しい翼上面。

渓谷の道を進んでいくと現れる Old Khndzoresk Church.
17世紀に建てられた、この付近では現存する最古の教会のひとつ。

西側壁面のニッチ。

南側に開いた入口。

教会内部。

やや荒廃した雰囲気の教会は、あまり修復の手が行き届いていないらしい。

9人の子供を持つ未亡人、という伝説に由縁するという湧き水。
こっちも無味無臭。

更に少し進んでいくと、

目的の吊り橋が見えて来た。

長さは160mあって、歩く度に左右に揺れる。

橋の上から、北側を眺めると、先の教会の屋根が苔生してるのがよく見えた。

本来は橋の南側が入口となっているようで、小さなカフェでHallot と Howik がコーヒーとアイスをご馳走してくれた。

カフェに併設されていた、当時の生活を保存した一室。右の奇妙な道具は、家庭用のウォッカを蒸留するためのもの。

橋の南側を渓谷の下におりていくと、ここには古い墓地が広がっていた。

その内のひとつ、この墓石は Mkhitar Sparapet という人物の墓。
ちょうど1720年代おわりはサファビー朝が衰退する時期で、それに乗じたオスマン帝国からの侵攻に対してアルメニアの独立武装蜂起に貢献した英雄となっている。彼はこの村で、1730年に村民によって殺害された。

 

ほかにも、印象的な彫刻の墓石が並ぶ。

Hallot と Howik の2人は橋の南側に車を停めているというので、礼を言って別れ、管理人は再び来た道を戻る。

橋の上から渓谷の底を見下ろした図。

橋を北東から。

本当にこんな穴ぐらに人が住んでいたんだろうかと、改めて眺めつつ、

テネレを停めていた場所まで戻って来た。

特別なスキルもないのに、フルパニアの大型で突っ込む道じゃないんだよな。
でもそんなこと、突っ込むまで分からないからなぁ。

Old Khndzoresk へのダートと、50年代から移住がはじまった現フンドゾレスク村の悪路を抜けて、ゴリスの街へ戻る。

シュニク南東部の穏やかな夕方。
テネレを旅の最適解とした予想は、正しかったと言いたいところだけど 時おり手に余るのは700ccという排気量を考えれば当然だ。
大事なのは、「世界ツーリングに最適な排気量?」というニッチな命題に対して 自分なりの答えを、自分の経験則を元に語れることだと思う。

それは、昔憧れた “Into The Wild” の世界観を真似してみたり、

西日を眺めながらアルメニアの丘陵を走ることで得られる経験則なのである。

つづく

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