こんにちは、世界放浪2輪旅中の管理人です。
Meteora; メテオラに到着した翌日 快晴に恵まれて 断崖の上に建つ修道院をテネレで巡って行きます。
修道院はどこも聳え立つ断崖の上に建っていて、それらを結ぶ道路の起伏も激しいので、効率よく移動するには車などの移動手段がないとかなりきついです。そんなわけで、街に着いたら徒歩で散策することが多いわけですが、メテオラではバイクの利を最大限に生かして観光しようと思います。
Holy Monastery of St.Nicolaos of Anapafsas
宿のすぐ近くにはレンタルバイクをやってるお店もあった。
中にはなかなかしっかりした整備設備もあるようだけど、今回は特にお願いすることはないかな。
さぁ、メテオラ周遊スタート。Kalabaka の街の北側の山に一気にのぼっていく。
背景に見えるような奇岩群が成す険しい地形は、14世紀当時 俗世から断絶し 祈りに人生を捧げようという修道士たちにとって理想的な場所だったらしい。特に現在のギリシア北部がセルビア王国の版図下にくみこまれていく中で、戦乱を避けるようにアトス山から移住してくる修道士たちも多かったという。
まずやってきたのは、Holy Monastery of St.Nicolaos of Anapafsas
修道院の建つ断崖へと上っていく。景色は最高にいい。
表からは石壁が見えてたけど、裏手にまわると木造の枠組みが見える。
修道生活がはじまったのは14世紀頃で、16世紀に教会堂が整備され、フレスコ画が描かれた。
その後、20世紀はじめくらいまで放棄→荒廃したけど、60年代にはいって改修が進んだという。
内部へ。巨大な奇岩の頂上に建つから、面積を有効活用するように3階構造になっている。
1階部分にある St.Anthony 礼拝堂
ここに残るフレスコ画は、主教会堂のものよりも更に古い14世紀のものが保存されてる。
2階が主教会堂なわけだけど、残念ながら教会堂内の写真は撮ることができなかった。内部ではTheophanis Strelitzas というクレタの画家による1527年作のオリジナルのフレスコ画を見る事ができる。これはポスト・ビザンティン壁画の中では最古級のもの。
3階部分。
屋上へ上ると、
修道院の赤屋根と、
鐘楼塔がある。
周囲を囲む奇岩群が大迫力で迫る景色は圧巻だった。
The Holy Monastery of St. Barbara Roussanou
そのまま山道を進んでいくと、次に現れたのは The Holy Monastery of St. Barbara Roussanou.
まるで奇岩と修道院の外壁が一体化したようなこの見た目、、、
1545年の創建。
修道院へと渡る橋の上からは、
北側の奇岩に建つ The Holy monastery of Varlaam がよく見える。
修道院内部。
なんとか1枚だけ撮ることができた主教会堂内部。画質が残念だけど、フレスコ画は16世紀のもの。
St. Barbara Roussanou 修道院の裏手にある林道を歩いていくと、
メテオラを成す奇岩群を一望できるポイントに出た。これは本当に壮大だ。
自然だけの壮大さとはまた違う、人工物がそこに溶け込んだ景色には 独特の魅力がある。
St. Barbara Roussanou と、その奥には先の St.Nicolaos of Anapafsas がみえる。
北の更に高台には 右手に Varlaam 修道院、左手に Great Meteoron 修道院が見える。
メテオラニャンコ。
ここではなんと、ブラジルからのライダーと遭遇した!
ギリシアで日本のナンバープレートとブラジルのナンバープレートのバイクが出会うなんてこともなかなかないだろ。
The Holy Monastery of Varlaam
バーバラ・ロサヌー修道院から、更に北側へと山道をのぼっていくと、次に到達するのは The Holy Monastery of Varlaam.
双頭の鷲がかっこいい門を通って、
断崖脇を周回するような細い参道をのぼっていく。
さっきのバーバラ・ロサヌー修道院が眼下に見える。
なんだこの巨石は!
けっこう息がきれるくらいのぼったところで、ようやく入口。
ヴァルラーム修道院の創建は1541年。
主教会堂は、ここにきてすごくビザンティン様式。
修道院は広大で、内部にいると ここが奇岩の頂上であることを忘れてしまう。
礼拝堂への入口部分ナルテックスと、
その西側にひろがる広間。
礼拝堂への入口と、
礼拝堂内。フレスコ画は 1548年 Frangos Katelanos 作。
修道院施設内に展示されていた 16世紀当時の樽。ワイン用・・・なのか?
なんと容量12,000ℓ.
崖側の回廊へ行くと、
荷物を搬入するための巻き上げ式ロープと滑車がある。現役なのかな。
こっちは井戸。
鐘楼。
まさに、こんな断崖奇岩の上に、小さなコミュニティがつくられてるんだなぁという実感。
本来は世俗から隔絶するために築かれた修道院も、今ではすっかり観光名所となってしまい 実際にはそれを忌んでより閉鎖的なアトスへと移っていく修道士も多いらしい。
ヴァルラーム修道院には、かなりがっつり目のミュージアムが併設されていた。
15-18世紀のテンペラ画や福音書の銀綴、クロスや聖杯など、、、
大司祭の服飾品。
The Holy Monastery of Great Meteoron
ヴァルラーム修道院を左手に、すぐ脇の道をさらに高台にのぼっていくと、
メテオラ修道院群の中で最大にして最古の修道院 The Holy Monastery of Great Meteoraon が姿を現す。
こうして見ると、確かに単一の修道院というよりは断崖上に佇む小さな村みたい。
小さな入口につづく階段をのぼって、
垂直に聳える巨岩柱の脇につづく小路をのぼっていく。
眼下にみえるのは、さっきのヴァルラーム修道院。
修道院内へ。
ミュージアムが併設されていたけど、こっちは完全に撮影禁止だった。
大メテオロン修道院の創建は 14世紀半ばで、メテオラ修道院群の歴史の出発点ともいえる修道共同体を最初に組織した Saint Athanasios the Meteorite によってその基礎が築かれた。
アタナシオスの死後は、当時メテオラの地域を支配していたセルビア王国の南側領主であった Symeon Uroš Palaiologos; シメオン・ウロシュ・パライオロゴスの息子 John Uroš; ユアン・ウロシュが受け継ぐ。彼は父の死後に一度テッサリアの統治を引き継ぐものの、その後政治と支配権を放棄して ここで修道士となったのだ。
当時の様子が再現された厨房。
主教会は1387年の建立。
ナルテックスと、壁面のフレスコ画。
壁にはいくつかの陶器が埋め込まれていたけど、、、はて?
礼拝前室と礼拝室の内部。
大メテオロン修道院の展望から、南側を臨む。
The Monastery of Holy Trinity
大メテオロンとヴァルラーム修道院のある高台から東側へと進んで、途中南化する道路へ分岐。
今までみてきた修道院と、それを支える岩盤を後ろに、
メテオラの View Point がある。
さすがの映えポイント、沢山の観光客で賑わってる。
デッキからの眺望。似たような奇岩群は世界にいくつかあるだろうけど、その上に修道院が建っているユニークな景観は本当に唯一無二だと感じた。
そのまま道路を南側へと進むと 右手の向こうに見えてきたのが
The Monastery of Holy Trinity だ。
三位一体修道院を頂く岩柱につづく道を歩いて行って、
今までと同様に、螺旋状に急な階段を上にのぼっていく。
頂上に着いた。修道院の創建は1475-88年頃。
入口を入ってすぐ左側に掘られた小さな 洗礼者ヨハネ聖堂 は1682年のもの。
礼拝堂へと向かう回廊と、
ヴォールトの側面にあった消えかかりのフレスコ画。
さらに階段をのぼったところに、
礼拝室への入口があった。
1741年に仕上げられたという 内部のフレスコ画は、画家でもあった司祭 Antonios と、その兄弟の Nicholas によるもの。
壁面詳細と、
ドーム下面。
イコノスタシス。
聖三位一体修道院は写真撮影の規制がなく、一番自由に教会内の写真を撮ることができた。
修道院の南西側に突き出したバルコニーから、Kalabaka の街が全部画角におさまる。
The Holy Monastery of St. Stephen
聖三位一体修道院を右手に、更に道を南へと進むと、
この道の終着点に、The Holy Monastery of St. Stephen が聳え建っている。
断崖の円周をなぞるように建つ様は もはや城塞だ。
細い橋を渡って城壁内へ。
教会と共に修道院の外周を成す建物たち。
修道生活のはじまりは12世紀頃まで遡るらしいけど、修道院の創建は1367年。
教会の入口のナルテックスを兼ねる回廊。
入口と脇の彫刻意匠。
教会内部。
ランプに火を灯す修道女。
フレスコ画は新しく修復されたものみたいだった。
実はこの教会は1798年に建てられた新教会で、
旧教会は敷地の南東側にひっそりと建っている。
こちらは15世紀に建立されたもので、内部には16-17世紀のフレスコ画が残ってるらしいけど、年に2回 祝祭日のみ 修道士たちによって開かれるという。
メテオラの夕暮れ
ってなわけで、全部で6つ 最も主要なメテオラ修道院群を巡る事ができた。
今回巡った主要ルートの、もっと北側を攻めると 更にディープな修道院がいくつかあるんだけど・・・
さすがに時間が足りなかった。
特異な地形と、その頂に聳え建つ修道院に西日が差して 改めて溜息の出るほどユニークな造形が浮き上がってくる。
個人的には、一番メテオラが美しいタイミングだったかもしれないけど、
秋の日のつるべ落とし、あっという間に南西の空に太陽が沈んでいってしまった。
つづく