こんにちは、世界放浪2輪旅中の管理人です。
ヴェリコ・タルノヴォの街を去って、なんとも興味深い修道院と 壮観な洞窟に寄り道をしながら 首都 Sofia; ソフィア へと向かいます。
ここまでのルート
Veliko Tarnovo からちょっと北へ
ヴェリコ・タルノヴォの中心から少しだけ北に行った場所に、ちょっと気になる修道院があるので行ってみようと思う。
渋い家の傍らに渋い車発見。
モトキャンプで見たソ連製のバイクのように、ブルガリアはじめ東欧諸国では旧ソ製の自動車もたまに見かける。
ジョージアやアルメニアではАвтоВАЗ製の車が多かったのに対して、この車は同じくソ連国営のАЗЛК(Автомобильный завод имени Ленинского Комсомола); レーニン共産主義青年同盟記念自動車工場 というメーカーのもので、
MOSKVICH 2140 というモデルのようだ(1500CC).
製造年は1976~88年ということで、この車体もその頃につくられたに違いない。後部ウィンドウからルーフにいたる曲線美がなんともいい味だしてる。この時代のセダンはかっこいいなぁ、、、
とかよそ見しながら発進したら、地面の起伏にタイヤを取られて転倒。
気を取り直して Samovedene の村から側道へと逸れて、
細い道を上っていくと、
Monastery of the Holy Transfiguration of God; 主の変容修道院
そこにはかわいい三毛猫がいた、
そして早速イランのカーペットで爪とぎを始めた、
ではなくて、Monastery of the Holy Transfiguration of God; 主の変容修道院 が建っている。
教会敷地の南側に建つ、このジブリに出て来る増築を繰り返したような門に早くもテンションがぶち上がる。
門をくぐって北側へ抜けると、
なんとなく戦艦のようなフォルムをした独特の教会が現れる。
修道院の大元の起源に関しては11世紀に創建という記述がみられるけど、伝承の域を出ず 確かなのは 1360年 第二ブルガリア帝国の王 Ivan Alexander; イヴァン・アレクサンダー とその妻 Sarah Theodora; サラ・テオドラ、そしてその王子 Ivan Shishman; イヴァン・シシュマンによって自治修道院となった という史実らしい。
修道院を取り巻く木造の建物群と、そこに無造作に置かれた荷車など。
この”自治修道院”というのは Stauropegion; スタウロペギオン といって、所属する都市の都市主教座による管轄を受けず、総主教座に直接従属する修道院を意味している。ただ、第二ブルガリア帝国当時、総主教座は以前の記事で紹介したツァレヴェッツ要塞の頂上に建つAscension Cathedral だったので、いずれにせよタルノヴォ総主教座に従属していたわけだけど、現在はこのスタウロペギオンによって タルノヴォ都市主教座ではなく 首都ソフィアの総主教座に管轄される という面白い構造になっている。
修道院西側に建つ鐘楼。
オスマン帝国によるブルガリア征服後は 幾度となく略奪や焼き討ちを食らい、最終的にはほぼ完全に破壊されてしまったという。
なので現在みるこの姿は、1820年代から ブルガリア復興期を経て再建されたもので、
建築家 Kolyu Ficheto; コリュ・フィチェト と、壁画画家 Zahariy Zograf; ザハリ・ゾグラフ によって手掛けられた。
コリョ・フィチェトといえば、ヴェリコ・タルノヴォのSt.Nicholas Church を手掛けたのと同じ人物だ。
外壁にも様々なモチーフが描かれていて、
これは “Wheel of Life” とよばれるもの。
南側にあいた入口から中へ。
いくつかの壁で区切られた単廊の教会内も 壁画で覆われている。
ちょうど中間部分は修復作業中だった。
そして半筒形ヴォールトの一番東側がこんな感じで圧巻!である。
キリストの割礼や最後の審判など、様々な場面が壁面を覆い尽くす。
イコノスタシスやその中央 王門。
金メッキが施されているというイコノスタシスの木彫もすごい迫力だ。
特に空想上の生き物を象った意匠がおもしろい。
アクセスがそんなに良くないというのもあってか ほとんど人もいなかったけど、ヴェリコ・タルノヴォを訪れるのであれば ちょっと足を伸ばして一見の価値があるんじゃないだろうか、と思った。
ブルガリアの田舎道を西へ西へ
修道院を去って、
相変わらず長閑なブルガリアの田舎道を行く。
たまに廃墟厩舎に寄ったり、
緑のトンネルをくぐったりしつつ、
小さな村をいくつか通り過ぎて、
北西に走る事約90km.
Osam; オサム川を渡って、
やってきたのは、
Devetashka Cave
Devetashka Cave; デヴェタシュカ洞窟だ。
幅35m 高さ30m の巨大な入口を入ると、
そこには想像を超える美しい景色が広がっていた。
カルスト洞窟に分類されて、天井に開いた巨大な穴から自然に光が差し込んでくる。
約7万年もの太古から 人が継続して居住空間として利用してきた痕跡があるらしい。
約3万匹ものコウモリが生息していて、以前映画撮影の際にコウモリの冬眠を妨害したとして撮影会社側が当局から罰則を受ける事態が発生してる。
なにはともあれ、この洞窟の魅力は この写真で十分つたわるのではないだろうか。ちょっと寄り道をした甲斐があった。
首都 Sofia; ソフィアへ
洞窟から、今度はやや南西方向へと走っていく。
だんだんと日が傾いてきて、
もうすっかり暗くなってしまうんではないか、というところで
ブルガリアの首都 Sofia; ソフィアに辿り着いた。
いつも、大都市にやってくると なんともいえない退廃的な雰囲気をくぐり抜けていくような感覚がある。
東欧首都の黄昏時には、そんな感覚も一入だったりする。
今日のところは宿で休んで、後日から街を探索していくことにしよう。
つづく