こんにちは、グレートエスケープ中の管理人です。
サウジアラビア南西部の山岳都市 アル・バハに滞在中訪れた古代都市、Thee Ain のレポートです。
Thee Ain 古代遺跡
サラワト山脈の山道
Al Baha の中心部より、南に約30kmほど、サラワト山脈のジグザグ道を進んでいく。
この山岳道路は概ね雲の上で、今の時期(11月)は緑の無い独特な山肌の絶景が見られる。
道中にも、手つかずで半分崩壊したような遺跡群が山肌に散見された。
後世に伝わるためには政府の介入と観光地化は必要不可欠だろうけど、こうやって見捨てられ廃墟になった建造物には独特の良さがある。
遺跡に向かって、雲を突き抜け高度が下がるにつれ、どんどん気温が上がっていく。
春にはこの一帯も緑で覆われるというけど、俄かには信じられない。
リアルラピュタ?
そんな山道を下るなか、突如として目の前に現れた Thee Ain の村。
きっと日本人なら誰もがジブリの「天空の城 ラピュタ」を連想するに違いないその姿は本当にファンタジーの世界だ。
実際、空に浮かんでいないまでも この山岳地帯に築かれた大理石の村は、「天空の城塞都市」と表現されることも多い。
内部にはいっていく。
村の下層部にあるモスクは、周りの農園からも、家々からも人が集まりやすい位置にある。
下層にある礼拝室には、直接太陽光が入射するようになっている。
ミナレット頂部、イスラム教シンボルの三日月は木製だ。
湧き水とバナナ農園
まずは村の周囲を取り囲む農園方向に行ってみる。
以前は荒廃し、廃墟となっていたらしいけど、今では修復と整備が進んで、誰でも安全に訪れることができる。
村を流れる水路。灌漑システムのアフラージのようなものだけど、水源は山からの湧き水となっている。
水源を辿っていくと、山肌の1か所から脈々と水が出てきていた。
周囲の不毛な岩山と比して、ディーアインの村を緑豊かな農園が取り囲み、古くから人がここに住んだ理由が、この湧き水なんでしょう。
村の名前である Ayn も湧き水や泉といった意味からきている。
休憩所で、昼食を食べる一向。
アラブ人は、一息いれるときは必ずコーヒーかティーを飲む。
ホワイトニングとPMTCの専門クリニックでも開院したらニーズがありそう。
農園を管理するAbdulrahman氏に、バナナの収穫を見せてもらった。
鬱蒼と茂るバナナの木(正確には茎)と、採れ頃な房。
バナナの木は、一度収穫すると同じ木から再び実を付けることが無い。
それだけ見ると一年草のようだけど、分類的には多年草で、
収穫を終え切り倒された木の根本から新たな芽がでてくる。つまりバナナの木は全て同株からのクローンで、そのクローンから単為結果でバナナの実をつけるのだ。
バナナの花、単性花のバナナの花のうち、雄花は切り取られる。
味はそのまんまだけど、少し小さいディーアイン農園のバナナ。
テーブルの下で寝てたネコと、遺跡にもいるヒヒの子供たち。
村の上部へ
なんとなく語呂がいいから「古代遺跡」と書いたけれど、実際にはサウジアラビアが急速に近代化する前後の1975~85年くらいまでは村として機能していて、実際に村民が暮らしていた。
なので古代遺跡というよりは廃村が正しいけど、廃村というにはあまりにも美しい。
なんとなくエッシャーの階段だまし絵を連想するような石造りの階段を上っていく。
ディー・アインで産出する大理石は他の岩肌と明らかに違う白色をしていて、カーバ神殿の改修にも使用されたという。
村の発見はヒジュラ歴10世紀頃で、およそ400年前。
さらに村そのものの起源は、8世紀頃、つまり約1,200年前と言及されているけれど、実際には正確に分かっていないらしく、今後政府の観光相などが主導して正確な年代測定が進められるらしい。
隙間なく組まれた石の壁。
上層部からの景色。
最上部の家。
というわけで、サウジアラビア南西部にひっそりと佇む廃村、ディー・アインの訪問記でした。
つづく
管理人の旅を支える道具たちはこちら↓↓↓