こんにちは、世界放浪2輪旅中の管理人です。
ずっと頭のどこかに引っかかっては無視しつづけていたタンクの漏洩問題が解消したところで、
いよいよモロッコ旅を本格始動させ、まずはモロッコの東の果て 砂漠に打ち捨てられた廃駅を目指します。
Nador を出発 砂漠に広がる地平線へ
ナドールの街で世話になったMoustafa一向に礼を言って出発。
砂漠地帯に突入する前に給油しておく。
2024年12月末の時点で、13.41ディナール(当時レートでリッター205.6円くらい).
全然安くない。けど、実は南部に行くとだいぶ安くなる。
さて、ナドールの街から少し走ると 眼前には思い描いたままの「モロッコの広大な道」が広がった。
インスタやYouTubeで観ては憧れていた北アフリカの広大な地平線が、今リアルに目の前に広がっている。
極度に乾燥した空気 果てしなく茶色い大地と青空のコントラスト、
これぞ温暖湿潤な緑の島国から来た人間にとってはまさに対極的な”異世界”だったと思う。走りながらそう思った。
砂漠を抜けては、
400年以上にわたって現在もモロッコを統治しつづけるアラウィ―朝の初期 17世紀の城塞や、
マーケットを通り過ぎたりする。
砂漠のど真ん中に建設中のモスクを発見。
誰もいないみたいだけど、、、中を覗くと、
美しいタイル装飾と、
超絶に精緻なアラベスク文様のスタッコ彫刻が壁一面に広がっていた。
そして さらにこの果てしないような一本道を突っ走っていく。
自由と不安が表裏一体であることを象徴するような 茫々とした道。
砂漠の途中途中、たまにこんなような小さな町が現れる。Jerada; ジェラーダ県の小さな集落だ。
モロッコ最東部 Oriental Region; オリエンタル地方 ひたすらに南へ 南へ。
砂漠でテントを張って暮らす人々。
伝統的なKhaima; ハイマ とよばれる移動式のテントで遊牧するベルベル人というよりは、定住しているように見えた。
砂漠地帯の気温は思ったよりも低くて、割かし着込んでないと寒くて走れない。
気温50℃を越えた中東の夏から、時には氷点下まで、あらゆる気候に対応する衣類を全て持ち歩かなければならないのが、超長期世界旅のひとつ厄介な部分ではある。
途中、通りかかった街で
肉の焼ける良い匂いにつられて昼休憩。
店を出るとバイクの上にサビねこが乗っかってて癒される。
たまにダートに寄っては深い砂にビビって引き返し、
小さな村を通り過ぎて
Tendrara; タンドラーラ旧駅 に残る強制労働の跡
ナドールから320km くらい南までやってきたところで、今日の目的地に近づいてきた。
一体なんでここに来ようと思ったのか、よく覚えていないけど、どこか途中で出会ったキャンピングカーで旅するおっさんか誰かに、「廃鉄道駅」があるぞ と教えてもらったんだと思う。
「廃鉄道駅」という言葉にロマンを感じる人はきっとごく少数、その中で、本当にそこまで足を運んでしまうのは更に少数。
モロッコ観光というカテゴリで決して挙がってこないだろう Gare de Tendrara; タンドラ―ラ旧駅 に到着した。
20世紀初頭、フランスの統治下にあったモロッコで、南部の豊富な鉱物資源を北部へと輸送するプロジェクト Trans Sahara; トランス・サハラ計画の一環として建設されたという。
特に1930年代~40年代にかけては、対独協調路線だったフランスのヴィシー政権下で スペイン内戦からの亡命者やナチスから逃亡してきたユダヤ人が GTE; 外国人労働者部隊 として強制的にこの地に移送され 過酷な環境で強制労働に従事させられたのだ。
いまでも砂に埋もれるこのレールは、そんな強制労働者たちが 日中の凄まじい酷暑と、凍てつく夜を越えながら手作業で敷いていったものなのだ。42年 連合軍の介入でヴィシー政権は終焉を迎え しばらくしてから強制労働者たちも解放される。
結局、鉄道は完成することなく 戦後の資金不足・北アフリカ諸国の独立機運の激化 もあってそのまま放棄されることになる。
戦時・鉄道・強制労働 となると、シベリア鉄道に強制従事させられた日本人のことを思いだすわけだけど、
タンドラーラ鉄道は ほとんど歴史の表舞台にでてこない そんな負の遺産を教えてくれたのであった。
強烈な西日が廃駅舎を赤く染まる横でテントを張る。
日が完全に沈んでしばらくすると、きっと当時の労働者たちが凍えたでろうサハラの夜がやってくる。
管理人には素晴らしいテント、素晴らしい寝袋、そして食糧と火もあるから 凍える事はないけど、少しだけ追体験したような気になって 眠りにつくのであった。
つづく
※Tendrara周辺はアルジェリア国境に近く、直近の都市からも遠く離れ 非常に孤立したエリアで治安上のリスクも低くありません。
単独で野営しながらバイクで旅をするのは リスクヘッジの観点から絶望的によろしくない事なので、それを踏まえた上で悪しからず読んでいただけたらと思います。