【Sultanate of Oman episode 6】Bat 地方古代墳墓跡を訪ねる ザーヒラ行政区の自然と無銭宿泊

こんにちは、グレートエスケープ中の元勤務医です。

ソハールの街を去り、マスカットへと向かうのですが、海岸沿いではなく一度内陸に入って寄り道をしようと思います。

北バーティナ行政区からザーヒラ行政区へ

オマーン湾沿いのソハールから、一度内陸に入ると、再び砂利と小岩で満たされた不毛のような世界がつづく。

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ここら一帯は、なんとなく人工的にできた砂利山のようなものが沢山ある。
Sohar から内陸に入って数十km の地帯は Lasail とう銅鉱山地帯で、90年代以降放置されているらしい。もしかしたらここいらもその一画なのかもしれない。土砂を運ぶダンプカーとかはよく通っているから、銅山が今は稼働している可能性もあるけど、不明。

フェリーで着港した街 Shinas の更に西側、UAEとの国境付近には Hatta Shinas 鉱山という銅山があって、そこで産出された銅鉱石はここLasailにあるプラントに一度運ばれるらしく、もしかしたらそのダンプカーなのかもしれない。
いずれにせよ、オマーン半島における銅の生産は 以前アルアインの記事で触れた通り ウンム・アン=ナール文明にまで遡るという説もあるくらいにこの地の歴史と深く関わっている。

Wadi から溢れる水とオマーンの自然

砂漠気候のアラビア半島では、水の蒸発量が降水量を上回ることで完全に干上がってしまった涸れ川=Wadi :ワディを度々みかける。
もう雨が降ってからだいぶ時間が経っているものの、こういった Wadi に水が通い、道路を横断している場所が何か所もある。

Jebel Jais に行ったときだっただろうか、行きは何もない道路だったのに、帰りには水が溢れて道路を横断しているなんてことがあった。
別に雨が降ったわけでもないのに・・・
それくらい Wadi は何の前触れもなく突然増水したりする。

北バーティナ地方からザーヒラ地方へ行政区境をまたぐと、少し景色に変化がでてくる。

ほとんど死の世界を連想するしかないような圧倒的な茶色の中に、

ぽつりと水の気配がし、

徐々に緑が多くなってくる。

谷部分に降りてみると、ヤシの木がたくましくわずかな水分の周りに茂り、目に潤いを与えてくれる。
あぁこれが一神教の所以か なんて思ったりしてみる。

これが、ハジャール山地の景色なんだな。

荒れた岩山と、時たま現れるミニオアシスを眺めながら、更に内陸方向へと走る。

21号線に出ると、道幅は広くなった。

マルチファンクションメーターの外気温計は46℃をきらない。

Batの世界遺産 ネクロポリスの墳墓跡

わざわざ一度内陸に入ったのは、ここに来るためだった。
古代の墳墓跡があるのだ。

「考古学スペース」という形で柵に囲われた一帯に入っていく。

一体どこに墳墓跡があるのだろうかと歩いて回るが、レンガ状の小岩が小高く積みあがった隆みがポツポツとあるのみ・・・

おいおいまじか、これがそうなら、勝手に世界一「見た目のインパクトがない世界遺産」に認定するぞ とか考えてると

更に国境のような策で囲われた区画があり、

そこに 古代のネクロポリス跡があった。

壮大なモスクや絢爛な教会のような見ごたえはないかもしれないけど、

紀元前2500年、今から約4500年も昔につくられたというこの墳墓群に囲まれると、なんともいえない気分になった。
墳墓 と書いたけれど、実際には何の目的でつくられたのか 正確には分かっていないらしい。

同時期イラク南部文明のメソポタミアと交易のあった「マガン国」が、同時期オマーン半島にて栄えたウンム・アン=ナールなどを含む文明だったのであれば、このドーム達はマガンの何かしらの遺物ということになる。

入ろうか迷ったけど、入った後に天井が崩れるという想像力を働かせてやめた。

Fallah と出会う

思ったよりもBatの遺跡に長居してしまい、もう18時半をまわろうとしていた。
これより更に東のバハラ方面を経由していくのだけど、この日はもういいやと思いどっかで野営する前に何かを買って涼もうと途中のコンビニ(的な)に寄る。

ちょっと店内ですずんでいいですか?

と聞くと、野菜倉庫みたいなところに通してくれた。

ここのほうがもっと涼しいぞ。

とのこと。

体を内側から冷やしまくろうと、水をガブ飲みして 汗だらだらでアイスをかじるアジア人のおっさんを見て、なにか異様な雰囲気を察したのか察しないのかは知らんけど、地元のオマーン人が声をかけてくる。

この時期バイクは暑いよね。
もしよければ、今晩はうちに泊まってもいいよ。

まじか、なんだこの出木杉君な展開は。
こういう時、その人を信用していいかの判別は難しい。
けどこの時は彼を信用した(またかよ)。

彼の名は Fallah
なんと管理人の12歳も年下だった。

Fallah の車の案内でついていくと、

あらなんて素敵なお家 とかいって、
実際に Fallah の家はこの右側にあって、こちらは客室的な場所のようだった。

アラビックコーヒーとデーツ、

レモンジュース、

フルーツ、あんど フルーツ、

出てくるわ出てくるわ おもてなしの数々。
OMOTENASHI は日本の専売特許なんて言ってらんねーぞ。

Fallah の弟1号と弟2号。

大量のフルーツを置いて、

じゃ おれらお祈り行ってくるから

といなくなってしまった Fallah たち。

まぁ出されたもんはありがたくいただこうと、遠慮なく食わせてもらう。
これは日本ではあまりみかけないけど、レモンの仲間らしい。
正直いって、味がほとんどないカサカサのグレープフルーツ って感じだったけど、

他のは全部おいしかった。Fallah のお父さんは農家を営んでいて、家の裏の農園でデーツや数々のフルーツが採れるんだと。

これは サウジアラビア産のデーツらしい。Fallah 家で採れたデーツと味の違いを感じてみてくれ と言われたが、全然味の違いは分からなかった。

最終的に夕飯まで出てきて、弟3号とFallah と3人で食べた。

図らずも、満腹と安眠スペースを確保できた夜なのであった。

Route

約170km.

おまけ

やっぱり空気入れは電動を圧倒的におすすめしたい。
それなりに品質のいいものにしておけば壊れる心配もあまりないし、なにより 手動でやるなんて実際まったく現実的ではない。

つづく

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